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MarkeZine Day 2025 Retail

Withコロナ時代、一歩先行く企業コミュニティの共創最前線

配達担当者と組合員のおしゃべりをデジタルでも再現 購買への導線をあえて置かない「コープ・デリシェ」


実利から離れ組合員のくらしを豊かにする

水野:コープ・デリシェが良質な顧客の声の収集源であることは理解できました。コープデリ全体のマーケティングや顧客コミュニケーションの中で、コープ・デリシェはどのような役割を担っているのでしょうか。

アイ・ティ・アール シニア・アナリスト 水野慎也氏
アイ・ティ・アール シニア・アナリスト 水野慎也氏

宇都宮:コープの商品のほとんどは、くらしに密接に関連したものです。私たちが最も大切にしているのは、組合員のくらしに寄り添うことです。そのためには当然くらしを理解しなければなりません。

 一般的な企業でも顧客理解の取り組みは進められていると思いますが、その多くは商品やサービスが提供する機能など、実利的な価値に焦点を当てていると思います。しかし、私たちは商品の先にあるくらしへと視野を広げることで、組合員のくらし全体を豊かにできるのではないかと考えています。その取り組みを進める上で、コープ・デリシェは重要な役割を果たしていると言えます。

水野:コープは元々が会員組織であり、会員の声を拾う仕組みは以前から存在したとうかがいました。

宇都宮:生協の宅配サービスでは、配達担当者が組合員との主要な接点になります。配達担当者からコープデリでのキャリアをスタートした私自身、配達を通じて組合員とのコミュニケーションを深めました。

 当時、配達はご近所同士などでつくる班ごとに行われていました。この班が地域のコミュニケーションの場にもなっており、配達担当者もその場に加わることがあったのです。私もそのおしゃべりに何度も参加し、班の皆さんとの交流を通じて信頼関係を築いていきました。商品についての感想はもちろん、時にはお叱りの言葉なども頂戴しましたね。

味噌づくりのプロセスをシェアするコンテンツが人気

水野:オンラインのコミュニティで声を収集することのメリットはありますか?

宇都宮:配達担当者の経験を経て、本部で企画・編集やコミュニケーションの仕事を担当することになりましたが、組合員とつながっておしゃべりすることを重視する考えは全く変わっていません。組合員の声に耳を傾け信頼関係を築き、くらしを理解する姿勢は、コープデリの文化として根付いています。そのための場が対面でもオンラインでも良いわけです。

水野:コミュニティの盛り上がりに貢献しているコンテンツを教えてください。

宇都宮:運営からの投げ掛けに会員が応答する「声をきかせて」です。日常生活の一コマを取り上げることで、多くの会員がコンテンツを自分ごととして受け入れてくれていると思います。

声をきかせてのテーマの一つ。自分ごととして回答しやすいテーマを選定した結果、237件のコメントが寄せられている
声をきかせてのテーマの一つ。自分ごととして回答しやすいテーマを選定した結果、237件のコメントが寄せられている

世良:2020年には「世界にひとつだけの手作りみそ」というコーナーを立ち上げました。コープで商品を取り扱っている味噌メーカーからも協力を得て、作り方動画やQ&Aも掲載しました。味噌作りは数ヵ月の熟成期間を要するため、長期間の様子をシェアすることも、会員の楽しみとなったようです。

コープデリ生活協同組合連合会 宅配CXデザイン部 CXデザイングループ 担当主任 世良聡子氏
コープデリ生活協同組合連合会 宅配CXデザイン部 CXデザイングループ 担当主任 世良聡子氏
※肩書は取材当時のもの

世良:手作りというテーマには「くらしに寄り添いそれを理解する」という、コープ・デリシェが大切にしている思想が込められていると感じています。今後は「つくるをはじめよう!」というコンテンツを新たに立ち上げ、食や調理だけでなく様々な手仕事を取り上げる予定です。

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「販売への貢献」は売り場で達成すべき

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この記事の著者

水野 慎也(ミズノ シンヤ)

株式会社アイ・ティ・アール シニア・アナリスト
デジタルマーケティングを中心に、IT製品・サービス市場の調査分析を通し国内企業のITや企画部門向けにコンサルティング活動を行う。 自身も前職のカゴメでは、ファンコミュニティサイト“&KAGOME”の担当者として運営をリードした実績を持つ。
【関連リンク】アイ・ティ・アール

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/04/17 20:40 https://markezine.jp/article/detail/45062

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