共感を促し、気づきを得られるストーリーがZ世代にハマる
ここまで縦型ショートドラマがZ世代から人気を集める理由を解説しましたが、大きなブームとなっているのには別の理由があります。それは、縦型ショートドラマがZ世代の考えを引き出す材料となっているからだと考えられます。
前述した通り、ドラマという特性上、ショートドラマは視聴者の感情を動かすストーリーによって共感を促進します。そのため、題材にはZ世代が自分ごと化できるテーマが選ばれる傾向にあります。恋愛や学園ものなど年齢・立場の近さにより共感できるものから、社会問題や世の中の小さな疑問、Z世代とその他の世代間に生じている問題など、Z世代が共感でき、かつ気づきを与えられるようなストーリーも人気を集めているようです。
テレビドラマは老若男女に広く刺さるようなストーリー設計となっていますが、TikTokやInstagramなどのプラットフォームで動画の視聴を促すには、各プラットフォームのユーザー属性(特に若年層)のインサイトを反映させた題材を採用することが重要となってきます。
こうした自分ごと化できる話題をストーリーに反映させることでZ世代の共感を呼び、さらに発話にもつながるため、特に共感性の高い動画は連鎖するように話題性が高まっていくのだと考えられるでしょう。
縦型ショートドラマを企業案件に活かすには
SNSやインターネットと、物心ついた頃からデジタル技術に触れてきたZ世代は情報過多の中、必要なものだけを精査し取捨選択しながら生きているため、広告によく見られる「押し付け感」に強い抵抗感を覚える傾向にあります。
そんなZ世代をターゲットに商材やブランドの訴求を行うにあたって、ドラマとしての面白さやストーリーをメインにすることで自然に商材やブランドメッセージを組み込める縦型ショートドラマは企業プロモーションの有効な手段といえます。
縦型ショートドラマの制作にあたっては、前述したタイパを意識した構成にすることが求められます。動画の冒頭2秒でヒキとなるシーンを入れたり、結末を先に見せたりすることでZ世代の視聴維持を狙えるでしょう。また、情報処理に長けているZ世代に合わせて、テンポ良くストーリーを展開させることで、短時間の動画でも満足度の高いコンテンツを届けられます。
さらに、没入感を促す施策として、人物や商材にフォーカスしたカットを中心に構成することも重要でしょう。縦型ショートドラマは視聴者と映像との距離が近いことが特徴です。その特徴を活かしてさらに没入感を高めドラマの世界観に引き込むために、登場人物のカメラ目線の描写を多くするなども有用な戦略として挙げられます。
なお、縦型ショートドラマはいかに話題性を作るかがその動画をバズらせるカギを握ります。話題化にあたっては、Z世代の共感を得て発話を促し、インタラクティブ性を高める仕組みが必要不可欠です。
先述したように、共感できる題材を選ぶ、気づきを与えるストーリーを採用するなどの手法ももちろん効果的ですが、各話に謎解きや伏線などの気になる要素を散りばめて最終話で回収するなど、視聴者がコメントしたくなるような仕組みを動画に組み込むことも良いアプローチとなります。