モノを顧客に届けることが中心だった業態におけるデジタル対応の遅れ
──中村さんがゴンドラにホームページの刷新と運用の伴走型支援を依頼されたのは、どのような経緯があったのでしょうか。
中村浩幸氏(以下、敬称略):私は前職でJCBにおりまして、首都圏において個人向けカード事業の責任者と法人顧客の新規開拓を担当していた際に、ゴンドラさんにお世話になりました。そのときに古江社長とお話していて、お互いに北海道出身で、しかも同じ高校出身であることが分かったんです。
古江恵治氏(以下、敬称略):驚きましたよね。それ以来、先輩と呼ばせていただいています(笑)。
──その後、中村さんがアークスに転職されたんですね。
中村:はい。アークスとは、2014年から6年ほどJCBの北海道支社長を務めたときに縁ができました。JCBカードの加盟店というだけでなく、アークスグループでは「アークスRARAカード」という顧客向けのポイントカードを運用しており、その中にJCBのクレジット機能がついた提携カードもあったので、かなり深くお付き合いがあったんです。
アークスはグループの中にスーパーマーケットが10社あり、北海道と青森、岩手、宮城のほか北関東にも展開しています。富士山のように高くそびえる大きな企業体を目指すのではなく、同じような高さの山々が横に連なって対等な立場で企業統合を図ることで連合体として強くなっていく「八ヶ岳連峰経営」を標榜しています。
商いの規模としては札幌の「ラルズ」や青森県の「ユニバース」が大きいのですが、過疎化が進むエリアでは課題がそれなりにあります。そのような課題に対応するためにも、先ほどお話しした「RARAカード」や「基幹システム」は共通のものを使っていますし、事業会社を超えての好事例の横展開や、仕入れの協同化、PB商品の共通化などを通じて全体の底上げに取り組んでいます。
──中村さんが入られたとき、アークスさんのホームページやデジタル化はどのような状況でしたか?
中村:これはアークスに限らずスーパーマーケットという業態全般に言えることですが、より良いものを適正な価格でお客様にお届けすることを重要視してきたため、モノを中心に動いてきた経緯があり、デジタル化には乗り遅れている面があります。
しかしこれからは、お客様が欲しがっている情報を瞬時にお届けしたり、ロイヤルカスタマーがどんな方で、何を買ってくださっているのかをデータで把握したりといったことに我々も取り組んでいかなければいけません。そう考えていたときに、私がアークスに移ったことを知った古江さんから連絡をもらいました。「ホームページを見たけれど、かなり課題があるんじゃないですか?」と。
──古江さんから中村さんに連絡をされたんですね。
古江:はい。私は北海道を出て35年になりますが、生まれも育ちも北海道です。地元のスーパーマーケットの雄であるアークスさんに中村さんが転職なさったと聞いて、とても嬉しく思いました。
帰省や出張のたびに感じるのですが、やはり東京一極集中は顕著で、地方の経済は厳しい状態ですね。そんな中、政府も地方創生にコミットしていますし、我々としても官民問わず地方のDX支援を通じて経済を活性化させていくことに注力しています。
当社は北海道でも自治体のDXの支援をさせていただくことが決まりまして、ゴンドラとしては北海道から地方を元気にしていくんだという気概をもってやろうとしているところです。北海道発の上場企業であるアークスさんが果たされる役割も、非常に大きいと期待しています。
お客様に寄り添う伴走型支援で顧客価値を最大化
株式会社ゴンドラは、カスタマーエンゲージメントの向上を目指し、統合型マーケティングを提供する会社です。戦略的な広告運用とデジタルマーケティングを通じて、顧客の課題に応じた施策を一貫して展開します。伴走型支援でクライアントと密接に連携し、ブランド価値の最大化を図ります。豊富な業界知識とデータ分析に基づき、信頼できるパートナーとして顧客の成長に貢献します。「株式会社ゴンドラ」よりお気軽にお問い合わせください。
現場にとって“不要なデジタル施策”を避けるために必要なこと
──なるほど。地域密着を大切にされているアークスさんに、地元経済の担い手としての期待も込めてのアプローチだったんですね。具体的には、ホームページの課題としてどのようなものがありましたか?
古江:そうですね。2021年当時、アークスさんのホームページはモバイル対応をされていませんでした。また、過去10年の間にいくつもの会社が傘下に入り、そのたびに必要最低限の修正をほどこされてきた結果、各社がバラバラに運営や情報発信をする状態で、セキュリティやユーザビリティの面でも課題が見受けられました。そこで、中村さんに問題提起をさせていただいたんです。
──提案を受けて、中村さんがホームページ刷新のプロジェクトを主導されることになったのですか?
中村:最初は、ホームページは私の担当外でした。ただ、私にはRARAカードのポイント残高の確認や決済をスマホアプリでできるようにするというミッションがありました。そこからデジタルマーケティングを進めていこうとすると、やはりホームページの課題が気になるんですよね。そのような経緯もあり、私がやることになりました。
──なるほど。
中村:その後、グループ各社のホームページがどういう状態で、それぞれにどういうニーズがあるのか、まずはゴンドラさんに調査をお願いしたんです。その結果をもとに我々とゴンドラさんでグループとしてのホームページのあるべき形を検討し、RFP(提案依頼書)の形にまとめるところまでをやってもらいました。
それを広告代理店なども含むベンダー数社に渡して提案依頼をしたのですが、やはりゴンドラさんが我々の課題を一番よく理解して的確なプレゼンをしてくださいました。しっかり伴走しますとおっしゃっていただいたので、ゴンドラさんに決めさせていただいたという経緯です。
スーパー各社の担当者によるタイムリーな情報発信が可能に
──どのような提案だったのですか?
古江:課題の洗い出しのために、最初に札幌の店舗を見に行ったんですよ。コロナ禍のピークの頃でしたが、とても賑わっていたのを覚えています。どの時間帯に行っても、35歳から44歳くらいの主婦層の方々が中心でした。
それからホームページのアクセス状況を調べますと、スマートフォンからのアクセスが7〜8割を占めています。それなのに各社のサイトがスマホ非対応でした。チラシ情報のページにはアクセスがあるのですが、その他の有益なコンテンツには目を向けられていないということも分かりました。
また、各事業会社11社を対象にアンケートとヒアリングを行い、サイト更新の頻度や運用管理が現場にいる人の能力や人数によって影響されていることも分かりました。そのため、ユーザーへの情報提供が最適なタイミングでなされていない可能性が高いのではないかと感じました。
中村:ゴンドラさんのご提案には3つの要素があり、それが決め手になりました。1つ目は誰にとっても使いやすいデザイン、導線設計をしましょうということ、2つ目は各社の社員がコンテンツを簡単に更新、追加できるシステムを整備し、鮮度の高い情報をユーザーに届けられるようにしましょう、ということです。そして3つ目がスマートフォンで見やすくしましょうということでした。
アプリのリリースで目指す、お客様一人ひとりに適したマーケティング
──各社での運用も考慮に入れた提案だったんですね。
古江:当社には札幌在住のメンバーがおり、アークスさんのことをユーザー目線で熟知しています。そのメンバーがハンズオンで入り、各事業会社のご担当者さんともコミュニケーションを取りながら進めました。
中村:グループのスーパー各社のCIやコーポレートカラーはそれぞれに取り入れていますが、基本的なデザインや運用のプラットフォームは全社で共通にしました。その上で、各社の担当が必要なタイミングに提供したい情報を流すことができるようになっています。
今は各事業会社にホームページの担当がいて、我々と密にコミュニケーションを取りながら運用しています。それができるようになったのは、ゴンドラさんの伴走があってのことです。
──以前よりもホームページに関わる人員が増えたのですか?
中村:ベンダー選定の時点ではアークス内の担当者は3人でしたが、今はホームページ委員会というものができて、私も含めて8名の体制です。そこにシステム部や各事業会社のホームページ担当なども入れて、総勢50名以上で運営しているという状態です。過去の体制とは全く違いますね。
──「八ヶ岳連峰経営」のごとく、事業会社を超えて一枚岩でホームページの刷新に取り組まれたんですね。
中村:グループ内に旋風が巻き起こったようでした。それまでは「誰かがやるだろう」と思われていたものについて、ゴンドラさんのおかげで、皆で同じベクトルでやっていこうという機運が高まったんです。その延長で、この10月にはスマホのアプリもリリースできまして、既に10万人以上のお客様が登録してくださっています。従業員の反響も大きいですよ。
古江:アークスさんのグループでの協力体制が想像を超えてしっかりされていて、非常に支援のしがいがありましたね。
──まずはホームページの使い勝手をよくし、各社でタイムリーに情報発信できる状態を整えたのですね。スマホアプリとの組み合わせで、新たにできるようになったことはありますか?
中村:これまではホームページとアプリを別々に運用していましたが、ホームページに情報を流せばアプリにも連動するようになりました。
また、RARAカードのポイントの使いみちとして、これまではお買い物券に換えて商品を購入するか、カタログで選んだ商品を専用の応募ハガキで申し込むという形をとっていました。それがウェブでも簡単に申し込みができて、ウェブ専用の商品も選べるようになりました。
とはいえ、我々のお客様の中にはパソコンやスマホを使えないという方もいらっしゃいます。紙のカタログも、カウンターで手にとってその場ですぐに応募できるような形も残しています。アナログとデジタルのハイブリッド型のマーケティングに取り組んでいきたいと考えています。
古江:ホームページを刷新し、アプリをローンチしたことで、ユーザーの方々の決済データや行動データが蓄積されていきます。それをしっかりと分析し、デジタルマーケティングに活かして売上を拡大させること、ロイヤルカスタマーを増やしていくことなどが、我々の最も得意とする領域です。そういう意味では、ここからが勝負だと考えています。
中村:RARAカードの会員様は買い物のたびにカードを提示されるので、どういう方が何をどのようなタイミングで購入されているのか、過去からのデータがあるんです。ただ、それを活用することができていませんでした。
データによってロイヤルカスタマーがどういう方なのかを把握することや、逆に以前は来てくださっていたけれど最近は来店のない方も分かります。加えて、アプリによって位置データも分かるようになります。お客様をある程度グルーピングした上で、的確なタイミングでアプローチをすることがようやくできるようになるのだと期待しています。
そのためには、ゴンドラさんの技術と知見が必要なので、これからも一緒に取り組んでいただければと考えています。
将来の自立運用を見据え、デジタルマーケティングの経験を蓄積する段階に
──スマホアプリによって、具体的にどのようなタイミングでどんなアプローチができるとお考えですか?
中村:ひとつはレシピですね。スーパーマーケットに来てから「今晩何作ろう?」と考える方は多いです。そのタイミングでアプリにプッシュ型の情報を流せるといいですよね。
これまでの我々は、モノを並べて「さあ、買ってください」というやり方でしたが、「こういう食材があるので、こんなごちそうが作れますよ」と提案するようなことも必要だと思っています。
古江:これから検討することですが、ユーザーの年齢や性別、家族構成などによってレシピを提案したり、必要な材料の売り場をアプリで案内したり、といったことも考えられますね。
──ここまで“伴走型”を掲げて支援をしてこられたわけですが、今後の展開においてのゴンドラの立ち位置はどうなりますか?
古江:我々としては、単にウェブ制作をすることや集客のソリューションを提供するにとどまらず、お客様の経営課題や事業課題を具体的に伺いながら、ビジネス目線で幅広い解決策を考え、長期的にサポートしていくところに最大の強みをもっています。
ただ、お客様によって「ゆくゆくは内製化したいから、そこを目指す2年間のロードマップをつくってほしい」という場合もあれば、「もっとビジネスを拡大したいから、運用を任せられないか」という場合もあり、それぞれのニーズにアジャストして支援体制を敷くようにしています。
アークスさんに関しては、会長の横山清さんが今年の年頭方針として「競合は成長の粮(かて)」という言葉を掲げています。北海道内にも他社の出店が増えていますから、常にそれらの先を進まなければいけないという状況です。そのために当社のメンバーも常にナレッジを共有し、情報のアップデートの頻度を高めながらご支援を続けていきたいと考えています。
中村:伴走型で支援いただくことの良い点は、我々のスキルも上がっていくことです。ホームページのリニューアル後も毎週ミーティングを開催して課題に対応しているのですが、そのたびに我々の気づかないところを教えていただいています。
そういう意味では、まだまだゴンドラさんの力が必要だと感じていますが、ホームページやデジタルマーケティングに対する従業員の意識は明らかに上がっています。アクセス分析なども含め、いろいろな知識も学んでいるところです。いずれは我々が自立して使いこなせる段階を目指して、もう少しお付き合いいただければと考えています。
お客様に寄り添う伴走型支援で顧客価値を最大化
株式会社ゴンドラは、カスタマーエンゲージメントの向上を目指し、統合型マーケティングを提供する会社です。戦略的な広告運用とデジタルマーケティングを通じて、顧客の課題に応じた施策を一貫して展開します。伴走型支援でクライアントと密接に連携し、ブランド価値の最大化を図ります。豊富な業界知識とデータ分析に基づき、信頼できるパートナーとして顧客の成長に貢献します。「株式会社ゴンドラ」よりお気軽にお問い合わせください。