セラーのメリットを見てみよう
理想的で効率的なビジネスを展開できるドロップシッピング。プレイヤーの1人であるセラーには、どのような特長やメリットがあるのか知りたい方は多いことでしょう。ドロップシッピングに興味がある人というのは、どちらかといえば、サプライヤー側ではなくこれからセラーとしてドロップシッピングに参加しようという人の方が多いはずですからね。
ところで、「セラー」という代理店に位置するプレイヤー(ドロップシッピングにおける各プレイヤーについては前回をご覧下さい)を「ドロップシッパー(Dropshipper)」という呼称で統一しようとする動きがあるみたいですね(注2)。
アフィリエイトサービスを利用する人を「アフィリエイター」と呼んでいたので、その流れでしょう。ただ、個人的にはこの呼び方には違和感をもっています。辞書を開いてみるとわかるのですが、Dropshipperは「直送配給元」という日本語訳であり、どちらかというと商品供給者を示すサプライヤーのことを意味するためです。まぁ、別にどのような名称であっても、ユーザーに受け入れられたものが“正しい名称”になるので特にこだわりはないのですが、ただ海外の方が日本のドロップシッピングサービスを見たときに、「わけがわからない」と言われないようにはしなければならないかなと思っています。
話が少しそれてしまいました。さて、セラーのメリットですが、具体的にはどのようなものがあるのかというと、1つは前回でも説明したとおり、「在庫を抱える必要がない」というものです。

セラーは、サプライヤーとドロップシッピングの契約を取り交わすと、実際に商品を仕入れることなく、商品を販売することができてしまいます(上図参照)。もちろん、実際に商品を仕入れて手元に保管するわけではないので、倉庫の準備や仕入れ費用というものも発生することはありません(とはいっても、会計上ないし簿記上では「仕入」という費目が立つのですが。こちらについては、後々会計編にて説明をしたいと思います)。まぁ、この点を見ると非常にアフィリエイトに近いという印象が強いと思います。
しかしながら、ドロップシッピングにおけるセラーの最大のメリットというのは、「在庫仕入れ不要」ではありません。ただ単に、「在庫仕入れ不要」だけがメリットなのであれば、アフィリエイトを利用して、楽天などのネット通販の商品を紹介したほうが気楽ですからね。
では、何が最大のメリットなのかというと「価格決定権」というのがソレなんです。価格決定権というと少々小難しいですが、もうちょっとわかりやすく説明すると、
ということです。なぜ、このようなことが許されるのかというと、大きく2つの観点から説明をすることができます。列挙してみますと、
- セラーは営業権をもっている
- セラーは“仮想的”に仕入れている
という、この2つになります。
「営業権を持っている」というのは、サプライヤーとセラー間における契約的な話ということもできますが、基本的にセラーは、「サプライヤーに商品を売ることを任された(お願いされた)立場」…つまり、商品販売のフロントなのです。
フロントであるということは、営業の最前線にたつわけですから、販売価格の采配はある程度フレキシブルでなくてはなりません。大量購入するから値引きしろ! なんていうのは当たり前のように商習慣に組み込まれていますからね。ですから、セラーが自由に動けるように、サプライヤーは商品販売に関する「権利」を認めてあげている…すなわち、セラーは価格決定権を持つことができるというわけなのです。
とはいっても、サプライヤーとしてはあまりにも安い価格で販売されてしまっては、儲けがでなくなってしまうので、セラーに対して「大体この金額近辺で販売してヨ」といった、希望小売価格を設定している場合などがほとんどのようですが。