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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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決済データで市場を紐解く!三井住友カードの「Custella」(AD)

メディケア生命のペルソナ分析方法 意識データ×決済データの掛け合わせで見えた有望層の特徴とは?

 自社の強みや顧客像を精緻に把握するためには、定量×定性の二軸によるデータ分析が不可欠です。本稿では、医療保険に強みを持つメディケア生命の取り組みを紹介します。ライフステージと加入ニーズがリンクしやすい生命保険に比べて、加入タイミングやニーズの把握が難しい医療保険。メディケア生命では三井住友カードの分析支援サービス「Custella Research」を活用し、どのようにそれらを把握していったのでしょうか?

何となく描いたペルソナで広告制作の効率は上がらない

──メディケア生命ではマーケティングを進めるにあたり、どのような課題があったのでしょうか。

石垣(メディケア生命):ターゲット像の把握に課題を抱えていました。加入者の属性を踏まえて、何となく「こんな方かな」とイメージするにとどまり、ペルソナを明確に設定したことがなかったのです。そのため、Web広告のバナーやLPなどのクリエイティブを制作する際に、我々のチームと制作チームの間で認識のずれが発生し、思うようなスピードで制作が進まないこともありました。

石垣氏
メディケア生命保険 市場戦略部 ダイレクトマーケティング室 室長 石垣佳孝氏

川村(メディケア生命):外部委託先の制作会社とは、私と本島がフロントに立ってやりとりしているのですが「どのような人に向けたクリエイティブを制作してほしいか」がクリアになれば、よりスムーズに調整ができそうだと感じていました。

川村氏、本島氏
(左)メディケア生命保険 市場戦略部 ダイレクトマーケティング室 川村真佑美氏
(右)メディケア生命保険 市場戦略部 ダイレクトマーケティング室 本島瑞紀氏

──課題を解決するために、三井住友カードの「Custella Research」を活用したそうですね。MarkeZineではたびたび「Custella Analytics」の活用事例を取り上げてきましたが、両者はどう違うのでしょうか。

村上(三井住友カード):Custella Analyticsが当社の保有するキャッシュレスデータを用いて分析を行うのに対し、Custella Researchではキャッシュレスデータにアンケートデータを掛け合わせて分析を行います。キャッシュレスデータの強みは「いつ、どこで、誰が、何に、いくら消費しているか」を明らかにできることです。ただ、保険商材の場合は加入者のニーズや背景が多岐にわたります。「どのような判断材料や比較軸で加入先を決めるか」を明らかにするためには、アンケートを通じて得られる意識のデータが有効なのです。Custella Researchでは三井住友カードの会員がアンケートに回答しているため、属性・行動・意識を網羅したデータの分析を可能にします。

村上氏
三井住友カード マーケティング本部 データ戦略部 データビジネスグループ データビジネスプランナー 村上慶祐氏

競合利用も含めた消費データ×定性データが魅力

──数ある調査分析サービスの中から、Custella Researchを選んだ決め手はどこにありますか。

石垣(メディケア生命):他社利用のデータも含めて深い分析ができる点です。自社の加入者を対象にアンケートを実施すれば、ある程度のペルソナは浮かび上がるかもしれません。しかしながら「他社にはない自社ならではの特徴」まで掴むことは難しいと思います。加えて、キャッシュレスデータを活用できる点も決め手でした。決済データを用いない調査・分析ツールの場合、ふわっとした示唆しか得られない懸念があったからです。定性データ×実消費データによる分析が可能なCustella Researchなら、ペルソナがはっきりと浮かび上がってくる期待がありました。

──メディケア生命に提案した分析プランの全体像をお話しください。

村上(三井住友カード):メディケア生命様の加入者だけでなく、他社の加入者も分析の対象とすることで、保険加入者のニーズや比較検討軸を明らかにするプランをご提案しました。その点が明らかになれば、メディケア生命様がマーケティングで注力すべき人やチャネルがわかると考えたためです。三井住友カードの会員向けに実施したアンケートの質問項目は、そのようなアウトプットにつなげることを意識して設計しました。

宮崎(三井住友カード):第一ステップでは市場を理解するべく、キャッシュレスデータを用いて保険加入者全体の分析を行いました。第二ステップでは企業規模および加入チャネルに応じて保険会社を5つのグループに分類し、競合比較を実施。メディケア生命の加入者に見られる特徴を明らかにしました。第三ステップでは分析対象を「メディケア生命の加入者」に絞り、キャッシュレスデータで属性・行動の捕捉を、アンケートデータで意識の深掘りを行い、ペルソナ像を描きました。

乗り換え?経済不安の解消?加入目的に鍵

──分析の結果、得られた示唆を教えてください。

宮崎(三井住友カード):第一ステップでは、保険に加入している方が50~60代の高年齢層であることがわかりました。日頃から健康食品などへの消費傾向が強く、当社の会員全体と比べて平均年収が高い点も特徴です。

宮崎氏
三井住友カード マーケティング本部 データ戦略部 データビジネスグループ データアナリスト 宮崎由唯氏

宮崎(三井住友カード):第二ステップと第三ステップでは、メディケア生命様の特徴がはっきりと浮かび上がりました。まずは加入者における若年層の多さです。他のグループと比較すると、圧倒的な差が見られました。また、加入の決め手として「安さ」や「わかりやすさ」を挙げた方が多く、商材のコストパフォーマンスがメディケア生命様の強みであることを物語っています。加入チャネルで「保険代理店」に強みを持つ点も特徴的です。

 加入の目的にもメディケア生命様ならではの特徴が見られました。「保険契約の乗り換え」「経済的な不安の解消」「ライフイベントの発生」を挙げる方が特に多かったのです。これらの動機を持つ方がメディケア生命様の有望なターゲットになると考え、加入者を目的別に分けた上で定性/定量の両面から深掘りをしてみました。

 深掘りした結果「保険契約の乗り換え」を目的に、主に50~60代の男性がメディケア生命様で保険に加入していることがわかりました。過去に加入した保険の料金や内容に満足できなくなった方が、乗り換えを検討した末、加入に至っているようです。この方々が重視するポイントの一つに「一定の保険料」が挙げられます。メディケア生命様の商材は、加入時から保険料が上がりません。歳を重ねて今後の健康状態を案じる50~60代の男性が、この点に魅力を感じて選んでいるのです。加入先を検討する際、主に保険の販売代理店やカタログの情報を参照している傾向も見られました。

 さらにキャッシュレスデータを基に、日頃の消費行動も分析してみました。健康関連やゴルフ関連の消費に加え、レンタカーやガソリンスタンドの利用傾向から「車でゴルフ場に行き、日常的に体を動かす」「健康意識が高く、定期健診を受けつつ自己管理もする」などの行動様式が浮かび上がってきたのです。

アンケートの回答率が高かったワケ

宮崎(三井住友カード):一方「経済的な不安の解消」を目的に加入する層では、子育てをする30代男性のボリュームが大きかったです。キャッシュレスデータを紐解くと、学校や塾関連の消費が見られました。フリマサイトの利用や貯蓄型積み立てサービスでの決済もあったことから、子育てをしながら節約する人物像が見て取れます。この方々が保険商材を選ぶ際に重視するポイントは「安さ」です。メディケア生命様で保険に加入した背景にも、家計の見直しや将来に備える意識があるのでしょう。また、保険契約の乗り換えを目的とするグループとは異なり、保険会社のWebサイトを見て比較検討する方が多いこともわかりました。

──分析結果を受けていかがでしたか。

川村(メディケア生命):普段から自社の資料請求や申し込みのデータを見ているため、加入者の年齢層や性別については概ね予想どおりでした。代理店経由で加入する方が多いことも把握していましたが、代理店経由で加入する方とWebサイト経由で加入する方の行動様式や嗜好の違いを意識したことはなかったため、勉強になりました。

──ここまで精緻な示唆が得られた要因はどこにあったのでしょうか。

宮崎(三井住友カード):アンケートの設計にあると考えています。設計にあたっては、メディケア生命様が知りたいことを回答者の負担にならない質問数で引き出す必要があります。「この回答項目で抜け漏れはないか」「知りたいことは網羅されているか」など、メディケア生命様と何度も点検を重ねた結果、今回は全16の質問項目で保険加入者の意識を明らかにすることができました。

村上(三井住友カード):Custella Researchの良いところは、属性などの基本情報はもちろん、日常の消費行動をアンケートで聞き出さずともキャッシュレスデータで捕捉できる点にあります。意識に関する質問のみにフォーカスできるため、回答率を損なわずにアンケートを実施することができるのです。今回は約30万通のアンケートに対し、回答率が約2%でした。属性や消費行動までアンケートで聞いていた場合、途中で離脱してしまう人が発生し、ここまでの回答率は出せなかったと思います。

広告配信のターゲット層を広げることができた

──分析結果を踏まえ、保険加入を促すための有効なアプローチも提案したそうですね。

宮崎(三井住友カード):保険契約の乗り換え目的で加入する50~60代男性への訴求ポイントとして、定年後もお手頃価格で保険に加入できる点を考案しました。保険の販売代理店におけるアプローチを継続していただきつつ、追加施策としてその方々がよく利用する場所におけるカタログ配布強化などのアプローチをご提案しました。

宮崎(三井住友カード):一方、子育てをする30代男性はWebサイトを見ながら保険を比較検討する方が多く、日頃からECサイトの利用も活発なため、子育てや節約、教育に関連した内容で広告案をご提案しました。

──提案内容を受けて、既に取り入れた施策や実践したことはありますか。

本島(メディケア生命):外部委託先にペルソナの情報を共有した結果、クリエイティブの制作がこれまでよりスムーズに進むようになりました。示していただいたペルソナを踏まえて動画広告を制作/配信したのですが、これまでアプローチできていなかった層にまでターゲットを広げることができたと思います。具体的な成果についてはこれから検証を進めるところです。

石垣(メディケア生命):今までは「妻が夫の保険も検討するのではないか」という仮説のもと、動画広告では女性向けのクリエイティブしか作っていなかったんです。今回の分析結果を踏まえて男性向けのクリエイティブも用意し、ターゲットを広げることができました。

購買に至るまでのプロセスにも着目した分析を

──今回の分析結果を基に、今後どのようなチャレンジをしていきたいとお考えですか。メディケア生命の展望をお話しください。

石垣(メディケア生命):限られた人数でマーケティング活動を行っているため、業務をなるべく圧縮して考える時間を捻出する必要があります。今後はクリアになったペルソナを基に、クリエイティブ制作業務の効率をさらに向上していきたいです。

川村(メディケア生命):クリエイティブを内製する話も出ているため、今回明らかになったペルソナを踏まえて、ターゲットに刺さるチラシやバナーを作ることができるようになりたいです。

本島(メディケア生命):子育て関連のサイトやサービスなど、未開拓のチャネルにもチャレンジしたいですね。

──Custella Researchを通じて、今後チャレンジしたいことや提供したい価値をお聞かせください。

宮崎(三井住友カード):保険業界に限らず、コロナ禍を経て消費者の行動や意識は大きく変わったと思います。キャッシュレスデータだけでは捉えることのできない意識のデータも用いながら、クライアントの顧客理解やCRMをサポートさせていただきたいです。

村上(三井住友カード):消費の結果だけに目を向けるのではなく、そこに至るまでのカスタマージャーニーも考慮しながら分析や打ち手のご提案をするべきだと考えています。メディケア生命様とのお取り組みで改めてそのことを実感しました。今後も様々な業種業態のクライアントに消費データ×意識データを活用した包括的なご提案をしていきたいです。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:三井住友カード株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2024/03/22 17:27 https://markezine.jp/article/detail/44522