「アレクサはダメ、○○なら信用できる」?
また、今回の件でアレクサ以外の方法(ネットレイティングスとかコムスコア)なら信用できる、と書かれている人もいますが、これもそんな単純な話ではありません。
有料でやっていれば正確、というものでもないですし、集めたデータをどのように処理しているか、がブラックボックスで見えないのですから、どの会社のデータにしても正確かどうかはわかりません。
ランダムにサンプルを採用しているから、入れたい人がツールバーを入れるアレクサより正確、というような意見についても、そのランダムがどれぐらいランダムなのかというのを検証する必要があるでしょう。携帯ユーザのデータはどこも収集できていませんし、ネットレイティングスは「メガパネル」というAlexaツールバーと同様、申し込みベースでデータ提供者を集める手法も始めています。
米国では、それらの調査会社が宣伝文句通り中立公平にデータを集めていることを監査させようという意見も出てきていますが、今のところは謎の処理で出てきた謎の数字を、「おおむねあっているようだ」という経験から利用者が信用して使うという状態でしかないのです。
それは、CompeteでもGoogle Trends for websiteでもPathtraqでも同じです。インターネットの利用状況を完璧に調べることは無理ですから、何か一つの数字だけを持ってきて、それで増えた減ったを主張するのは、インターネットの仕組みを理解していないか、あるいは自分の主張したいことに合った結果だけを持ってきている可能性があります。
筆者の所属するサイボウズ・ラボでもPathtraqというのをやっています。「Pathtraqなら完璧」と言えると格好よいのですが、Pathtraqも、もちろん、完璧ではありません。パネルが日本人ばかりなので、日本での利用者だけについて見るときはアレクサよりいい点はあるかもしれませんが。
人は簡単な答えを望むもの
「激減」という言い切りの記事を書けば注目されるでしょうけれど、「よくわからない」では記事にはしづらいでしょうね。「その情報では減ったかどうかわからない。増えている可能性もある」と長く書いても、よく読まない人や興味が浅い人は読み飛ばすでしょう。
この記事を読まれても、たぶんすっきりしないだろうとは思いますが、何にでも必ず簡単ですっきりする答えがある、というわけでもありません。言い切り型のニュースで「意外だな」と思ったら、(意外だから広まるのでしょうけど)、それを根拠として同じ方向に煽るものだけでなく、反対意見のものにも目を通すことが重要なのでは、と思いました。
