リメイク作品が多かった2022年
2022年12月に公開されたアニメーション映画『THE FIRST SLAM DUNK』をご存知でしょうか? 90年代に放映された『SLAM DUNK』という高校バスケを題材にしたアニメが、映画としてリメイクされました。人気作品ゆえ、当時から今まで原作マンガやテレビアニメで一度は触れた方も多いのではないでしょうか。
2023年1月からはアジア各国でも映画公開が始まり、高い動員数を記録するなど、海外ファンからも注目されている『THE FIRST SLAM DUNK』ですが、映画情報を目にしたときの筆者の感想は「あ、またリメイク作品」でした。調べてみると、『トップガン マーヴェリック(映画)』『クロサギ(ドラマ)』『うる星やつら(アニメ)』と、多くのリメイク作品が2022年に公開されています。「あ、またリメイク作品」という感覚は、気のせいではなかったようです。
では、なぜ、リメイク作品はこれだけの注目を集めているのか? 当時ファンだった人々の熱が再燃しているのでしょうか? 『THE FIRST SLAM DUNK』を例に、「Dockpit」でデータを確認してみました。
リメイク作品のファンは当時のまま? SLAM DUNKで検証
下のグラフは、映画が公開された2022年12月から過去2年間の「スラムダンク」検索ユーザー数(UU)の時系列データです。原作者の井上雄彦氏が2021年1月にTwitterで映画化を発表して以降、何らかの情報が発表される度に検索の「山」ができています。2022年7月以降に検索ユーザー数が伸びており、この頃に情報が大衆化し始めたようです。
この検索ユーザーが当時ファンだった人々なのかを確認するため、映画化が発表される前、映画化発表後、情報が大衆化した後の3つの期間で属性変化を見ていきます。
下のグラフを見ると、年代は一貫して30~40代の割合が高く、全体の約6割を占めています。スラムダンクは1990年代の作品のため、当時のファンを10代前後と想定すると、現在は30~40代。そのため、年代だけで言えば、当時のファンがリメイク化によって再燃したと考えてもよさそうです。
しかし、性別を見ると、2021年1月以前は男性比率が63.7%と高かったのに対して、映画化を発表した2021年1月以降から女性比率が高まり、映画情報が大衆化した直近半年間では日本のネット利用者全体の男女比と変わらないところまで女性比率が伸びています。
このデータから、男性比率の高かったスラムダンクファンが映画化をきっかけに女性比率を高めていったことがわかります。当時のファンが再燃しているのか? という問いに対しては、それだけでなく、当時のファンを下支えに新規ファンも獲得できていると考えます。
リメイク作品が注目される背景をWHO(ファン層)の観点から確認しましたが、続いてWHY(なぜ)を深掘りしたいと思います。こちらも「Dockpit」で見ていきましょう。