「LPから離脱する」ユーザーへ無理なくアプローチするには?
――はじめに、CROソリューションパッケージの概要を教えてください。
福山:セプテーニ、デライトチューブ、ミロゴスの3社が提供する、AIチャットボットとLINE公式アカウントを活用した「CROソリューションパッケージ」は、集客不足やCVまでの導線の欠損といった課題に対し、サイト改善や離脱対策を行い、CRO(Conversion Rate Optimization)の名の通りCV率を最適化していくものです。
本ソリューションパッケージでは、SEOやUI/UX改善によってそもそもの集客を改善し、AIチャットとLINE公式アカウントを用いて離脱対策を行うことでユーザーをCVへと導きます。

本サービスでは、まずセプテーニが戦略を描き、当社グループの中で生成AIを活用したマーケティング支援を手掛けるデライトチューブがコンテンツSEOとAIチャットボット実装を担い、同じくグループの一員でありLINEに特化したデジタルマーケティング支援を行うミロゴスがLINE公式アカウント内のコンテンツの実装・運用を行います。
――現在の導入企業は何社ほどですか?また、利用に適した業界があれば教えてください。
福山:パッケージの部分的な使用を含めて30~40社ほどに導入いただいています。業界や業種に関わらずご利用いただくことができ、LINEの費用体系を成果報酬型にすることも可能です。戦略策定からコンテンツ準備、LINE運用まで一気通貫で対応いたします。また、事前にLINE公式アカウントをお持ちでなくても問題ありません。顧客体験を損なわずCVを増やしたいと考える企業様に広くご利用いただけます。
その中でも特に相性がいい企業が2パターンあります。1つ目は競争の激化などにより、潜在層へ目を向ける必要がある業界の企業様。2つ目は、最終購入やお申し込みに一定のハードルがある企業様です。
というのも、AIチャットボットやLINE公式アカウントを活用するCROソリューションパッケージの1番の強みは、対話によってユーザーをナーチャリングし、CVにつなげられる点です。丁寧なコミュニケーションを通じてユーザーの認識を変えたり、知識を深めたりしながら、自然に誘導していきます。

潜在層とつながるには?テアトルアカデミーが進める取り組み
――具体的な活用事例を教えてください。
嶋田:アーティストの育成やプロデュースなどの事業を手掛けるテアトルアカデミー様とのお取り組みをご紹介します。現在、TikTokerやインスタグラマーなども含め、芸能・エンタメ領域で活躍できる場がオンラインを中心に広がっていますが、この状況で、「活躍の方法やフィールドを検討されている方々へどのようにアプローチし、オーディションを受けてもらうか?」が同社の課題の1つでした。

「俳優になりたい」など、やりたいことが明確な方に対しては、比較的メッセージは伝えやすいです。しかし「なんとなく活躍したい」と思っている方や、多くの選択肢があるがゆえに悩まれている方にアプローチし、オーディションを受けてもらうこと(=CV)が難しいのです。加えて、コア施策である運用型広告による集客だけではなく、いかにタッチポイントを拡充していくかも課題でした。
そこで、AIチャットボットの導入+LINE公式アカウントへの導線作成を実施し、オウンドメディアの記事からのCVの最大化を図りました。
福山:具体的には、オウンドメディア上でのAIチャットボットとの対話を通して、ユーザーの悩みや置かれている状況を把握し、関連記事を紹介したり、オーディションの申し込みを案内したり、LINE公式アカウントでの友だち登録を促したりします。また、広告経由でもLINE公式アカウントへの導線を用意しました。
嶋田:LINE公式アカウントでは、友だちになっていただいたユーザー一人ひとりに合わせたコミュニケーションを通してCVへと導きます。
――押し付けではなく、自然にオーディションへ興味を持てる環境を構築されたのですね。

AIチャットボット×LINE公式アカウントの相乗効果とは?
――ここからは取り組みについて、AIチャットボットとLINE公式アカウントの活用部分をそれぞれ詳しくうかがいたいと思います。まずはAIチャットボットついて教えてください。
大槻:AIチャットボットでは、企業の意向にそった回答を生成しつつ、ユーザーが知りたい情報をきちんと提供できることが大切です。デライトチューブでは、「企業の伝えたいこと」と「ユーザーが知りたいこと」を両立させ、記事コンテンツを制作しています。テアトルアカデミー様の事例の場合は、既に当社が制作し蓄積してきた記事コンテンツの内容を生かして、チャットボットを設計しました。そのため、ユーザーの質問に答えながら自然にCVやLINE公式アカウントへの遷移を促すことが可能です。

――オーディション申し込みなどの直接CVと、LINE公式アカウントの友だち登録のどちらを促すかの判断はどこでされるのですか?
大槻:ユーザーの質問の温度感に合わせて、コミュニケーションを変えています。たとえば「この年齢で本当に声優になれるのか?」と悩む方に対しては、オーディションのご案内ではなく、LINEで行える声優の適性検査をご紹介します。

友だち追加から1週間でCVへ
――LINE公式アカウントでは具体的にどのようなことをしているのですか?
岡地:CVに至らない理由をユーザーごとに明確にし、一人ひとりに合わせた情報を提供することで気持ちに変化を起こしています。
前提として、友だち追加への誘導画面は、AIチャットボット以外ではブラウザバックなどの離脱アクションを条件にして、ポップアップで表示します。広告LPの離脱ユーザーは、一定の興味はあるもののCVにつながらない理由があると考えられるため、商品・サービスを押し出すようなものではなく、診断や適性チェックなどユーザーの悩みに寄り添うようなコンテンツをクッションとして入れ込むことで、友だち登録を促しています。友だち登録をしていただいたユーザーには複数のアンケートを行うことで、ユーザーの特徴を把握し、パーソナライズした情報を発信します。

たとえば、赤ちゃんモデルやキッズモデルの場合は、保護者の方にエントリーいただくことになるので、お子様の特徴を伺う質問をします。よく笑うのか、人見知りなのか、新しいことに興味を示しやすいのか、などです。よく笑う子なら「人と触れ合う撮影現場でも交流が上手でしょうからモデル向きですよ」など、お子様の持つ素質から活躍できるポイントを一緒に探り、提示します。こうすることで、エントリーへの意欲を高め、オーディションへの参加に向けて背中を押すコミュニケーションが可能になります。
――ナーチャリングして意欲を高めていくのはCVまでの期間が長くなりそうですね。
岡地:実はそうでもないんです。CVの大半は友だち追加から1週間以内に発生しています。LINE内でのパーソナライズされたコミュニケーションを通して疑問や不安などをきちんと払拭できているのだと思います。
本ソリューションパッケージは集客からCVまでにフォーカスした施策ですが、ユーザーとの継続的なコミュニケーションや施策を実施できるLINE公式アカウントはCV後のCRM領域にも強みを持っています。
たとえば、LINE上でエントリー内容の確認・変更ができるようにしたり、オーディションのリマインドを送信したり、AIや有人チャットと連携してカスタマーサポートを行えるようにしたりするなど、エントリー後のフォローアップへの活用も考えられます。また、友だち登録済みのユーザーに、周囲で芸能・エンタメ領域に向いていそうな方を紹介してもらい、紹介者とオーディション参加者の双方に特典がもらえるキャンペーンをLINEで実施するのも有効かもしれません。

目的・コミュニケーションに合わせたLINE機能を柔軟に提供
――CROソリューションパッケージではLINE公式アカウントを活用しますが、どのような機能やツールが使えるのでしょうか?
岡地:LINE上での診断・アンケートを行うための診断ボットをはじめ、診断内容に応じてパーソナライズされたメッセージや、シナリオを配信できる機能などを提供しております。ミロゴスでは、LINEのAPIを活用したツールやソリューションを複数保有しています。また、クライアント企業の保有するシステムとLINEとの連携といった開発領域にも強く、これらを組み合わせたLINE施策全体のプランニングや運用支援を得意としています。本ソリューションパッケージでは、セプテーニグループの持つ企画力と技術を掛け合わせることで、クライアント企業のご意向にそった機能をご提供できていると感じています。
――CROソリューションパッケージの導入に際し、クライアント側が準備しておくものや整えておく環境などはあるのでしょうか?
福山:クライアント企業にご用意いただくものは基本的にはございませんが、競合他社と比較した場合、自社のCV率はどれくらいかなど、数値感を含めた現状を把握いただいておくことは重要かと思います。
離脱ユーザーの受け皿を作りCVへと導く
――最後に今後の展望や目指すところをうかがえますか。
福山:CROソリューションパッケージで実現したいことは、流入を増やすことはもちろん、離脱ユーザーの受け皿を作り、CVまできちんと誘導できる仕組みを作ることです。本ソリューションパッケージには、CV率向上のために必要な機能やツール、サポートがすべて含まれています。業界を問わず、様々な企業様のCVを最適化していきたいと考えています。
また、我々は戦略や企画の立案からサイト構築、コンテンツ制作が得意です。キーワードに応じたSEO施策、パーソナライズした情報発信、Web接客など、多様なコミュニケーションを通して顧客体験の質の向上を支援しております。アクイジションからリテンションまでの統合マーケティングについてもぜひご相談ください。