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アーティストのチャンネル登録者属性から探る、「YouTubeで音楽を楽しむZ世代」の特徴

アーティストチャンネル登録者は若者が多い

 次にYouTubeを利用していない人も含めた一般消費者と比較した、「登録者」の基本属性の特徴を確認していく(図表3)。「登録者」の男女比は3:7で、中心となっているのは女性であることがわかる。先ほど示した男性アイドルチャンネルの登録者が多い傾向は「登録者」が女性中心ということにも関係があると考えられる。

 また、年代を見ると10代~30代の割合が多く、とりわけ20代が一般と比較して多くなっている。職業では学生が約20%と、一般と比較して7ptほど高くなっている。さらに、学生の中でも、大学生が約5割を占めており、これも一般に比べると10pt程度高い数値である。

【図表3】アーティストチャンネル登録者の基本属性
【図表3】アーティストチャンネル登録者の基本属性(クリックすると拡大します)

 これらの結果から、YouTubeの音楽コンテンツは学生を中心とした若年層、とりわけ大学生に楽しまれていることがわかる。そもそも音楽というコンテンツが若者と相性が良い点に加え、若年層が音楽鑑賞の媒体として、YouTubeを選択する確率が高い傾向も影響していると考えられる。デジタルネイティブである一方で、金銭面に余裕のない若者は、無料で楽しめるYouTubeを音楽鑑賞の手段として積極的に活用しており、学生の中でも比較的時間のある大学生は、YouTubeを通じて音楽とともに映像や関連コンテンツも存分に楽しんでいる、ということなのかもしれない。

男女で「楽しみ方」に違いか

 では、若年層の中でも、YouTubeを使って音楽関連コンテンツを楽しむ消費者はどのような人たちなのだろうか。今回は、これらを登録ジャンルや消費傾向や価値観という観点から見ていきたい。

 なお、ここでは若年層の定義として、1996年生まれ以前(調査時点で26歳以下)の「Z世代」を用いる。「Z世代」はデジタルネイティブな世代として知られ、彼ら・彼女らにおける「登録者」の特徴を知ることで、YouTubeを活用したマーケティング施策に活きる示唆が得られると考えられる。なお、消費傾向や価値観は性別や職業で異なると考えられることから、男性学生(n= 1663)、女性学生(n= 3490)、男性有職者(n= 906)、女性有職者(n= 2575)の4区分でZ世代の「登録者」の特徴を見ていきたい。

 まず、各区分におけるFanDataBase回答者に占める「登録者」の割合を見ていくと、男性学生は約28%、男性有職者は約25%、女性学生は約51%、女性有職者は約50%となっている。アーティストのYouTubeチャンネルを登録する行為は、男性では一部の人に限られているものの、女性ではかなり一般的になってきていることがわかる。

 さらに4区分での「登録者」における、前述した5つのジャンルの登録率を見ていきたい(図表4)。ここでも、職業よりも、性別でパターンに違いが見られる。男性では、「シンガーソングライター・ソロ歌手」(約45%)、「バンド・グループ」(約35%)など、アイドル以外が上位に来ているのに対し、女性では、「男性アイドル」(約60%)が突出して高くなっている。また、「女性アイドル」については、男女とも同程度(28%前後)の登録率となっている点が興味深い。

【図表4】各区分のアーティストチャンネル登録者のジャンル別登録率
【図表4】各区分のアーティストチャンネル登録者のジャンル別登録率(クリックすると拡大します)

 以上の傾向からは男女間で、アーティストYouTubeチャンネルの「楽しみ方」に違いがあることが示唆される。男性は、シンガーソングライター・バンドのミュージックビデオ・ライブ映像などの音楽コンテンツを楽しむためのツールの一つとして活用している一方、アイドルのチャンネルは音楽以外のコンテンツも多いため、女性は、アイドルを応援する「推し活」の一部として楽しんでいる人も多いと考えられる。

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流行に敏感な男性、ライトなアイドルファンの女性が多い可能性

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この記事の著者

宮嵜 健太(ミヤザキ ケンタ)

株式会社マクロミル 
デジタルマーケティング本部 テクノロジー&デジタルプロダクツ部
データサイエンティスト

 データサイエンティストとして事業企画部門に所属。ポストCookie時代における広告効果測定手法の確立をミッションに、計量経済学のバックグラウンドを活かして、「因果推論」のフレームワークを応...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/08/30 09:30 https://markezine.jp/article/detail/42780

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