サプライヤーとセラーには提携するメリットはあるの?
ドロップシッピングの本質は、
「在庫の管理・発送を代行するサプライヤー(商品供給元)」
「御用聞きをするセラー(販売代理店)」
「販売代理店から商品を購入するカスタマー(顧客)」
上記の3者からなるものであると前回では説明をしました。しかしながら、サプライヤーとセラーの関係をよくよく考えてみると、セラーは在庫の管理や発送業務をサプライヤーに委託しており、セラーだけにメリットがあるように思えてならない…、というのが正直な感想かと思います。
確かに、セラーの担当業務はサプライヤーのそれに比べて「楽をしている」と見られても仕方のないものがあります。しかしながら、なんらかの理由があって、サプライヤーとセラーは提携を行い、そのうえでドロップシッピングというビジネスモデルが構築されているということは明白な事実です。
となると、セラー・サプライヤーともにメリットを享受できるような「なにか」が存在することは間違いありません。では、その「なにか」とはいったいどのようなものなのでしょうか。通常、商品販売業を営もうと考えると、おおまかには
- 仕入れ/製造業務
- 管理業務
- 営業業務
の3業務が必要となります。売るための商品確保たる【仕入れ/製造業務】、在庫の管理や顧客の管理、流通(発送)管理たる【管理業務】、商品を売るという行為たる【営業業務】…、当然といえば当然のものなのですが、これらをドロップシッピングに置き換えてみましょう。
サプライヤー | セラー | |
---|---|---|
仕入れ・製造業務 | ○ | |
管理業務 | ○ | |
営業業務 | ○ |
表にしてみると、上記のような形になります。【仕入れ・製造業務】と【管理業務】はサプライヤーの担当。また、【営業業務】はセラーの担当といった具合です。
通常の商品販売業では3業務すべてをこなさなければならないにもかかわらず、ドロップシッピングではプレイヤーごとにそれらが分かれていることがわかります。では、このことが何を意味するのかというと、それぞれの専門性に従って作業を分担している…、つまり、【分業】という体制を確立していることになります。
分業するということは、いうなれば「業務の効率化」をするということです。営業は営業の得意な人(企業)へ、仕入れは仕入れの得意な人(企業)へ…つまり、ドロップシッピングは、分業により双方にないものを補完することができるというわけです。実は、このことこそがドロップシッピングのビジネスモデルが成立するための前提なのです。
昨今では、多くの企業が業務の効率化を求めアウトソーシング…、例えば、わかりやすいものを挙げると、ヘルプデスクをコールセンターのノウハウを持った企業(『ベルシステム24社』などが有名ですね)に外部委託するといったもの…をしていますが、ドロップシッピングも商品を効率よく流通販売させるために、セラーはサプライヤーに、サプライヤーはセラーに専門業務をお願いしているというわけです(注1)。