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広報活動・PRの効果を数字で語る!データ分析入門

広告換算値だけじゃない!事業貢献する広報活動のために見るべき指標とは?データ分析方法も解説【第3回】

国際的なPRの効果測定に関する7原則「バルセロナ原則」

 バルセロナ原則とは、国際的なコミュニケーション効果測定・評価協会であるAMEC(International Association for Measurement and Evaluation of Communication)が提唱したPRの効果測定に関する7原則です。

 世界的な広告賞でもある、カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルのPR部門でも、バルセロナ原則に留意しながら審査されていると言われ、広報・PRの効果測定の領域で近年信頼性を増しています。バルセロナ原則は2010年に初めて提唱され、2015年に「バルセロナ原則2.0」、そして2020年に「バルセロナ原則3.0」が発表されました。

「バルセロナ原則3.0」

1. Setting measurable goals is an absolute prerequisite to communication planning, measurement,and evaluation
計測可能なゴール設定は、コミュニケーションのプランニング、測定、評価において、絶対的に必要な前提条件である

2. Measurement and evaluation should identify outputs, outcomes, and potential impact
測定と評価はアウトプット、アウトカムに加え、潜在的なインパクトを明らかにすべきである

3. Outcomes and impact should be identified for stakeholders, society, & the organization
ステークホルダー、社会、そして組織のために、アウトカムとインパクトを明らかにすべきである

4. Communication measurement and evaluation should include both qualitative and quantitative Analysis
コミュニケーションの測定と評価は、定量分析と定性分析の両方を含めるべきである

5. AVEs are not the value of communication
広告換算費はコミュニケーションの価値を測定するものではない

6. Holistic communication measurement and evaluation includes all relevant online and offline channels
包括的なコミュニケーションの測定と評価には、オンラインとオフラインの両チャネルを含む

7. Communication measurement and evaluation are rooted in integrity and transparency drive learning and insights
コミュニケーションの測定と評価は、学びとインサイトを導くため、健全さと透明性に基づくべきである

(出典:ビルコムPR Blog

 バルセロナ原則では、以上7つの原則が記されています。簡単にまとめると「計測可能なゴール設定」が絶対的な前提条件であり、設定したゴールを基にコミュニケーションプランを考えることが必要だと伝えています。

 また具体的に取り組むためには、「SMART」に基づいて目標を設定すべきとも示しています。SMARTとは、目標設定に重要なポイントの頭文字を取った言葉です。

【SMARTとは】
・Specific=企業特有の
・Measurable=測定可能な
・Achievable=達成可能な
・Relevant= 活動に関連性がある
・Time-bound=時間制約がある

 広報活動の目的を達成するためには、この5つの要素が必須と言われています。

 バルセロナ原則では、測定対象となるチャネルについても言及されています。2.0では、いわゆるPESOメディア(Paid:広告、Earned:メディアなどでの報道、Shared:SNSでのクチコミ、Owned:自社媒体)でした。3.0ではさらに「Organic(オーガニック)」「Influencer(インフルエンサー)」も追加されました。

 現在の広報活動では、計測可能なゴール設定が必要になったことに加えて、効果測定の対象とすべきメディアも拡大していると言えます。

効果測定の指標は3つの分類から考えよう

 では、いよいよ効果測定を用いる指標についてお伝えします。効果測定を行うために、指標はアクション指標・アウトプット指標・アウトカム指標の3分類で考えましょう。

指標の3分類

1.アクション(活動)指標
どのぐらいアクションを起こしたのか、活動量に関連する指標です。たとえば、プレスリリース配信数や、重点媒体へのコンタクト数などが挙げられます。

2.アウトプット(露出)指標
リリースした情報が、社会にどれだけ波及したのかを示す指標です。この指標の達成率だけでは事業への貢献度を測れないため、間接的にアウトカム指標に貢献している指標として捉えます。たとえば、メディア掲載数やインプレッション数、リーチ数、波及数、閲読数などが挙げられます。

3.アウトカム(貢献)指標
波及した露出を見て人や社会がどう動き、経営に影響を与えたかを示す指標です。たとえば、売上金額やリード獲得数など事業に直接関わる数字のほか、指名検索数、ブランド好意度や認知率など、顧客の態度変容プロセスを示す指標も含みます。

 最も確認したいポイントである「広報・PRがどのぐらい事業に貢献できているか」を計測する際には、アウトカム指標を見ます。そしてアウトプットの成果を評価する際には、アウトカム指標との関連性を分析することが有効です。そのためアウトカム指標をKGIに、アウトプット指標をKPIに据えて定点観測していくことが多いです。

 広報組織が立ち上げ段階にある場合は、プレスリリース配信数や重点媒体へのコンタクト数などをアクション指標として設定することもあります。

 アクション・アウトプット・アウトカムの3つの指標を設定することで、自分たちのアクションがどのようにアウトプットにつながり、最終的にどのようなアウトカムにつながったかを把握できるため、広報・PR活動をより的確に評価できます。

次のページ
どのように成果データを分析する?手順を説明

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この記事の著者

倉地 大輔(クラチ ダイスケ)

ビルコム株式会社 プロデュース局 シニアコンサルタント。国内外大手クライアントのコミュニケーション戦略設計、メッセージ開発などPR支援に従事し、セミナーにも多数登壇。広報効果測定ツール「PR Analyzer®」のデータ分析に長け、社内資格「PRアナリスト」有資格者。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/10/09 09:00 https://markezine.jp/article/detail/46585

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