「選択疲れ」を感じる消費者
消費者の情報探索から購買に至るまでの行動が、SNSの進化とともに大きく変化しています。特に近年、商品やサービスの選択肢が増え、消費者は意思決定の負担を感じています。そんな中、インフルエンサーは「信頼できる判断基準」として機能し、消費者の購買意思決定に重要な影響を与えています。
この背景には、情報過多による消費者の「選択疲れ」があります。商品やサービスの選択肢が溢れる中、すべての情報を比較検討することは現実的ではありません。そこで消費者は、自分が日頃から参考にしているインフルエンサーの推奨を「信頼できる判断基準」として活用し、選択の負担を軽減しているのです。これは、ランキング1位の商品を選ぶ際の消費者心理と同様で、複数の選択肢を比較検討する手間を省き、信頼できる基準に判断を委ねる行動といえます。

本稿ではこのように変化する消費者の購買行動に対して、主要な購買障壁ごとの効果的なアプローチ方法を、具体的な事例を交えながら解説していきます。
購買障壁の種類と対応アプローチ
インフルエンサーマーケティングの効果を最大化するためには、消費者が抱える購買障壁を正しく理解し、適切なアプローチを選択する必要があります。主な購買障壁は以下の2つに分類されます。
「購買のきっかけがない」課題
商品の価値は理解されているものの、実際の購買行動に結びつきにくいケースです。具体的には以下のような事例が該当します。
- 必要性は感じているが後回しにされやすい商材(例:掃除用品、収納グッズ、健康食品)
- 興味はあるが価格の壁を感じる商材(例:高機能家電、プレミアム商品)
- 日常的に使用するが買い替えのタイミングが不明確な商材(例:寝具、キッチン用品)
「商品の良さが伝わりにくい」課題
商品やサービスの価値が、従来の広告やプロモーションでは十分に伝わらないケースです。
- コモディティ化していて、差別化が難しい商材(例:シャンプー、スキンケア、サプリメント)
- 機能や効果を言葉だけでは説明しづらい商材(例:マットレス、美容家電、家具)
- 使用シーンのイメージが湧きにくい商材(例:調理器具、収納用品、ガジェット)
- 従来とは異なる文脈での訴求が必要な商材(例:新しいターゲット層向けの商品、異なる使用シーン提案)

次項からは、これらの購買障壁に効果的な各アプローチ方法の特徴と活用方法について、具体的な事例を交え解説していきます。