SUBARUに学ぶ、広告のビジネス貢献の可視化
続いて安室氏は、SUBARUが展開している様々な広告をどのようにして効果計測しているかについて紹介した。SUBARUでは、オンライン上のコンバージョンだけでなく実店舗の見積や受注を重視し、オフラインコンバージョンでの評価を取り入れている。
この評価はデジタル広告だけでなくテレビCMでもほぼ同様な形で行えているという。具体的には、テレビCMの放送された時間やエリアのデータ、番組別視聴率のデータを自社の持つデータと連携し、テレビCM放送時に起こるWebサイト流入がどの放送局・時間・番組で行っているのかを可視化。その結果とWebコンバージョンや成約データと結び付けることで、テレビCMのビジネス寄与度を明らかにしている。
ここまでの内容を踏まえThe Trade Deskの大川氏は「このようなデータ活用・統合の仕組みを作る上でどのような苦労があったのか」と質問。これに対し安室氏は「経営層はもちろん、システムを一緒に開発するベンダー、ディーラーなど様々なステークホルダーと調整する必要があるので、その点は苦労した」と話した。
成長するコネクテッドTV市場の中でSUBARUが行った施策とは
ここで大川氏は次のテーマとして「動画広告 コネクテッドTV・OTT(Over The Top)の活用」を挙げ、コネクテッドTV・OTT広告市場の概況とSUBARUとThe Trade Deskの取り組みについて紹介した。
そもそもコネクテッドTVとOTTの違いは何か、読者の皆さんはご存じだろうか。前者はインターネットにつながったテレビ、つまりデバイスを指す。一方OTTはABEMAやTVerなど、コネクテッドTVやスマートフォンなどで再生できる動画配信サービス全般のことだ。
大川氏は「コネクテッドTVとOTTで配信できる広告の市場は右肩上がりに成長している」と語り、実際のデータを示した。OTTを提供するプレーヤーの市場規模は2024年には1兆円を超えると試算されており、そのうちの約4,000億円が広告収入になるという(AJA/デジタルインファクト調べ)。
コネクテッドTV広告の市場に関しても、2024年には約1,700億円の市場になる(AJA/デジタルインファクト調べ)と試算されている。コネクテッドTVに関しては、2020年時点では約100億円の市場規模しかなく、この4年で著しい成長を見せている。
この背景には、ABEMAやTVerといった主要OTTプレーヤーのコンテンツの充実がある。両サービスともにコネクテッドTVで視聴するユーザーが既に一定数いる状態であることがわかっている。
SUBARUでは、この成長するコネクテッドTV・OTT広告市場にチャンスがあると捉え、フォレスターのプロモーションで活用した。フォレスターはSUBARUの中でも一番売れており、安室氏も「屋台骨を支えている車種」と語るくらいで、その車種でコネクテッドTV・OTT広告の取り組みにチャレンジしたという。