CAPIのその他のメリット
ボーウェン氏は「コンバージョンAPIは導入して終わりではありません」と話し、4つの例を挙げた。
1つ目は、オフラインストアのCVデータの可視化だ。オフラインセールスのデータは基本的にサーバーにしか存在していないが、CAPIを導入することでサーバーから送信できる。広告効果の可視化ができるようになり、実店舗を持つクライアントにとっては効果的な手段といえるだろう。
2つ目は、ディープファネルの最適化だ。サイト上で発生しないイベントも、基本的にサーバー内で管理しているため、CAPIを実装すると最適化が可能となりKPI達成に貢献できる。
3つ目は、アプリに関して。アプリのキャンペーンは、計測の仕様上、基本的にはAd to APPでしか配信ができない。しかしCAPI を実装することでAd to Web to APPの導線でWeb広告としてキャンペーンの配信・計測・最適化が可能だ。
4つ目は、LTVの最適化だ。ユーザーのLTVは基本的にサーバーにしか存在しておらず、計算も時間がかかることが多い。CAPIを導入すると、サーバーに連携し最適化。ビジネスのKPIに貢献できるようになる。
「今までは、メディアからアプローチとして、オンライン上のデータを活用してCV を増やすための打ち手が多かったですが、直近はクライアント様のLTV など、きちんとした収益構造に対してソリューションが増えている印象です。Metaは特に活発ですが、CAPIのようなソリューションを使わなければそもそもできないことが増えてきました。弊社もCAPI導入と合わせて、一緒に推進できればと思います」(杉山氏)
3rd partyソリューションの強みと活用
前述の通り、Cookie規制前後にかけて、いわゆるデータ、シグナル数の減少に伴い、CPAが高くなることは、一般的にいわれていた。今回紹介したCAPIを導入しても、Cookie規制前の状態に戻るわけではない点には注意が必要だ。
つまりシグナルの欠損によって、ターゲティング精度の低下は、一定数は発生してしまう。そこに対しては、今までとは異なるターゲティングアプローチが模索されている。
その一環として、サイバーエージェントはクレディセゾンと合弁で、株式会社CASM(キャズム)を設立。クレディセゾンが持つセゾンカード会員2,700万人の金融および行動データを分析し、独自のAI需要予測モデルで対象の各プロダクトに応じた、購入見込みの高いユーザーデータを抽出、広告配信に用いるサービスを提供する。
データには、性別はもちろん、年収や居住地、決済情報なども含まれている。
「決済情報から過去に何を購入したかがわかる、精度の高い見込み客データをターゲティングに活用できると考えています」(杉山氏)
連携はクレディセゾンだけにとどまらない。楽天のクレジットカードの決済データ、Sansanの名刺データや企業データなど、多彩なパートナーと連携することで、細やかに配信できる環境を構築。Cookieレスの世界に対応しようとしている。
こうしたことからも改めてCookie 規制によるシグナルの欠損と効率悪化への対策として、シグナル取得環境の補完が必須となりそうだ。「CAPIを導入すること。加えて3rd partyデータの利活用をお勧めします。今後はあらゆる場所にあるデータというアセットを使い、クライアント様そしてクライアント様のエンドユーザーとより良い環境を作っていければ」と杉山氏は述べ、同セッションを締めくくった。