態度変容とCVにつながった施策の内容とは?
では、具体的にはどのような配信設計とクリエイティブでコネクテッドTV・OTT広告を活用したのだろうか。大川氏によると「TVerを対象に、3パターンのクリエイティブを均等な予算で配信した」という。
1つ目のクリエイティブでは洗練されたインテリアデザインや心地よい走行性能などを訴求。2つ目はエンジン性能に、3つ目は安全機能に焦点を当てたクリエイティブを制作し、異なる訴求を展開した。また、共通して試乗予約をCTA(Call To Action)に置いた。
これらのクリエイティブを配信した結果、広告認知率・ブランド認知・ブランド購入意向すべてに貢献したことがわかった。この理由について大川氏は次のように解説した。
「コネクテッドTVは大画面でインパクトがあり、加えてTVerの場合見たい番組を能動的に探しているため広告視聴に関しても受容度が高い特徴があります。また、この特徴により視聴完了率も95%を超えています」(大川氏)
また、コンバージョンに関しても一定の成果が得られていたという。コネクテッドTV並びにOTT広告はクリックできない仕様がほとんどだが、The Trade Desk独自の分析技術を用いて、インプレッションとフリークエンシーの状況からビュースルーコンバージョンを視覚化しており、SUBARUの事例でも高い数値につながったという。
コネクテッドTV広告は今後日本でも主流になる
ここで気になるのが「どのようにしてコネクテッドTV・OTT広告の効果を改善するか」である。SUBARUの取り組みに関する具体的な運用の言及はなかったが、The Trade DeskではビュースルーコンバージョンをKPIとし、それをもとにメディアやデバイス、ターゲティング、クリエイティブなど様々な運用レバーを用いて効果の高いものを検証していくという。
そして、セッションの最後に大川氏は安室氏にセッションの結びとして今後の市場への期待と展望を聞き、安室氏は「アメリカではコネクテッドTVの活用が主流になっており、日本でもこの流れが来ると思う」と語った。
「調査では20代~30代を中心にOTTの利用率は高くなっており、40~60代に関しても約4割~5割くらいの方が既にOTTを利用しています(※)。テレビCMが持つリーチと検索リフトの高さは健在ですが、テレビとコネクテッドTVをはじめとしたデジタル広告をどのように組み合わせていくのかは今後重要になってくると思っています」(安室氏)
この安室氏の展望を受け、大川氏はThe Trade Deskとして広告主に対しどのような支援を行っていくかを語り、セッションを締めくくった。
「The Trade DeskはコネクテッドTVはもちろん、ディスプレイ広告や音声広告など様々な配信先を組み合わせながら、お客様のKPIをサポートすることにコミットできるプラットフォームとなっております。OTTやコネクテッドTV広告の配信の機会に活用をご検討いただければと思います」(大川氏)
※「With/Afterコロナ時代における国内外のOTT-V動向」(マルチメディア振興センター)のOTT利用に関するデータと「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 報告書 」(総務省)のテレビ視聴に関するデータを比較