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MarkeZine Day 2025 Autumn

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「Webサイトは最大の店舗」レイク×博報堂DYグループが仕掛けたCX改革、CVR継続改善の仕組みとは

 消費者金融市場において事業を成長させる上での重要な要素は、急な資金ニーズが生じた際に信頼され思い出される存在となること、そして申込み時の利便性を高めることにある。新生フィナンシャルの「レイク」は、この命題にWebサイトの抜本的なCX改善で挑んだ。コンバージョン率最適化(CRO)を含む戦略再構築を支えた、博報堂DYグループのフルファネル支援体制とは。本稿では、その具体的な取り組みと成果を紹介する。

“日常期”と“ニーズ発生以降”で変わる、レイクのマーケティング戦略

MarkeZine編集部(以下、MZ):はじめに、「レイク」のサービス概要と河本さんの役割を教えてください。

河本(新生フィナンシャル):レイクはカードローン商品で、個人のお客様に計画的なご融資を提供することをビジネスの基盤としています。

 その中で私はマーケティング部のセクションヘッドを務めており、認知から獲得まで、マーケティングファネル全体の運用と広告出稿の責任を担っています。

新生フィナンシャル株式会社 マーケティング部 マーケティングセクション セクションヘッド 河本博志氏
新生フィナンシャル株式会社 マーケティング部 マーケティングセクション セクションヘッド 河本 博志氏

MZ:「レイク」が展開されているマーケティング戦略について、消費者金融市場ならではの特徴を踏まえてご説明いただけますか?

河本(新生フィナンシャル):消費者金融市場は、資金借入の必要がない限り広告に興味を持たれにくい、いわゆる日常無関心型の市場です。そのため、突発的に資金が必要になった際に「そういえばレイクがあった」と想起してもらい、いかにブランド指名で検索してもらえるかが重要になります。

 また、検討期間の短さも特徴です。多くの方は、資金ニーズが発生してから細かくサービスの比較検討をするというよりも、気になる条件を簡単に確認する程度で、契約まで一気に進みます。

 こうした特徴から、「日常期(非借入需要時)」「ニーズ発生以降」を切り分けて生活者を捉え、マーケティング活動を実施しています。

Webサイトは「レイク最大の店舗」、CX改善が鍵に

MZ:「日常期」と「ニーズ発生以降」という2つのフェーズで、それぞれどのような施策に取り組まれているのでしょうか?

西垣(博報堂):日常期においては、純粋想起を高めるために、デジタルやテレビを使った認知広告をメインに展開しています。

株式会社博報堂  ストラテジックプラニング局 ストラテジックプラニングディレクター 西垣 辰彦氏
株式会社博報堂  ストラテジックプラニング局 ストラテジックプラニングディレクター 西垣 辰彦氏

西垣(博報堂):一方、ニーズ発生以降においては、Webサイトが果たす役割が大きくなります。街中にも店舗はありますが、私たちは「Webサイト=レイク最大の店舗」と捉えて、安心してご利用いただける体験の提供を意識しています。

 ニーズ発生以降のお客様はお急ぎの方が多いため、必要な情報を端的に届け、スムーズに利用まで進められることが重要です。長々と大量の情報を伝えることで逆に混乱を招いたり、正しい理解を阻害してはなりません。バランスが非常に難しく、工夫を要する部分となります。

 このようなCX(顧客体験)改善の一環として、WebサイトリニューアルおよびCRO改善施策を実施いたしました。

「生活者理解」×「実装力」でCXを最適化

MZ:今回のWebサイトリニューアル、およびCRO施策は博報堂DYグループが一気通貫で支援されたとのことですが、どのようなプロジェクト体制だったのでしょうか?

斎藤(博報堂):博報堂は、新生フィナンシャル様のパートナーとして長年ご支援させていただいており、「レイク」のブランド戦略および広告を中心としたマーケティングコミュニケーション全体を担当しております。

株式会社博報堂 ストラテジックプランニング局 ストラテジックプラニングディレクター 斎藤 大稚氏
株式会社博報堂 ストラテジックプランニング局 ストラテジックプラニングディレクター 斎藤 大稚氏

中原(Hakuhodo DY ONE):そして私たちHakuhodo DY ONEも、長年新生フィナンシャル様のデジタル広告領域を担ってきました。これまでは各社がそれぞれの領域でご支援していましたが、今回はWebサイトを核としたCX改善を成功させるため、ブランド戦略からWebサイトリニューアル、CRO施策までを一気通貫でご支援するプロジェクト体制を組みました。

MZ:グループ内で一貫して支援することで、どのような価値が生まれるのでしょうか?

西垣(博報堂):博報堂は、ブランディングや認知コミュニケーションを得意とし、定量調査だけでなく、顧客理解を深めるインタビュー調査も毎年行っています。

中原(Hakuhodo DY ONE):一方、Hakuhodo DY ONEは、博報堂が描いた戦略や顧客インサイトを、Webサイトや獲得広告といった顧客接点において具体化し、成果を出すための実行力に強みを持っています。市場理解や生活者の心理を読み解く博報堂と、顧客接点での戦略実行を得意とする私たちが協働することで、より高い成果を生み出せると考えています。

株式会社Hakuhodo DY ONE  Search&Feed本部 部長 中原 悟志氏
株式会社Hakuhodo DY ONE  Search&Feed本部 部長 中原 悟志氏

斎藤(博報堂):たとえば、Webサイトの文言一つを取っても、「これは本当にあの時インタビューしたお客様が良いと思えるものだろうか?」という感覚を常に持っています。そのうえでデジタル上のコミュニケーションに強いHakuhodo DY ONEと議論を重ねると、人とデータを掛け合わせ、顧客の解像度を高めることができると感じています。

西垣(博報堂):サービスの特性上、ニーズ発生以降のスピードが速いというお話をしましたが、それはユーザーインタビューに加え、データ分析からも見えてきます。実際に申し込みにつながったユーザーがサイト上でどんな行動を取ったかを分析することで、ユーザーニーズも見えてくるため、獲得から認知への還流もできており、一気通貫ならではのCX改善の好循環が生まれています。

レイクのサイト刷新とCRO 「データ」で進める最適化

MZ:では、具体的にどのようにサイトリニューアルを進められたのかお聞かせください。

斎藤(博報堂):ブランドコミュニケーションによって認知を獲得した見込み客を取り逃さないよう、まずはWebサイトの課題分析を実施しました。

 ページ閲覧数とCVRを掛け合わせたサイトコンテンツの ポートフォリオ分析により、優先順位を明確化。さらに優先度順に流入ページからコンバージョンに至るまでの導線を紐解いた結果、ユーザーモチベーションにあわせた導線設計の不足が課題であることが分かりました。たとえば「25分でお借り入れできます」というページはクリック率が低い一方で、ページ閲覧者の申し込み率が高いことが判明。つまり、CV効果の高いページにもかかわらず、このページにたどり着くターゲットユーザーが少ないということを意味していました。このようなページは他にもいくつも存在していると考え、自社・競合分析も含めた包括的な分析を行いました。

 分析結果を踏まえ、Webサイトを全面リニューアルしました。コンセプトは「Easy・Speedy・Friendly」。テレビリモコンのような直感的デザイン(Easy)で、熟知ではなく追認を重視した情報設計(Speedy)、お客様目線のわかりやすい言葉遣い(Friendly)を徹底することに。その後、CRO施策によりさらなる改善を図りました。

画像を説明するテキストなくても可
リニューアル前(左)とリニューアル後(右)※SP版

MZ:CRO施策はどのようなことを実施されたのでしょうか?

中原(Hakuhodo DY ONE):サイトリニューアル後は、市場やサービスの変化に関わらず成果を創出できる「持続可能な店舗」を目指してCRO施策を行い、成果をさらに引き上げるための「改善し続けるべき課題」と、モニタリングで発見した「新たに生まれた課題」の二つの観点でPDCAを実施しました。また、レイクのWebサイトは売り上げを創出するという重要な役割を担っていたので、ノーコードでサイト改修ができるKARTE Blocksを導入し、機動的に検証できる仕組みを整えました。

CVRが継続改善!フルファネル支援の成果

MZ:施策によって、どのような成果が現れたかお聞かせください。

中原(Hakuhodo DY ONE):サイトリニューアルによりCVRは改善前の104.1%に。さらにCRO施策を重ね、リニューアル前の109.2%まで向上させることに成功しました。Webサイトは、市場や事業の変化に伴ってユーザーの行動変化も起きやすいので、継続的なモニタリングをすることでCVRを改善し続けることが大切です。抜本的な改善でWebサイトの基礎を固めつつ、CRO施策で細かい課題改善に向き合うことがWebサイト最適化の近道となります。

 「改善し続けるべき課題」の観点では、特にお借り入れまで急ぐ傾向のあるお客様を意識し、ファーストビューの更なる改善を行いました。リニューアル後に改めて実施したユーザー行動分析では、ページ下部まで読み込まれていないケースが依然として多いことが判明。そこで、ファーストビューで1番に訴求する内容を検証することで、Webページの上部でお客様が最も求める情報を完結に伝えられるよう改善しました。

 「新たに生まれた課題」では、アテンションを喚起し、より感覚的に回遊してもらえる施策を中心に行いました。たとえば、読了後の離脱の多さが課題だったお客様向けの記事に対し、記事テーマに関連する追従バナーを設置することでサービスページへの導線を強化しました(例:「無利子での借入」についての記事に対して「60日間無利息」の追従バナーを掲出)。その他、サイトの視認性・可読性向上を目的に借り入れ方法に関するコンテンツの配置転換を行うなど、複数の施策を実施。その結果、大幅なCVRリフトが確認できたのです。

 もちろんすべての施策が成功したわけではありません。ボタンの色・配置調整など、細かな見た目の改善では期待したCVR向上は見られませんでした。しかし、ユーザーの視線誘導を意識した配置転換では成果改善が見られたことで、お客様のニーズやサイト行動を理解し、適切なタイミングで適切に情報を提示することが一定の成果改善につながることがわかりました。

斎藤(博報堂):印象に残っているエピソードがあります。当初、借り入れ関連の「必要書類」ページで数値上昇を確認し、改善余地があると考えました。しかし分析の結果、このページは既に申込済みのお客様が確認のために閲覧していることが判明。つまり、このページを改善してもCV向上には寄与しないことが分かりました。

 先ほどの改善施策とも通ずる話ですが、お客様のニーズ理解を丁寧に行うことで、施策の成果インパクトも測れるようになります。Webサイトはレイクにとって「最大の店舗」です。成果インパクトの大きい施策を優先的に行うことが全体の成果にも大きな影響を及ぼします。お客様を深く丁寧に理解することは課題の改善レバーだけでなく、施策優先度も正しく判断できるようになると考えています。

河本(新生フィナンシャル):認知と獲得施策の担当チームが分離した体制では、一気通貫したアプローチが実現できず、認知からつながった顧客特性を活かした施策を作ることができません。博報堂DYグループの支援体制では、お客様インタビューから獲得領域まで一貫していることから、効率的に成果につながっていると実感しています。

消費者金融業界トップを目指して

MZ:最後に、今後の展望をお聞かせください。

河本(新生フィナンシャル):2025年3月に導入した「365日間無利息」というサービスにより、従来とは異なるユーザー行動が生まれると予想しています。この新しいニーズに対応したページ構成やコンテンツの更新を継続的に実施し、さらなる最適化を図っていく予定です。

 また今回、博報堂DYグループの一気通貫した支援が成果を出したこともあり、他部署からも「新規施策は博報堂DYグループに相談したい」という声が上がっています。博報堂DYグループとは、今後もレイクブランドの業界1位獲得を目指してともに取り組んでいきたいと思います。

西垣(博報堂):5年間の継続的なユーザーインタビューから、消費者金融への過度な誤解は徐々に減少し、理解が深まっている傾向が見えてきていますが、まだ改善余地はあると考えています。新生フィナンシャル様が新たに始めた「365日間無利息」は、業界の常識を覆す、非常に画期的なサービスです。今後も、AI検索など新技術への対応も含め、博報堂DYグループの総合ソリューションで業界トップサービスの実現を支援していきたいと思います。

中原(Hakuhodo DY ONE):特に「365日間無利息」は業界的にも革新的なサービスです。これまでとは異なるユーザー行動が予想されるため、単にサービスの魅力やメリット、利用方法などの情報をお客様にわかりやすく届けるだけでなく、お客様のニーズや変化を正確にとらえて「Easy・Speedy・Friendly」を追求していきたいと思います。今後も引き続き、Webサイトだけでなく、博報堂DYグループが支援する様々な施策を全方位的に分析し、ユーザーの解像度向上や施策の全体最適を強化することで、「レイク最大の店舗」として成果向上を止めないよう継続できるよう、まい進したいと思います。

Webサイト改善に関するお問い合わせはこちらから

本サービスに関するご不明点やご相談はHakuhodo DY ONE のお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社Hakuhodo DY ONE

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/09/09 10:00 https://markezine.jp/article/detail/49540