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アイレップと探るライブコマース最前線(AD)

グッズのCVRは51.9%!日本グミ協会が“裏グミの日”に実施したライブコマースのノウハウに迫る

 ライブコマースへの注目が高まっている。特に若年層を中心に、数年前とは異なる使われ方で浸透している状況だ。本連載では“2023年型”のライブコマースの特徴を「場」「人」「コンテンツ」の観点で整理。本稿ではコミュニティの帰属意識を高めるためにライブコマースを活用した日本グミ協会の事例を取り上げる。集客のポイントや購買へつなげる導線設計など、取り組みから得られた知見をアイレップの恩地氏と日本グミ協会の武者氏に聞いた。

「裏グミの日」を企画したワケ

MarkeZine編集部(以下、MZ):はじめにお二人の自己紹介と、現在担当されている業務内容についてお聞かせください。

恩地:アイレップで、ライブソリューション推進チームのプロジェクトマネージャーを務めています。ライブソリューションの一環としてライブコマース領域を担当しており、今回の日本グミ協会のライブコマースにも携わりました。

アイレップ プロデュースUnit クリエイティブプロデュースDivision 恩地紗代子氏
アイレップ プロデュースUnit クリエイティブプロデュースDivision 恩地紗代子氏

武者:私は2022年9月までアイレップに在籍していました。現在は同人活動である日本グミ協会の名誉会長を務めるほか、これまでの知見を活かして日本ライブコマース協会を新たに始めました。

日本グミ協会 名誉会長 武者慶佑氏
日本グミ協会 名誉会長 武者慶佑氏

MZ:2023年3月9日に日本グミ協会では「グミニケーションライブ」と称したライブコマースを実施したそうですね。実施の背景をお聞かせください。

武者:日本グミ協会では、3月9日を「裏グミの日」としています。9月3日の「グミの日」は文化形成が十分にできましたが「グミに関連した記念日が年に2回あっても良いのでは」と考えたためです。それまでは各メーカーが「ミーグーの日」や「サンキューグミの日」などと呼んでいましたが、呼称を統一してグミを裏側、すなわち新しい角度から楽しんでもらおうと考え制定しました。

 味はもちろん形・色・弾力が多様なグミは、持ち運びやシェアも容易な点からコミュニケーションを生みやすいお菓子です。そんなグミを使ったコミュニケーションのことを、私たちは「グミニケーション」と呼んでいます。グミを介した交流の楽しさが伝わるよう、グミニケーションライブと銘打って裏グミの日にライブコマースを実施しました。

ライブコマースの目的はファンマーケティング

武者:グミニケーションライブでは、日本グミ協会のTシャツや巾着、会員証などのグッズを販売しました。しかしながら、グミニケーションライブの最終目的はグッズ販売ではありません。グミの日(9月)に向けた助走期間でもある裏グミの日(3月)に、ライブの視聴やグッズの購入を通じて日本グミ協会への帰属意識を高めてもらう狙いがあったのです。

日本グミ協会の会員証
日本グミ協会の会員証

武者:グミの日に向けてInstagramの公式アカウントのフォロワー数を増やし、投稿へのエンゲージメントを高める必要があったため、グミニケーションライブはInstagram Liveを使って配信することにしました。

MZ:今回の取り組みにおいて、アイレップはどのような役割を務めたのでしょうか。

恩地:配信当日の現場ディレクションはもちろん、配信前の施策も含めた全体設計を支援しました。武者さんからは「コミュニティを盛り上げるファンイベントのようなライブ配信が、ライブコマースとして成立し得るか検証したい」という話もいただいていました。

武者:ライブコマースを目先の売上ではなく、日本グミ協会のファンマーケティングにつなげ、検証結果を業界に対して意義あるフィードバックとするためには、マーケティングを熟知したアイレップとの共創が必要だと考えたのです。

SNSをフル活用して集客を最大化

MZ:グミニケーションライブの日までに行った施策を詳しく教えてください。

武者:グミ好きとして知られていた俳優の前田公輝さんと声優の小林愛香さんを出演者として起用しました。日本グミ協会を好きになってもらう準備として、グミニケーションライブの1~2ヵ月前にお二人を協会の名誉会員に任命。さらに、ライブの2週間前からグミの解説動画などのコンテンツをInstagramリールで発信しました。

(左)小林愛香さんのツイート(右)日本グミ協会のInstagramアカウントで発信したリール
(左)小林愛香さんのツイート(右)日本グミ協会のInstagramアカウントで発信したリール

恩地:グミニケーションライブの告知にはTwitter広告を採用しました。配信に使うプラットフォームはInstagramですが、日本グミ協会は元々InstagramよりもTwitterのほうが公式アカウントの影響力が強いんです。Instagramのフォロワー数が約1万6,700人(2023年1月時点)であったのに対し、Twitterのフォロワー数は約16万人(同時点)でした。そのため、Twitterから多くの人をライブ配信に連れてこられるようTwitter広告を採用したわけです。

 具体的には「カンバセーショナルカード」という広告メニューを活用しました。ツイートを見たユーザーがカンバセーションボタンを押すと、ツイートが自動的にリツイートされるとともに、クーポンコードが発行される機能です。

 今回はグミニケーションライブについて「絶対見るよ」「見れたら見るよ」「見るしグッズも買うよ」と回答できる3種のボタンを設定しました。ボタンによって能動的なリツイートを促し、クーポンコードによってライブコマースへの参加を後押しできると考えたのです。また、押されたボタンの数によって当日の参加人数を大まかに予測する仕組みも検証できると考え、カンバセーショナルカードを採用しました。

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“オンライン待機民”をいかに集められるかが鍵

恩地:新規ユーザーではなくフォロワー向けに広告を表示した点もポイントです。今回は多くの方にグッズを買ってもらうことではなく、熱量の高いファンにライブへ参加して楽しんでもらうことが目的でした。そのためオーガニックの投稿を重視し、リーチを補完する役割として広告を配信することにしました。

恩地:クーポンコードはTwitter広告だけでなく、TwitterのスペースやInstagramのストーリーズ、フィードでも配布し、どの接点を経由してグミニケーションライブの参加に至ったのかを検証できるように設計しました。

武者:Instagramでは、テイラーアップの「Live Commerce force(ライブコマースフォース)」というツールを活用し、ユーザーがキーワードを打つとクーポンコードがDMで届く設計にしました。このツールにはInstagramと連動した機能が搭載されているため、ユーザーのリアクションに対してDMを自動送付することができるのです。DMのやり取りを通じて、SNS上でのエンゲージメントを事前に高めておく狙いもあります。

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武者:ライブコマースを成功させるためには、配信の5~30分前にスマホをオンラインにして待機している人、つまり“オンライン待機民”をいかに集められるかがポイントとなります。今回はグミニケーションライブ本番の1週間前にTwitter広告を配信し、3日前にInstagramのフィードを、24時間前にストーリーズを投稿し、5分前にTwitterのスペースで告知を行いました。検証の結果、本番へ近づくにつれて施策の効果(リーチに対するクーポン使用率)は高まることがわかったのです。

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恩地:今回の施策では「Twitter→Instagram」とプラットフォームの垣根を越えるチャレンジをしました。ハードルは高かったですが、見に来てもらうための導線を整備することにより集客が可能だとわかりました。今後、集客チャネルを設計する上での良いケーススタディになったと思います。

武者:プラットフォームの垣根を越えた集客は一見すると大変かもしれませんが、越えた先にファンがどうしても見たい/知りたいことがあれば、垣根は関係ないと思います。ファンにそう思ってもらえるコンテンツや仕組みを作ることが重要です。

ツールの便利機能でライブ中にECサイトへの導線を確保

MZ:3月9日のグミニケーションライブ本番は、どのように進めたのでしょうか。

恩地:ゲストに名誉会員の前田さんと小林さんを迎えて、メインコマーサーを武者さんに務めていただきました。武者さんがお二人のグミマニアっぷりを引き出してくださったことと、コアなグミファンが楽しめるコーナー演出を行ったことで、ただグミの魅力を紹介するだけでなく、グミファンの皆様に満足していただけるライブをお届けできたと思います。

グミニケーションライブ本番中の画面キャプチャ
【クリック/タップで拡大】グミニケーションライブ本番中の画面キャプチャ

恩地:また、ライブ配信からECサイトへシームレスに誘導する目的で、事前施策と同様にLive Commerce forceを活用しました。通常、Instagram Liveにおけるライブコマース配信では、購入導線の確保が課題となります。Instagramでは配信中の画面にURLを表示できない仕様となっているため、プロフィールリンクからECサイトに遷移する導線となるのですが、その際に離脱が発生しやすくなります。

 今回はLive Commerce forceを使い、ライブ配信中に「グミニケーションライブ」というコメントを投稿したユーザーに対してECサイトのURLを貼ったDMを自動で送るよう設定しました。これによって配信中の離脱を防ぎ、配信後にDMからECサイトを来訪する購買動線が確保できました。

MZ:本番中の盛り上がりはいかがでしたか。

武者:1時間半の延べ視聴者数は2,200人で、同時視聴者数の最大値は368人でした。日本ライブコマース協会としては、メジャーブランドの場合も有名なインフルエンサーを起用した場合も「同時視聴者数1,000人の壁」があると理解していましたが、日本グミ協会としては良くも悪くも「頑張ってこれくらい」ということがよくわかりました。

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武者:ただ、配信中のコメントは5,000件以上も寄せられました。通常、ライブコマースでは同時視聴者数と同数程度のコメント数であれば御の字なのですが、今回は368人の同時視聴者数に対してコメント数が5,000件を超えたのです。

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恩地:コメント数が多かった要因は、コミュニティの熱を高める工夫と、グミファンが思わずコメントしたくなる配信内容にあると考えています。

ライブコマースにはコミュニティ育成としての価値も

MZ:グミニケーションライブによって日本グミ協会が得られた成果を教えてください。

武者:グッズの購入者数は191人でした。最大視聴者数(368人)を基にコンバージョンレートを算出すると51.9%です。ライブコマースではコンバージョンレート10%を目標に設定するケースが多いため、この数値はかなり高いと言えます。複数買いする方も多く、購入数は584点でした。

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恩地:ライブコマースを実施する際、つい売上に指標を置いてしまいがちですが、ROIが安定して100%を超えるのはエンゲージメントが一定規模になってからだと考えます。もちろん100%を超えることが理想ではあるものの、コミュニティを育てる「フェーズ1」としてライブコマースを実施してみるのも一つの手ではないでしょうか。

MZ:最後に、今後の展望についてお聞かせください。

武者:日本グミ協会としてはグミニケーションライブを恒例コンテンツ化し、今後も定期的に実施したいと考えています。

武者:実施のたびにコミュニケーションを生むきっかけとなり得るグッズをつくったり、過去に人気だったグッズを再販したりしながら、ライブコマースで限定感やライブ感を醸成する。これによって参加した人にしか体験できない価値を提供し、コミュニティへの帰属意識を高めていく──このようなサイクルを引き続き回していきたいです。

恩地:グミニケーションライブを通じて、ライブコマースに関する様々な検証を行うことができました。アイレップでは今回得られた結果や知見を基に、今後もクライアントのライブコマースのプランニングや実施を支援していきたいと考えています。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社アイレップ

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/06/14 10:30 https://markezine.jp/article/detail/42126