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アーティストのチャンネル登録者属性から探る、「YouTubeで音楽を楽しむZ世代」の特徴

流行に敏感な男性、ライトなアイドルファンの女性が多い可能性

 ここからは、各区分の「登録者」における様々な消費傾向や価値観の特徴を見ていきたい。なお、デジタルネイティブな世代であることを踏まえ、比較対象としては、各区分の平均的なYouTube利用者(FanDataBase回答者の平均)とする。

 初めに、1日あたりの各サービスやメディアの利用時間を確認する(図表5)。男性有職者を除く3区分で、平均的なYouTube利用者に比べ、リアルタイム・録画でのテレビの視聴時間が長い傾向にあることが見て取れる。とりわけ、女性学生に関しては、平均よりも15分程度長くなっている。また、各区分でSNS・コミュニケーションツールの利用時間が平均より10分程度長くなっているほか、男性有職者はニュースの利用時間も平均よりやや高いことがわかる。SNSについて具体的なサービス名まで見ていくと、各区分で「Instagram」を毎日利用する人の割合が平均よりも高くなっており、男性学生では「LINE」、男性有職者では「LINE」「Twitter」も毎日利用する人がやや多いことがわかる(図表6)。

【図表5】各区分のアーティストチャンネル登録者の1日あたりサービス利用時間
【図表5】各区分のアーティストチャンネル登録者の1日あたりサービス利用時間(クリックすると拡大します)
【図表6】各区分のアーティストチャンネル登録者の各SNS「毎日使う」人の割合
【図表6】各区分のアーティストチャンネル登録者の各SNS「毎日使う」人の割合(クリックすると拡大します)

 次に、購買行動の特徴を見ていく。図表7では、各区分の消費者が1カ月間で自由に使える金額と、美容やファッションに関する品目の消費金額を示している。自由に使えるお金に関しては、多くの区分で「登録者」と平均の間での差異はないが、女性学生でのみ2,000円程度「登録者」のほうが高くなっている。また消費金額に関しては、男性学生の「登録者」が平均に比べ、ファッション・ボディケア・スキンケアなどの品目で高くなっている点が興味深い。さらに、男性有職者では、美容院の消費金額が平均より800円ほど高くなっている。男性の「登録者」は、同じ性別・職業の中でも、ファッション・美容といった「見た目」に気を使っている人が多いようだ。

【図表7】1カ月あたりの自由に使えるお金・各品目の消費金額(単位:円、平均より10%以上高いものをハイライト)
【図表7】1カ月あたりの自由に使えるお金・各品目の消費金額(単位:円、平均より10%以上高いものをハイライト)クリックすると拡大します

 最後に、「登録者」と平均で価値観を比較し、「登録者」ではどのような価値観を持つ人が多いのかを確認していく。図表8では、男性学生・男性有職者において特徴的であった価値観を列挙している。男性学生においては、「自分を着飾ることは生活の上で重要だ」「多くの人が訪れる話題のスポットなどへ出かけるのが好きだ」が「登録者」の割合が大きく、周りの人との関係やコミュニケーションを意識していることが見て取れる。男性有職者の「登録者」は、「自分の人脈を表現すると、『浅く広い』よりも『狭く深い』のほうが近い」一方で、「多くのことを広く浅く捉えることが好きだ」という価値観を持つ人が多く、交友関係は広くないものの、情報収集には熱心である様子がうかがえる。

 一方、女性に関しては、学生・有職者共に、「登録者」に特徴的な価値観がなく、価値観で見た場合には同世代の女性と大きな違いがない傾向が出ている。

【図表8】男性各区分のアーティストチャンネル登録者における特徴的な価値観(単位:%)
【図表8】男性各区分のアーティストチャンネル登録者における特徴的な価値観(単位:%)クリックすると拡大します

 以上の傾向からは、男性学生の「登録者」は、ファッション・美容に関心が高く、また「世間に乗り遅れない」という意識が高い人であることがわかる。男性有職者についても、広く浅く多くのことを捉えたいという価値観やTwitter利用率・ニュース利用時間の高さから、世間の流行には敏感な人が多いことがわかる。

 女性の「登録者」は、YouTube利用者に占める割合が高いこともあり同世代の平均的な消費者にかなり近いものの、ライトファンを含めたアイドル好きが中心と言えそうだ。YouTubeだけでなくテレビで彼らのパフォーマンスを楽しんだり、Instagramで情報発信・収集を行ったりといった趣味を持っている可能性がある。また、女性学生の「登録者」は自由に使えるお金がやや多い一方でファッション・美容に多くお金をかけているわけではないことから、お金を使って趣味の「推し活」を積極的に行っている層が存在する可能性もある。

タイアップの際にはターゲットの特徴を考慮すべき

 今回はYouTubeチャンネル登録者の属性や消費傾向を把握できるFanDataBaseを用いて、YouTubeで音楽を楽しむ人々の特徴を確認してきた。YouTubeでアーティストのチャンネルを登録している人は、大学生を中心とした若年層が多く、若年層の中でも男性はファッション・美容に関心のある流行に敏感な人々、女性はアイドルに興味を持つ人々が多い可能性があることがわかった。

 分析からは、Z世代のアーティストチャンネル登録者と言っても、属性や見ているジャンルによって大きく興味関心が異なっていることが示唆される。Z世代に商材の価値を伝える方法として、コラボや広告配信という形でアーティストのチャンネルとタイアップすることを検討する場合は、ターゲットやタイアップ先の登録者・視聴者の特徴によってその訴求軸を変えることが有効と言えるかもしれない。たとえば、バンドのチャンネルを視聴する男性にアプローチする場合、流行アイテムや、ファッショナブルなアイテムとしての訴求が刺さる可能性がある一方、女性の学生層をターゲットとする場合には、アイドルやテレビで注目を浴びる有名人によるレコメンドが有効であると考えられる。すなわち、音楽好きの「Z世代」の中での多様性を考慮していくべきということだ。

 【調査概要】

FanDataBase調査
  • 調査方法:インターネット調査(マクロミルリサーチパネル)
  • 調査期間:2023/02/15~2023/03/06
  • 調査対象:全国15~59歳男女
  • サンプルサイズ:n= 38,439(うち、アーティストチャンネル登録者 n= 11,695)
  • 詳細サイト:YouTubeチャンネル登録者可視化https://www.macromill.com/service/digital-data/subscribers-analyze/
比較用一般消費者調査
  • 調査方法:インターネット調査(マクロミルリサーチパネル)
  • 調査期間:2023/02/15~2023/02/17
  • 調査対象:全国15~59歳男女
  • サンプルサイズ:n=2,626

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この記事の著者

宮嵜 健太(ミヤザキ ケンタ)

株式会社マクロミル 
デジタルマーケティング本部 テクノロジー&デジタルプロダクツ部
データサイエンティスト

 データサイエンティストとして事業企画部門に所属。ポストCookie時代における広告効果測定手法の確立をミッションに、計量経済学のバックグラウンドを活かして、「因果推論」のフレームワークを応...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/08/30 09:30 https://markezine.jp/article/detail/42780

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