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花王廣澤氏が若手視点で聞く、これまでとこれからのマーケティング

「できない=恥ずかしいと思わないマインドが大事」俳優と経営者、2つの顔を持つ小林涼子さんのキャリア観

農業ビジネスで起業の背景とは

廣澤:続いて、現在代表を務めているAGRIKOを立ち上げて農業に関するビジネスを始めたきっかけを教えてください。

小林:2014年ごろ、仕事が思うようにいかない時期に、家族が誘ってくれたのが農業と出会ったきっかけです。最初は父の友人の田んぼで稲作の手伝いから始め、年々できることが増えていき、お米もおいしいし地域の人も優しくて農業にハマっていきました。

 しかし、2021年に家族の体調不良により農業を手伝えなくなったとき、農業の継続の難しさに気づきました。そして、持続可能な形にしないと、通い続けてきた大好きな場所がなくなってしまうのでないかと考えるようになりました。

小林氏2

廣澤:その経験から農業に関する社会課題に関心を持たれたということでしょうか。

小林:そうです。社会課題は、いつか誰かが解決してくれるものだと思っていたんですが、初めて自分ごととして捉えました。

廣澤:社会課題を自分ごととして捉えたとしても何かの行動まで起こす人は多くはないと思います。ましてや、その課題に対して起業しビジネスとして挑戦するという選択を取ることのできる人はさらに珍しいと思うのですが、なぜ起業だったのでしょうか。起業以外にも選択肢は様々にあったように思うのですが。

小林:どこかの会社に入社し副業として働くことも考えたのですが、そもそも会社員として働いたこともない自分にできそうな仕事がなかったんです。様々な解決方法を探していく中で、私の目標を達成できそうなのが起業でした。

起業に立ちはだかるハードルを乗り越えられた理由

廣澤:会社員として自分にできそうな仕事がなかったという話がありましたが、企業の場合は組織化されており、ある程度は組織によってやるべき仕事の道筋が定められていることの方が多いと思います。一方、起業となると一人で一から進める必要があり、あらゆるハードルが立ちはだかると思うのですが、最初に直面したハードルは何だったのでしょうか。

廣澤氏2

小林:登記ですかね(笑)。本当に何したらいいかわからないし、会社を立ち上げるのにすごくお金がかかるんじゃないかと最初は思っていました。でも調べて見ると、25万円ほどあれば登記できることがわかり、乗り越えることができました。

廣澤:何もわからない状況から一人で課題を乗り越えていくのはハードだと思いますが、周囲の協力なども得ながら進めていかれたのでしょうか。

小林:そうですね。「まずは登記」と教えてもらったらすぐ検索して、本で詳しく理解したほうがいいと思い起業に関する本を買って、定款を作る必要があると知り、そもそも定款の意味もわからないのでまた調べて……というのを最初の1ヵ月は繰り返していました。

 そうして、起業を思い立ってから1ヵ月で会社を立ち上げることができました。

廣澤:まずは自ら調べる、行動する、を徹底されたのですね。それができないビジネスパーソンも多いので素晴らしい行動力だと思います。

小林:わからないことは人に聞くか検索エンジンで調べれば、大抵のことは答えが見つかります。学ばないといけないことは多いけれど、まずやってみればいいと思います。もしダメでもダメなところを直せばいいのですから。

廣澤:近年の経営学の理論に優れた意思決定を行う起業家に関する研究を行った「エフェクチュエーション」という考え方があります。従来のビジネスでは明確な目的を設定した上で最適な手段を検討する「コーゼーション」という考え方が一般的ですが、エフェクチュエーションはその逆で、現在の自分が取りうる手段の中から最良と思われる手段を重視し、そこから想定される複数の目的地を見据えて柔軟に行動していく考え方です(出典『エフェクチュエーション:市場創造の実効理論』、監訳:加護野忠男、2015)。

 小林さんは会社員としての経験が少ないがゆえに、自分の取りうる手段からまずは行動していくという点で、エフェクチュエーションのような考え方を自然と実践されているように思います。

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俳優と経営者、2つの経験でキャリア観はどう変化した?

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/08/30 08:30 https://markezine.jp/article/detail/43242

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