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MarkeZine Day 2025 Retail

「欲望(Desire)」で紐解く、消費者の今と未来

アレもコレも。現代のトレンドの裏にある「消費者の欲望」を事例で解説

「#白湯メイク」「#無加工主義」からわかる自己ブランディングの方向性

【欲望トレンド1】リアリティ(リアルっぽさ)への収斂:“映え”や“盛り”の常態化による疲れが生じ、リアル(日常)でも非リアル(映え・盛りなど非日常)でもない「作為的なリアリティ(リアルっぽいもの)」に欲望が寄っていく。

佐藤:では1つ目の「リアリティ(リアルっぽさ)への収斂」からいきましょう。誌面では、若年層を中心に人気の『BeReal(ビリール)』やローソンの『盛りすぎ!チャレンジ』『chocoZAP』などを事例として紹介しました。このほかにも興味深い事例がたくさんあります。

トレンド事例1:「#白湯メイク」「#無加工主義」

 たとえば、「#白湯メイク」「#無加工主義」のハッシュタグがInstagramで流行っていますよね。白湯メイクはすっぴん(ナチュラル)を装ったゴリゴリの化粧ですし、#無加工主義をつけるのは「無加工なのにイケている私」を暗にほのめかしているように見えます。

「2023上半期ビューティートレンド」
#白湯メイク(「2023上半期ビューティートレンド」を発表したByteDanceプレスリリースより)
「2023上半期ビューティートレンド」を発表したByteDanceプレスリリースより
「2023上半期ビューティートレンド」を発表したByteDanceプレスリリースより

  “映え”や“盛り”が常態化した結果、「逆にそういったものはイケていない」「みんなが盛れていると、その中でもう目立てない」となったのでしょう。自己ブランディングが“自然っぽさ”や“普通っぽさ”“頑張っていない感じ”に向かっていることが、このトレンドからわかります。

トレンド事例2:Quiet luxury(クワイエット・ラグジュアリー)

 また、海外でも「Quiet luxury(クワイエット・ラグジュアリー)」の潮流が顕著です。パッと見はシンプルで普通なんだけれども、生地や仕立てがとても良い、そういったファッションが海外のセレブリティの間で大流行しています。この裏には、経済的な格差の開きが大きくなっていることがあり、炎上を避けるために「“普通っぽさ”を添えなければ」という意識があるのだろうと考えています。

MarkeZine編集部:誰が言ったわけでもなく、世の中の空気感をなんとなく読んで、こうしたトレンドが生まれているのがおもしろいですね。「リアリティっぽさ(リアルっぽさ)への収斂」の欲望がわかりやすく消費に繋がっている例はありますか?

佐藤:「リアリティ(リアルっぽさ)への収斂」の欲望には3つのタイプがあり、先ほどの「#白湯メイク」は非日常の映えが日常に寄っていくタイプでした。一方、インフレや円安など経済的な理由で非日常(ハレ)を作れないストレスから生まれた「日常の中に非日常を見つける(ボトムアップ型)」という欲望のタイプもあります。

トレンド事例3:1,000円ガチャ

 このボトムアップ型の欲望をうまく活かしている例が、最近話題の「1,000円ガチャ」です。たとえば、1,000円ではないのですが、西紀サービスエリア(下り線)で実施された『ガチャめし』は特に話題になっていました。これは、500円で最大2,500円のメニューが当たるという企画です。500円で非日常的なイベント(ハレ)を体験できるという意味で、消費者の欲望にマッチしていたのだと思います。

西紀サービスエリア公式HPのリリースより
西紀サービスエリア公式HPのリリースより

トレンド事例4:Liquid Death(リキッド・デス)

 もう一つ、アメリカで流行っている『Liquid Death(リキッド・デス)』という商品をご存知ですか? 実は、これ、単なる水なんです。普通の安全な水にデスメタルの世界観をわざわざ持ってきて、ブランディングしているわけですね。これは非常におもしろい日常の拡張だと思います。こうして見ると、日本だけでなく海外でも恐らくこの潮流はあるのでしょう。

500mlのアルミニウム缶に入ったLiquid Death(Liquid Death公式HPより)
500mlのアルミニウム缶に入っている(Liquid Death公式HPより)

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これも「タイパ」を求める心理の表れ?

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2024/01/24 09:45 https://markezine.jp/article/detail/44357

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