ウェブデザインが注目されるようになったのは1990年代から
こういった状況を大きく変えたのは、インターネットの登場とソフトウェアの進化でしょう。最初にウェブサイトが公開されたとき、それらはテキストベースで構成されていました。インターネットの回線速度が現在よりもかなり遅かったことも、ウェブデザインに光が当たっていなかった一因だと考えられます。
しかしその後、速度や環境が改善し、インターネットが普及し始め、Adobe Flashが登場したことで、デザイナーがブラウザ上で動作するアニメーションなどを自由にデザインできるようになりました。テキストベースだけではなく、ウェブサイト上でよりグラフィカルかつ自由なデザインを制作できるようになったことを機に、ウェブをデザインするという概念やコンセプトが重要な要素となっていったのです。
世界初のウェブページ(復刻版)とは
1993年4月にウェブが誰でも自由に利用できるプラットフォームとして発展するための道を切り開いた世界最初のウェブサイト「info.cern.ch」はデジタル遺産として保全されており、そのプロジェクトの一環として復刻のうえ公開されています。
当たり前ではありますが、テキストベースのためレイアウトもとても質素に感じますね。現在のように自由にインタラクティブなデザインができ、さまざまな情報が組み込まれたものとはまったく異なるものです。ただ、デザインやユーザビリティ、本当に必要な情報などを考えるためにこのシンプルさに立ち返ることは、デザインを設計する上でとても新鮮であると同時に、本質を教えてくれているようにも感じます。
1999年のAppleのサイト
アーカイブサイトから1999年のAppleのサイトを確認してみました。現在の動的な要素やアニメーション、映像を活用したトレンドのデザインとは大きく異なります。テーブル形式のグリッドで、レトロなテイストですね。
ディスプレイの大きさや解像度の違いもあると思いますが、サイトのWidthが狭いです。(個人的には、このころからiMacがあったのかと懐かしい気持ちになりました)
2000年代初期にはGoogleの登場とCSSによるデザイン
2000年代にGoogleが検索エンジンを発表し、それが普及したことで、ユーザー体験として「検索する」ことが一般化。同時にその重要性も増していきました。
検索エンジンの仕組みとして、ウェブサイト上の文字を認識して検索結果に表示する仕様は、検索エンジンに認識されやすいHTMLやCSSでの表現や実装に移行していきます。また「検索する」という概念の登場により、ユーザーが求める情報により的確に辿り着くための工夫や設計など、「ユーザービリティ」への意識が高まり、それがUIUXデザインやマーケティングにとっても重要な意味を持つようになっていきました。
2000年代中期からウェブアプリケーションとモバイルへの移行
2000年代中期以降は、UIデザインにとって大きな転換期となります。PCやネットワークの進化にともない、ウェブデザインやUIの表現方法が急速に多様化していきます。Googleは、JavaScriptのAjax技術を使ったGoogle Mapを発表。画面遷移をともなわない動的なウェブアプリケーションを実現しました。次の画像は2005年に登場したGoogle Mapのベータ版です。
これらユーザーのリクエストに対して、動的に進行するアプリケーションの登場は、ウェブサイトが「機能性」を提供し始め、ユーザーとソフトウェアが「インタラクション」にやり取りするといった現在に近い観点で、UIデザインの重要性が増していくことにもつながります。YouTubeが登場したのもこの時期。2005年に公開されています。