購買可能性が高いユーザーに広告を届ける
──ジマーマンさんの自己紹介をお願いします。
Criteoのグローバルリテールメディア事業を率いる責任者として、世界中の小売企業にテクノロジーやソリューションを提供しています。前職では米国の大手デパートであるメイシーズにおいて、リテールメディア事業を担当していました。本日は小売企業での経験も踏まえつつ、皆さんにお話しできればと思います。
──リテールメディアの現在地をジマーマンさんはどうご覧になっていますか?
リテールメディアは現在、世界的に見ても非常にエキサイティングなフェーズを迎えています。なぜなら、様々な小売企業がそれぞれのステージで今後の道筋を模索しているためです。
従来、リテールメディアにおいては「顧客に商品を見つけてもらうこと」そして「商品の購買につなげること」がフォーカスすべきポイントでした。Criteoとしては、リテールメディアの価値をさらに拡大させていきたいと考えています。
統計を見ると、Webサイトを訪れるユーザーのうち、購買に至るユーザーはわずか1~5%であるとわかります。このレートを上げるための効果的な方法を、ブランドは常に模索しているのです。
我々はその点に着目し、ブランドが購買可能性の高いユーザーに広告を届けつつ、新規顧客にもアプローチできるよう、サポートを強化しているところです。もちろん、強化にあたってはユーザーに対する説明責任や透明性の高い仕組みが欠かせません。
オンサイト×オフサイトの併用が勝ち筋に
──ジマーマンさんが注目しているリテールメディアのトレンドを教えてください。
リテールメディアの黎明期は「オンサイト」に注目が集まっていました。つまり、小売企業のWebサイト(ECサイトやオウンドメディア)における広告配信です。その傾向は現在も続いているものの、顧客が訪れる場所は小売企業のECサイトに限りません。我々は「オフサイト」つまり小売企業のECサイトを離脱した顧客が閲覧するオープンウェブ上の広告に大きな可能性を見出し、リテールメディアの定義に含めてきました。
弊社が行った調査の結果、オンサイト・オフサイト両方の広告に接触したユーザーは、オンサイトにのみ接触したユーザーよりも高いCVRを示すことがわかりました。今後は両者を併用することで商品の購買を促し、さらには購入単価を上げる動きが加速するはずです。
とは言え、大多数のリテールメディアは依然としてオンサイトが主流です。なぜなら、オンサイトのほうが適切なタイミングでユーザーにリーチできるからです。それでも、商品のジャンルによってはオフサイトが有効なものもあります。たとえば、ハンドバッグのように購入の頻度が食料品などと比べてそれほど高くないケースです。そのようなジャンルの商品であれば、オフサイトでの広告配信がより有効と言えます。オンサイトからオフサイトへの拡大は見られるものの、オフサイトの本格的な台頭はこれからでしょう。