若年層へのアプローチは“継続的なブランド成長”に不可欠
現代のマーケティング戦略において、若年層へのアプローチは単なる売り上げ向上に留まらない。日本コカ・コーラの池田氏は、若年層との関係構築がブランドへの愛着形成に直結し、継続的なブランド成長につながると語る。

「時代を超えて愛されるブランドであり続けるためには、製品やマーケティング手法、コミュニケーション戦略などを包括的にアップデートし続けて、"継続的なブランド成長"を促すことが不可欠だと思います」(日本コカ・コーラ池田氏)
具体的にどのようなアプローチをとっているのか。日本コカ・コーラが大切にしているのは「パッションポイント」、つまり生活者の気持ちが高まる瞬間を捉えることだと言う。若年層の場合、さらに彼らの興味のある最新のカルチャーやトレンドを理解する重要性が高まる。
特に音楽の持つ力は見逃せない要素だ。音楽は聞き手の感情を揺さぶり、共通の体験を生み出すことで、ブランドと消費者の間に本物の絆を築く役割を果たす。日本コカ・コーラが様々なブランドでアーティストを起用したキャンペーンを展開している背景には、このような音楽の持つパワーを最大限に活用したいという考えがある。
Spotifyを若年層との接点として活用
日本コカ・コーラが若年層との接点として活用しているのが「Spotify」だ。Z世代は「ストリーミング世代」であり、彼らにとってSpotifyは単なる音楽視聴ツールではなく、日常生活に深く根ざした存在だ。この特性を理解することで、ブランドは自然に彼らの日常に入り込むことができ、押し付けがましさを感じさせることなくブランドメッセージを届けられる。

さらに、特定のアーティストやジャンルに強い関心を持つファンダム層に対して、アプローチできるのもSpotifyの大きな特徴と言えるだろう。
もちろん、若年層が日々接触するプラットフォームは複数にわたり、それぞれを理解し、活用することが求められている。Spotify以外のアプローチに関しては、池田氏は次のように答えた。
「Z世代においては、TikTokやInstagramがカルチャーの“発火点”として重要です。特にTikTokでは音楽がバズを生み出す重要な役割を果たしており、短尺動画コンテンツが若年層の関心を引く要素になっています。
日本コカ・コーラでは、従来のメディアプランニング手法から脱却し、現在採用しているのがオーディエンスプランニングというアプローチです。これは消費者を中心に据え、適切なターゲットに対して最適なタイミングとコンテキストで適切なメッセージを届ける手法です。特定のメディアにこだわりすぎず、パッション・モーメント・行動ベースのシグナルを活用したデータドリブンなプランニングが重要とされています」(日本コカ・コーラ池田氏)
では、日本コカ・コーラが着目するSpotifyにZ世代が感じている価値とはどのようなものだろうか?