Twitter広告の活用はSNSマーケティングの手法の1つです。SNSマーケティングを成功させるためには、利用するプラットフォームの特性を正しく理解したうえで運用することが重要となります。
今回は、Twitter広告の特徴について、ユーザー層や種類、おもな機能などを詳しく見ていきましょう。また、出稿の方法や活用事例についても併せて解説します。
Twitter広告とは?
Twitterは、Twitterは世界で約3億3,000万人(2019年5月)、日本では約4,500万人(2017年10月)のユーザー数を抱えるSNSです。
Twitter広告は、Twitterのタイムラインや検索結果に広告を掲載できるサービスです。一般的なWeb広告とはさまざまな点で仕組みが異なります。
たとえば、代表的なマーケティング手法であるリスティング広告はインターネットのユーザーにクリックされた時点で課金される「クリック課金」ですが、Twitter広告は「閲覧」「返信」「リツイート」といったユーザーのアクションに応じて課金される方式とです。
また、課金の対象になるアクションはあくまでも一次拡散のみであり、二次拡散は非課金となる点も大きな特徴です。
つまり、二次拡散が増えれば増えるほど、広告の費用対効果は高くなるということです。なお、Twitter広告では、打ち出す広告ごとにターゲティング設定が行えるため、自社の商品やサービスに関心の高いユーザー層にはじめから絞ってアプローチできます。
Twitter広告を利用するメリット
まずは、Twitter広告が備えているメリットについて、3つのポイントから詳しく見ていきましょう。
多彩なターゲティングで広告配信できる
Twitterの特徴の1つに、「若年層のユーザーが多い」という点が挙げられます。10代、20代の利用者も多いため、若年層を対象とした商品やサービスの広告であれば、その他の広告手法以上に優れた成果が生まれることもあります。
また、Twitterのもう1つの特徴として挙げられるのが、「ユーザーの興味や関心を把握しやすい」といった点です。Twitterでは、フォローやツイート、プロフィールなどを通じて個人の趣味や嗜好を端的に把握できます。
さらに、ターゲットのデモグラフィックデータを「オーディエンスの特性」として、性別、年齢、地域、言語、テクノロジーなどの項目で設定可能です。そのため、広告に反応してくれそうなユーザーに対して、関連性の高い広告を配信しやすい仕組みとなっています。
二次拡散性が高い
リツイート機能による二次拡散性の高さも、Twitter広告の大きなメリットです。前述のとおり、Twitter広告で課金が発生するのはあくまで一次拡散のみなので、ツイートが二次拡散されれば、広告費をかけずに多くの人へ情報を届けることができます。
また、二次拡散性の高さは、「新たなユーザー層へアプローチできる」というメリットも生み出します。
インターネット検索では対象のキーワードを入力しないようなユーザーでも、フォロイー(自らがフォローしているアカウント)のリツイートによって情報に触れる機会が生まれるため、リスティング広告ではリーチできないようなユーザーにまで広告を届けられるのが魅力です。
ユーザーのアクションで課金される仕組み
Twitter広告はユーザーが何らかのアクションを起こしたときだけに課金される仕組みとなっており、最低利用金額などの制限はありません。そのため、少額からでも始めやすいといえるでしょう。
また、Twitter広告では用意された8種類の「キャンペーンの目的」のなかから、自社の広告戦略に適したものを選べます。たとえば、ブランドの認知度向上を図りたい場合は「リーチ」を、購入検討者を獲得したい場合は「Webサイト訪問数 」や「エンゲージメント数」という目的を設定するとよいでしょう。
Twitter広告の種類
Twitter広告は形式の異なる5つのタイプに分けられます。効率良く成果を上げるためには、目的に合った方法を選ぶことが大切です。
プロモ広告
プロモ広告とは、既存のフォロワーからのエンゲージメントの増大や幅広いユーザー層にリーチを広げたいときに出稿するツイート形式の広告です。検索結果ページの上部やタイムライン、アカウントのプロフィールなどに「プロモーション」というラベル表示され、テキストだけでなく画像や動画も含めることができます。
ユーザーとの関連性が高く、興味や関心がありそうなプロモ広告がタイムラインに表示されますが、ユーザーの利便性を考慮して同一のユーザーに表示される回数は制限されているので、広告を不快に思われることを避けることができます。
フォロワー獲得広告
フォロワー獲得広告とは、現在フォローしていないTwitterアカウントのなかで、興味を持ちそうなユーザーにおすすめをするものです。タイムラインや検索結果など、さまざまな場所に表示されるので広告効果は高いといえるでしょう。
ユーザーが普段閲覧しているブランドや企業のなかから興味を抱いたものに関する広告を表示する仕組みとなっており、フォロワーの獲得につながりやすいのが特徴です。Twitterのアカウントを開設したばかりでフォロワー数が少ないときは、利用を検討してみるとよいでしょう。
Twitterテイクオーバー
Twitterテイクオーバーは、タイムラインや検索タブの目立つ場所に掲載される広告で、多くのリーチを獲得することに向いています。Twitterにアクセスしたユーザーが最初に目にするのが、タイムラインのテイクオーバーです。
1日単位で利用できる独占型の広告パッケージなので、新商品や新しいサービスの発表日などブランドの露出を高めたいときに向いている広告だといえます。
Twitter Amplify
Twitter Amplifyとは、動画を活用したプロモーションであり、タイムラインに配信されることでリーチを拡大させることが可能です。
たとえばTwitter Amplifyで利用できる広告フォーマットの「Amplifyプレロール」では、Twitterが独自に選定した200以上のパブリッシャーのなかから、ブランドイメージに合ったプレミアム動画コンテンツをマッチングさせ、動画コンテンツの前に広告を表示します。
動画広告はマッチングしたパブリッシャーパートナーのツイート内で再生されるため、広告の宣伝効果は高いといえるでしょう。
また、Amplifyスポンサーシップという仕組みもあり、自社が選んだプレミアムパブリッシャーと提携関係を結び、広告キャンペーン期間中はツイート単位で広告を管理できます。
このように、広告対象と関連のあるイベントやテーマのコンテンツと1対1で連動させて出稿することで、需要度の高いユーザーに大規模にリーチすることが可能です。
Twitterライブ
Twitterライブとは、ユーザー参加型のライブ配信を指します。新商品や新サービスの発表や各種イベントなど、さまざまなプロモーションで活用することが可能です。
広告配信といった側面よりも、プロモーションのためのライブ配信といった性質が強い点が特徴です。フォロワーが多い場合、ライブ配信を行えばリアルタイムでターゲットに情報発信を行えられるため、多くの反応を引き出せるでしょう。
広告クリエイティブの種類
Twitter広告のクリエイティブは、テキストや画像、動画などのコンテンツを組み合わせて作成できます。それぞれの特徴をおさえて、目的に合ったものを選択することが大切です。
なお、Twitter広告は2022年4月に行われたアップデートによって、作成方法が大きく変わりました。旧カード機能は、画像広告や動画広告のなかで利用できます。
テキストのみのツイート(テキスト広告)
もっともシンプルなのは、テキストのみのツイートによる広告方法です。Twitterには280文字(日本語全角文字:140文字)の文字制限があり、そのうち23字はリンクに使われるので、正確には257文字(日本語全角文字:128文字)以下で広告内容を掲載する必要があります。
テキストのみの投稿は、一般的なユーザーのツイートにもうまく溶け込むため「リツイート」や「いいね」などのアクションを得やすい面があります。
一方、文字だけでユーザーの興味を引き付けるのは難しい部分もあるため、アピールしたい内容に応じてそのほかの方法も検討することが大切です。
画像付きのツイート(画像広告)
テキストのみの広告と比べて、ほかのツイートに埋もれにくくなり、ユーザーの目を引き付けやすくなるのが特徴です。単一の画像付きツイートおよびGIF画像だけでなく、複数の画像付きツイートも可能ですが、モバイルとデスクトップで見え方が異なる点には注意が必要です。
画像サイズの推奨値は、アスペクト比1:1の場合で「1200×1200ピクセル」とされており、ファイル形式はPNGあるいはJPEGが推奨されています。ファイルサイズについては最大5MBとされているので、必要に応じてリサイズしましょう 。しかしながら、掲出する広告のタイプによって推奨値は変わってくるので、詳しくは公式のヘルプセンターで確認してください。
動画付きのツイート(動画広告)
動画付きのツイートは、画像以上に多くの視覚情報を届けられるため、ユーザーの反応を得やすくなるのが特徴です。
一方、クオリティの高いものをそろえるためには、制作に一定の時間とコストがかかるので、テキストや画像付きと比べるとより慎重な計画が求められます。
動画の尺は最長2分20秒(一部広告は最長10分) ですが、15秒以内が推奨されています。
また、ファイルサイズの上限は1GBまでですが、推奨値は30MB未満であり、投稿できるファイル形式はMP4かMOVとなっています。
カルーセル広告
カルーセル広告は、1つの広告ツイート内に最大6つの画像や動画を掲載することが可能な広告です。広告ツイートの内容を充実させることができ、商品のバージョンや使い方を順に紹介することが可能なので、ストーリー性のあるプロモーションを行えます。
広告内に表示されるカルーセルカードをクリックすると、広告主が設定したWebサイトなどに遷移します。より多くの情報を伝えられるため、広告ツイートを見た方のアクションにつながりやすい仕組みとなっています。
カルーセル広告は、広告キャンペーンの目的すべてで利用でき、動画カルーセルは動画の再生数キャンペーンで利用することが可能です。
モーメント広告
モーメント広告は、1つのツイートだけではストーリーを伝えられない場合に、複数のツイートをまとめてプロモーションできる広告フォーマットです。関連したツイートをまるで1つのツイートのように伝えられるため、効果的なプロモーションを行えます。
Twitterには文字数制限がありますが、モーメント広告を活用すれば文字数にとらわれず、情報発信が行えるのが特徴です。過去のツイートをモーメント広告として盛り込めば、再び注目してもらえるきっかけに結び付けられます。
また、新商品やサービスを宣伝する際も、さまざまな視点を含んだツイートをまとめて紹介することで、ユーザーは商品やサービスに関する必要な情報を効率良く集められます。
Twitter広告の出稿方法
Twitter広告の種類や広告クリエイティブについて把握したところで、実際にTwitter広告に出稿する方法をおさえておきましょう。どのような手順で作業を進めていけばよいかを解説します。
Twitterアカウントの設定
Twitter広告を始めるには、まずアカウントを設定する必要があります。Twitterの管理画面から、広告マネージャーにアクセスしましょう。
管理画面の左側に表示されているメニュー画面の下部にある「もっと見る」をクリックして、「Twitter広告」を選択します。広告マネージャーでは、広告クリエイティブを作成したり、キャンペーンの内容を決めたりできます。
広告が公開されるとリアルタイムで状況が管理画面に表示されるので、パフォーマンスを測定することが可能です。また、キャンペーンを実施するにはあらかじめ、支払い方法を追加しておく必要があります。
クレジットカード払いか、IO(請求書払い)かを選択できるので、都合に合わせて選びましょう。
広告クリエイティブを含んだツイートを投稿しておく
Twitter広告を利用するときには、事前に広告クリエイティブを含むツイートを投稿しておく必要があります。
広告として利用できるツイートは、「オーガニックツイート」と「広告用ツイート」の2種類です。
オーガニックツイートとは、すでにこれまで投稿したツイートのことを指し、そのなかから選びます。
広告用ツイートは、キャンペーンの内容に合わせて新たにツイートを作成することです。
広告用ツイートは、ターゲティングしているオーディエンスにのみ表示されるもので、プロフィールページには表示されません。
作成方法としては、広告マネージャーの右上に表示されている「作成アイコン」をクリックし、ツイート作成画面を開きます。
ツイート本文やツイートに含める画像、動画を選び、見出しやURLを追加します。広告用ツイートとして作成するには、「広告用のチェックボックス」を必ずオンにしておきましょう。
広告の配信目的を選ぶ
Twitter広告には、「広告キャンペーンの目的」として8種類のなかから目標を定める
のことができます。キャンペーンの目的を適切に選ぶことで、ビジネスの目的に合わせた効率のよい広告配信が行えます。
Twitter広告で選択できるキャンペーンの目的は、次のとおりです。
- リーチ:広告のリーチを最大限に増やす
- 動画の再生数:動画の再生数を増やす
- プレロール再生数:広告とプレミアムコンテンツを一緒に配信
- アプリのインストール数:アプリのインストール数を増やす
- Webサイトへの訪問数:Webサイトへの訪問数を増やす
- エンゲージメント数:ツイートのエンゲージメントを増やす
- フォロワー数:アカウントのオーディエンスを作る
- アプリのリエンゲージメント数:アプリを実際に使ってもらう
目的を選ぶことによって、ユーザーに起こしてもらいたいアクションに合わせたキャンペーンに最適化されます。リーチの拡大やコンバージョンの獲得、動画の再生数やフォロワー数の増加など、得たい成果に応じて適したものを選びましょう。
広告キャンペーンの内容を決める
Twitter広告を配信する目的に合わせてキャンペーンを選択した後は、詳しい内容を決めていきます。
「広告キャンペーンの詳細」では、キャンペーン名や予算、期間などの大枠を設定しますが、ターゲティングなど細かな設定は「広告グループ」を作成する必要があります。
「広告キャンペーンの詳細」で決められるものは、次のとおりです。
- キャンペーン名
- 配信期間
- 支払い方法
- 日別の予算
- 総予算
キャンペーン名は自由に決められるので、施策に応じて管理しやすい名称にしておきましょう。広告の配信期間については、特に設定しない場合はキャンペーンの予算に到達するか、手動でキャンペーンを中止するまで配信が行われるので注意が必要です。
1日あたりの広告予算は、設定した金額に到達した段階で広告表示が自動的に停止します。総予算は任意で設定できますが、あらかじめ設定しておくと広告予算を管理しやすくなるでしょう。
支払い方法については、クレジットカード決済もしくは請求書払いを選択できます。
広告グループを作成する
キャンペーンの設定が完了したら、次に広告グループを作成します。
1つの広告キャンペーンは、複数の広告グループに分けて管理でき、個別に配信期間や予算、ターゲティングの設定が行えます。
これらの設定は任意のものとなっているので、特に設定をしない場合はキャンペーンと同じ内容の設定が適用されます。設定できる項目は、以下のとおりです。
- 広告グループ名
- 配信期間
- 広告グループの日別予算・総予算
- 目標
- 入札額(自動入札・上限入札単価・目標入札単価)
- ターゲティング
- プレースメント (広告表示場所) など
Twitter広告では、入札タイプとしてオークション形式が採用されています。詳しくは後述しますが、「自動入札」「上限入札単価」「目標入札単価」の3種類があり、それぞれ特徴が異なります。
自動入札はオークションでの入札額が自動的に選択される仕組みで、初めて広告キャンペーンを行う場合に有効な方法です。上限入札単価は、ユーザーのアクションに対して支払う上限金額を設定できます。
そして、目標入札単価ではキャンペーンの目的ごとに、アクションに対して入札したい金額を設定可能です。あらかじめ設定した金額の範囲内で入札額が最適化されるので、決められた予算を活用したい場合に向いています。
ターゲットを決める
広告グループを設定したら、次はターゲットの設定を行います。広告の目的に合わせて、地域、性別、言語、キーワードなどの要素から、広告を配信するユーザーを絞り込むことが可能です。
ターゲティングできる主なものは、以下のとおりです。
- 地域、性別、言語、年齢のターゲティング
- 端末、携帯電話会社、新端末のユーザーごとのターゲティング
- 会話ターゲティング
- イベントターゲティング
- ツイートエンゲージャーターゲティング
- キーワードターゲティング・映画とテレビ番組のターゲティング
- 興味関心およびフォロワーが似ているアカウントのターゲティング
- カスタムオーディエンス・リーチ除外リスト
- 自動ターゲティング
ターゲティングオーディエンスのボリュームが画面に表示されるので、どの範囲まで絞り込んでいくかを決める際の目安となるでしょう。
ターゲティングに関する詳細は、Twitter広告のヘルプセンターで紹介されているので、参考にしてみてください。
広告として配信するツイートを選ぶ
初めてTwitter広告を出稿する際には、広告として配信するツイートを最後に選ぶ必要があります。すでに投稿済みのツイートが表示されるので、広告として配信したいものにチェックを入れましょう。
Twitter広告への出稿が2回目以降の場合は、すでに投稿しているツイート以外にも、その場で新たに広告クリエイティブを作成することが可能です。「新規作成」のボタンをクリックすると、広告用ツイートの作成画面が表示されます。
通常のツイートと同様に、テキストや画像・動画を入力したら、「広告用」という項目にチェックを入れておきましょう。作成が完了したら、予約投稿もしくは下書き保存のどちらかを選べるので、スケジュールに沿って広告配信を行いたい場合は予約投稿を選択します。
以上で、Twitter広告に出稿するための設定は完了です。最終確認画面では配信内容を確認できるので、設定などに誤りがないかをチェックしてから広告配信を開始しましょう。
Twitter広告の配信開始後でも、配信期間や予算、ターゲティングなどは適宜変更が可能です。
広告マネージャーでは配信状況がリアルタイムで確認できるので、ユーザーの反応を確かめながら、広告効果を高めていくために最適化することが大切です。
Twitterのプロモート機能
Twitter広告を利用する際には、管理や運用の手間とコストも考えておく必要があります。貴重なリソースを割くことなく運用を続けたいという場合は、プロモート機能の活用を検討してみるとよいでしょう。
クイックプロモート
クイックプロモートとは、Twitter広告のキャンペーンマネージャーを使わずに、タイムラインから直接操作できる機能です。スマートフォンとTwitterアプリがあればすぐに始められるため、マーケティングやSNSに不慣れな担当者でも利用しやすいのが特徴です。
プロモーション対象のツイートを選択して、ターゲティング対象やキャンペーン期間を設定するだけで、手軽に運用できます。広告キャンペーンを配信するユーザーは、AIが自動で最適化してくれ、予算も5,000円という低価格帯から設定できるので、本格的なキャンペーンを打つ前の試運転として活用するのもおすすめです。
オートプロモート
オートプロモートは2022年10月現在、新規の利用受付を終了しています。すでに投稿しているツイートのなかから反応がよいものを自動的に広告としてPRできる定額制の機能です。
Twitter広告の課金方式
Twitter広告を利用するためには、オークションに勝つ必要があります。オークションは入札金額や後述する「品質スコア」などを考慮して行われるので、まずは入札の仕組みについて理解しておくことが大切です。
Twitterの入札方法には3つのパターンがあるので、それぞれについて見ていきましょう。
自動入札
自動入札は予算内で最大限の効果が得られるように、入札額が最適化される仕組みです。広告主が入札額を設定するのではなく、オークションで競い合うことで入札額が決まる仕組みとなっています。
細かな条件を設定せず、低予算からでも比較的利用しやすいため、Twitter広告に不慣れな場合は自動入札が適しているといえます。
上限入札単価
アクションごとに支払う金額を細かく管理できる入札方式です。広告のクリックやエンゲージメント数など、各アクションに対して支払ってもよい金額(上限入札単価)をあらかじめ設定するため、上限を超えて課金される心配がありません。
自動入札と比べて細かなカスタマイズが可能なので、ある程度運用に慣れている方に向いている方式といえます。
目標入札単価
1日のうちに発生した平均課金額が、あらかじめ設定した目標単価に近づくように、自動調整を行ってくれる入札タイプです。仮に目標単価を200円に設定した場合、平均単価200円で最大限のアクションを得られるよう最適化を行えます。
上限額は決まっていないので、最大限の効果を狙える入札方式です。
Twitter広告の活用事例
Twitter広告を効果的に運用するには、実際に成功している企業の事例から学ぶことが有効です。ここでは、3社のTwitter広告活用事例を紹介します。
ニッポンハム
ニッポンハムの「シャウエッセン」は、発売から35年以上のロングセラーとなっているウインナーです。しかし、購入者の高齢化や売上成長の鈍化といった課題を抱えていたため、同社はTwitterを活用したリブランディングに取り組みました。
シャウエッセンはブランドを守るため、長らくボイル調理を推奨し、電子レンジでの調理をすすめてこなかった経緯があります。
しかし、長く販売し続けるなかで培われたルールがかえって販売の機会を失っていることに気づき、若年層を含めたより幅広い世代に食べてもらえるよう、発売35周年を機にレンジでの調理を解禁しました。
Twitterでの情報発信としては、「シャウエッセンは、手のひらを返します」というキャッチコピーを考案し、なぜ35年もの間レンジでの調理を解禁してこなかったかの理由を丁寧に伝えました。情報を伝える手段として同社がTwitterを選んだ理由は、1つの事柄でさまざまな反応が起こるツールだと捉えたためです。
Twitter上で話題になったことをきっかけに、シャウエッセン専用のTwitterアカウントを立ち上げました。Twitterでは電子マネーギフトがその場で当たるキャンペーンや新商品の告知、「シャウエッセンの日」にちなんだフォロー&リツイートキャンペーンなどを展開しました。
特に、新商品であるチェダー&カマンベールのキャンペーンではTwitter上に投稿した動画が200万再生を超え、売上は二桁増に近い成果を得ています。
時代の変化をくみ取り、定期的な更新によってユーザーとのタッチポイントを作ることを意識したTwitter活用事例といえるでしょう。
NTTドコモ
通信大手のNTTドコモでは、Twitterの公式アカウントを開設してから直近の1年間でフォロワーが約20万人増えています。1ヵ月あたりのリツイート数は、2021年の約4,000件から、2022年には約3万件となるなど、大きな伸びを見せています。
同社はTwitter Japanや広告代理店とタッグを組み、Twitterの運用を始めました。自社だけで運用していたときは、投稿をしてもユーザーの反応がいまひとつであり、企業側の視点だけで情報発信していたことが課題として浮き彫りになっていました。
そこで、ユーザーとの間で相互のコミュニケーションが生まれるように改善を図り、KPIをもとにPDCAサイクルを回していきました。データ分析においては、フォロワー数やエンゲージメントだけでなく、アクティブフォロワー率や合計リーチ数を重視し、2021年にはフォロー&リツイートキャンペーンを4回実施しています。
製品や通信障害に関する情報だけでなく、ユーザーの普段の暮らしに近い話題を提供することで、フォロワー数は約70万まで増加しました。
企業側がオープンな姿勢で情報を開示していくことで、ユーザーの意見を集めやすくなり、企業と顧客との距離を近づけることに成功しています。
花王
花王が展開するヘアケアブランド「Essential THE BEAUTY(エッセンシャル ザ ビューティ)」では、Twitterアカウントの運用において、ブランドの認知度向上を図るだけでなく、ユーザーとの対話を意識しています。ブランドに関するニュースを随時告知するだけでなく、日常の何気ないこともツイートして、エッセンシャルというブランドに親しみを持ってもらう機会を積極的に作っているのです。
たとえば、梅雨の時期には髪のうねりやくせが出やすいため、季節に合わせたツイートを行い、リーチの拡大を図っています。
また、Twitterのトレンド欄の一番目立つ場所に広告を掲載できる「トレンドテイクオーバー」を活用することによって、多くのユーザーとの接点を生み出しています。
ほかにもTwitterは多くのリーチを獲得できるため、ブランドに関連したツイートが増えるよう「#パサつく季節に髪のキメ美容シリーズ」とハッシュタグを付け、同製品に関する会話を広げています。
これらの施策によって、Twitter上で「髪のキメ」に関する発話量が30倍ほどまで増加し、一定の成果を得ることに成功しています。
単に発話量を増やすだけでなく、ブランドに関する話題を広げるために、事前設計に力を入れたことが勝因となりました。
Twitter広告を上手に活用するポイント
Twitter広告は工夫次第でコストを抑えながら運用することも十分に可能ですが、一定のお金と人的リソースを使うことには変わりありません。活用するのであれば、きちんと効果が出るようにポイントをおさえることが大切です。
最後に、Twitter広告を上手に活用するためのコツを3つに分けて見ていきましょう。
ターゲットを明確にすることが大事
Twitter広告は幅広いユーザーに情報を届けられるのが魅力であるものの、ターゲットをあいまいにしたまま万人受けを狙うと、かえって誰にも受け入れてもらえないといった現象が起こりやすくなってしまいます。マーケティング全般に共通する課題でもありますが、広告を打つのであれば、まずはターゲットを明確にすることが大切です。
Twitterの魅力は、ユーザーの関心や嗜好をさまざまな形でリサーチできる点にあります。また、Googleなどの検索エンジンと比べても、よりパーソナライズされたキーワードが飛び交いやすいプラットフォームでもあるため、細かな思考や感覚も分析することが可能です。
そのため、焦って広告を打ち出すのではなく、まずはじっくりと時間をかけて、ターゲットが普段からどのような話題や情報に触れているのかをリサーチしてみましょう。
Twitterフォーマット内にある広告機能を有効活用する
Twitterにはさまざまな機能が備わっているため、目的に合わせて上手に活用するとよいでしょう。たとえば、誰でも自分の意見を反映できる投票機能を使えば、ユーザーの関心がどの選択肢にあるのかをリサーチすることができます。
Twitterはユーザーが匿名で応答できるため、比較的アンケートの回答率が高く、多くの母数からデータをとりやすいのが特徴です。また、投票機能そのものをプロモツイート上で利用できるため、アンケートをそのまま広告として配信することも可能です。
多くのユーザーから反応のあるプロモツイート(Twitterプロモ広告)は、それ自体が広告として大きなアピール要素になるため、高い効果を発揮してくれるケースも少なくありません。
品質の高いクリエイティブを作成する
「品質スコア」とは、広告の品質を具体的なスコアで診断するシステムです。Twitter広告のオークションでは、入札金額とともに品質スコアも考慮されるため、特に重要度の高い観点といえます。
品質スコアが高いクリエイティブは、クリック単価が低くなるので、広告運用を行いやすくなるのです。また、そもそも品質スコアが優れていれば、それだけ広告の効果も期待しやすくなります。
品質スコアは、「共感度」「関連性」「リーセンシー」の3つの要素から評価されるものです。それぞれのポイントをまとめると、次のとおりです。
- 共感度:ツイートに対する「いいね」や「リツイート」の数。アクションが多いほど、共感度が高いと評価される。
- 関連性:広告の内容が、ユーザーの興味・関心とマッチングしているかどうか。
- リーセンシー:最新の話題をツイートしているかどうか。
品質スコアを高めることで入札単価を抑えることもできるので、Twitter広告を出稿する際は、広告クリエイティブの内容がユーザーの興味や関心と合っているか、最新の話題を盛り込んでいるか、などをチェックしてみましょう。
また、実際にTwitter広告を配信してからも、「いいね」や「リツイート」の数などの反応を見ながら品質スコアを高めるためにPDCAサイクルを回していく必要があります
まとめ
Twitterは10代や20代といった若年層の利用者が比較的多く、若いターゲットを対象にした広告を打つ上でうってつけのSNSです。「リツイート」や「いいね」による二次拡散性も高く、課金されるのはあくまで一次拡散時のみなので、運用方法次第では低コストで高いパフォーマンスを発揮するケースもあります。
Twitter広告にはさまざまな形式があるため、自社の目的に合った方法を探ることが大切です。テキストはもちろん、画像や動画のコンテンツにも力を入れて、ターゲットに合った配信を心がけましょう。
また、広告の入札にあたっては金額とともに品質スコアも問われるため、クリエイティブの内容と質にこだわることが重要です。成功している事例を参考にしながら、自社に活かせるアイデアやヒントを探してみましょう。