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MarkeZine Day 2025 Retail

Cookieレス×AI時代の新標準─リターゲティング広告の実践ガイド

リターゲティング広告の効果最大化に役立つ基本戦略&2つの予算配分

広告効果最大化に役立つ、2つの予算管理方法

 続いて、マルチリターゲティングキャンペーンにおける広告予算を管理する2つの方法について説明します。1つは、限られた予算内で得られる成果を最大化することを目的とした「クローズド・バジェット」と、もう1つは広告費を柔軟にしてキャンペーンのポテンシャルを最大限に引き出す「オープン・バジェット」です。

限られた予算で成果を最大化する「クローズド・バジェット」

 クローズド・バジェットとは、予算が固定されている運用方法のことを指します。具体例を使って説明します。

 あるリターゲティングキャンペーンでは、毎月1万ドルの予算があり、初めはリターゲティングプロバイダーA(リターゲターA)を使用し、1コンバージョンあたり10ドルのコストで1,000件のコンバージョンを達成していました。しかし、キャンペーンの効果を高めるために、新たにリターゲターBを導入し、マルチリターゲティング戦略を採用することにしました。

 この1万ドルの予算を、リターゲターAとリターゲターBにそれぞれ5,000ドルずつ分配することで、今までターゲットできなかった新しいユーザーにアプローチする可能性が生まれます。両者のAI学習機能によって、それぞれのユーザー配信パターンから学び合い、ターゲティング精度の向上が期待できるからです。その結果、新しいユーザー層にリーチし、1コンバージョンあたり9ドルのコストで1,100件のコンバージョンを達成することができるようになります。

クローズド・バジェット戦略のイメージ
クローズド・バジェット戦略のイメージ

 もし、リターゲターBがリターゲターAよりも高い効果を示した場合、投資対効果を最大化するために、リターゲターAからリターゲターBにさらに多くの予算を割り当てることが検討されます。逆に、リターゲターBのパフォーマンスが期待を下回った場合、予算をすべてリターゲターAに戻すか、別のリターゲターを導入するという選択肢もあります。

投資効果を維持しながら売上の最大化を目指す「オープン・バジェット」

 オープン・バジェットとは、売上を最大化するための予算管理方法です。この方法は、商品の在庫や生産能力、あるいはサービスなどの提供能力が十分にあり、コンバージョン数が増えるほど売上が伸びる状況に適しています。つまり、広告を出せば出すほどその効果で売上が増える場合に効果的な方法です。

 たとえば、リターゲターAを使って、1コンバージョンあたり10ドルのコストで1,000件のコンバージョンを達成しており、さらに売上を増やすために新たにリターゲターBを導入するケースで考えてみましょう。

 キャンペーンを拡大するためには、各リターゲターがユーザーに表示する広告に対して、より多くの投資を行う必要があります。リターゲターにとって、CPA(コスト・パー・アクイジション)の目標が高くなるほど、より多くの費用をインプレッションに投じることができます。今回の場合、すでに実績のあるリターゲターAのCPAを上限とし、これをリターゲターBに適用します。1コンバージョンあたり10ドルのコストはそのままにして、より多くのコンバージョン獲得を目指します。

オープン・バジェット戦略のイメージ
オープン・バジェット戦略のイメージ

 この場合も、リターゲターA/リターゲターBともに異なるエンジンやアルゴリズムを採用していることがカギとなります。それぞれが異なるユーザーを評価し、より多くのターゲット層にリーチすることで、キャンペーンの効果を最大化できるからです。

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クローズド vs オープン、最適なマルチリターゲティング予算は?

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この記事の著者

奥内 鉄治(オクウチ テツジ)

RTB House Japan カントリーマネージャー
毎日新聞社、FOXインターナショナルチャンネルズ、Yahoo Inc.などを経て、2017年RTB Houseの日本事業に参画。20年以上デジタル広告の領域を歩む。2021年より現職。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/04/04 08:30 https://markezine.jp/article/detail/48871

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