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AD/コピーライター/フォトグラファーが考える、今後の時代に合った“撮影チーム”をつくるには[座談会後編]

今の時代に合った撮影チームのありかたとは

強いのは「みんなでつくっていく」スタンスのチーム

千葉 田村さんから「『クライアントの中での最終的な意思決定をする決裁者の方が誰か』をつかんで意識しておく」というお話がありましたが、そのために大切なことは何でしょうか。

田村 直接やりとりをしている担当者の方は、撮影現場で行ったことをトランスレートして自分の組織に入れていかなければならないわけです。そのためたとえば担当者の方から「上からはこう言われているんです」と伝えてもらいやすくなるような関係性をつくっていくことが大切だと思います。そのためにまずは、担当者の方とのコミュニケーションをしっかりとること。話しやすい関係づくりはもちろん、その方が置かれている環境を理解できることにもつながります。つまり、クライアント担当者の方を含めて「チームになる」ことが大事なんです。

鹿児島 そうすると、クライアント自身の社内会議で提案できるよう、私たちもそのタイミングに合わせて撮影ラフをつくり用意するなど、協力の仕方を考えやすくなりますね。

千葉 コンセントメンバーから、「フォトグラファーとの打ち合わせには同席してもらってそれぞれの意見をしっかり出し合ってイメージをできるだけ共有しておくこと。撮影当日は試行錯誤の時間にも限界があるので、答え合わせだけするぐらいのつもりで臨む」という声もあったのですが、まさにそれが“チームになる”ということかもしれません。

いろいろなメディアが発達し、フランクに発信ができるようになっているため、「つくる人と判断する人」と分けるのではなく、クライアントの方も同じプレーヤーとして「みんなでつくっていく」というスタンスのチームづくりが、今の時代に合った撮影現場のありかたなのではないかと思っています。

物理的にも心理的にも「近くにいること」が大切

千葉 田村さんはクライアントとひとつのチームとなるために、具体的にどのようなことを行っていますか?

田村 フォトグラファーの場合、撮影現場で初めてクライアントの担当者と会うことが多いのですが、現場で大切にしていることは「最初から見せる」ことです。出来上がった写真だけを見せるのは断絶でしかないんですよね。まったくできてないところから見ていただき一緒に取り組んでいくことが重要かなと思っています。

あと、「物理的に近くにいる」ことも意識しています。私はもちろん撮影現場から離れられないんですが、アシスタントがいるときなど、準備の間にはクライアントの近くにいて話すようにしています。

鹿児島 私も、撮れた写真がOKかどうかを確認するタイミングだけではなく、その前の撮影をセッティングする段階から、私たちが行っていることをできるだけリアルタイムに伝えるようにしています。たとえば、「この影がかかると製品がよく見えないから、それを解消するために調整しています」と伝えたり、調整したらその写真を見せて「さっきはこうでしたが、いろいろ調整してこうなりました。良くなりましたよね」と話したり。そうすると「ああ、たしかに」と言っていただけたりします。

こんなふうに「一緒につくっている」感覚を実感していただけるようにすることも心がけています。

田村 それに、そういう撮影がいちばん楽しかったりしますよね。

鹿児島 そうなんですよね!クライアントの担当者の方も気持ちが乗ってきて、より発言してくれるようになったりしますしね。

千葉 「乗ってもらう」って大事ですよね。

以前、あるお仕事で撮影をする公園を探していたのですが、条件に見合った場所がなかなか見つからなかったことがありました。稀だとは思うのですが、そのロケハンにクライアントの方が同行してくださったんです。車まで出して運転して、荷物も積んでいただいて。

夏の暑い時期で汗だくになりながら、ああでもないこうでもないといった試行錯誤を一緒にしたり、暑かったためロケハンのちょっとした合間に涼しいところでお茶をして、普段の仕事の話や雑談をしたり。そうしたときに「すごく距離が縮まった」と感じました。

だから田村さんや鹿児島さんの「物理的に近くにいる」ことと、完成するまでの「過程を一緒に経験する」こと、そして「プロジェクトに直接関係しない雑談もたくさんする」ことが大切だと思っています。

思い切って脱線した話をしてみることで、組織や業務の中で置かれている状況、考えていること、担っている役割などがわかってくるんですよね。人となりのようなものが見えてくることもありますし……。

そしてそれはクライアントも同じではないかと思うんです。「プロだから、いつでも完璧な判断ができる」と思われているかもしれませんが、デザイナーやフォトグラファーも試行錯誤しています。悩んだり考えたりしているところもお互いに見せ合って一緒に解決するといった関係になれると良いなと思っています。

クライアントの「こうあるべき像」を変える


田村 私は長くフォトグラファーとして活動しているのですが、昔は撮影準備ができてからクライアントを迎え、専用の席に座っていただき、撮影後には出来あがった写真を見せ「どうでしょうか?」とおうかがいするやりかたが当たり前のように行われていました。ですが今は、この方法、つまり「クライアントはこうあるべき」という像を変える必要があると思っています。

準備前のまっさらな状態から一緒に撮影現場に入ってもらい、一緒に悩んでベストな解に向かって考えていけるよう、フォトグラファーやデザイナーさんも従来の思考のルーティーンから抜け出したほうが良いです。

鹿児島 クライアントは、私たちデザイナーやディレクター、フォトグラファーさんにはわからない分野について知っているプロなんですよね。

田村 昔の考えかたにありがちでしたが、上下関係をつくってしまうのがいちばん危険です。さっき千葉さんが言っていた無駄話も、その上下関係の段差を減らすステップなんですよね。

千葉 私は撮影の仕事が好きで毎回楽しんでいます。撮影を回す立場としてプレッシャーを感じつつも、それを撮影チーム全員でおもしろがることができれば、おのずと出来あがる写真のクオリティにも反映されるのではないでしょうか。

鹿児島 みんなでおもしろがったもののほうが、確実にクオリティが上がりますよね。

田村 そうなんですよね。さっき鹿児島さんが言ったようなクライアントがもつ知識をチームに共有してもらって、写真のクオリティに生かすためにも、最初から一緒に撮影現場に入ってもらい、準備も全部見てもらう形にしていくべき。要は「クライアントと制作サイド」という考えかたを変えなければいけない時期にきているのだと思います。

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MarkeZine(マーケジン)
2023/11/24 08:15 https://markezine.jp/article/detail/44212

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