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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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「BOSS」「なっちゃん」の仕掛け人、元サントリー北川氏はなぜPR会社へ?語る「企業価値向上」の本質

ブランディングの本質となる3要素とは

──広告業界の潮流や手段が変わっても「企業価値向上」という本質は変わらないというお話を踏まえ、北川さんが考える「ブランディングの本質」についてもお聞かせください。

北川:ブランディングの本質は、「LOVE」「GOOD LIFE」「FUTURE」 という3要素を向上させていくことだと考えています。

 服でも時計でもカメラでも、そのブランドを「好き(LOVE)」という気持ちがブランド価値の根源。ブランドを持つことで生まれる楽しい気持ちが生活を豊かにしていき(GOOD LIFE)、それが1日先、1週間先、1年先の未来(FUTURE)をより良くすることにもつながっていきます。

画像を説明するテキストなくても可

──何よりもまず、ユーザーに愛されることが重要なのですね。

北川:ええ。ブランドの価値は、人の頭の中にあるものです。たとえば高級時計なら、憧れの1本を何としても手に入れたい人もいれば、「なぜあんなに重くて高い時計にこだわるんだ」と言う人もいますよね。つまり、モノ自体に価値があるのではなくて、人の頭の中の「好き」「楽しい」という気持ちが、ブランドの価値を作っていくのです。

 サニーサイドアップは、「たのしいさわぎをおこしたい」をスローガンに掲げていますが、これは私の考えるブランディングの本質とほぼ同義で、親和性を感じましたね。

 当社はメーカーではありませんが、クライアントのPR、広告、イベント等のコミュニケーションを通じて、その先にいるユーザーに「LOVE」を感じてもらいたい。そのためにPRという枠に閉じず、必要とあらば事業やブランドのコンサルティングなど、領域を超えた支援をしていきたいと考えています。

PRが超えていく「縦軸」と「横軸」の境界線

──ここまで何度か「PRという手法にこだわらない」というお話がありましたが、北川さんは広告・PRの境界線はどこにあるとお考えでしょうか。

北川:境界線はないと思います。クライアントの企業価値を向上させ、人々の生活を豊かにしていくために、適切なコミュニケーションを都度選び、実施していくだけです。

 それが結果的にPRなのかもしれませんし、SNS、イベント、インフルエンサー施策、クリエイティブ制作など、他の手段なのかもしれません。昔と比べて境界線がなくなってきたからこそ、選択肢は多種多様に広がりました。それを適切に組み合わせていけるのが、優秀なマーケターと言えるでしょう。

──広告代理店やPR会社の役割も拡張していきそうですね。

北川:ええ。今話したのは商品を宣伝する段階における「横軸」の話でしたが、「縦軸」でも拡張すべきだと考えています。

──商品やサービスが世に出る前の段階ということでしょうか。詳しく教えてください。

北川:たとえば極端な話、「店舗を出店したいけれど、なにも決まっていない」というオーナーをゼロから支援するのも、これからのPR会社のあり方だと思っています。コンセプト、店名、ロゴ、店員のユニホーム、出店エリアなど……、ビジネスの「川上」から「川下」まで、できることは全部やるパートナーになっていくべきではないでしょうか

 広告でもPRでも、クライアントと1回きりの関係になってしまうことは少なからずありますよね。しかしサニーサイドアップには、クライアントと10年以上の関係を築くメンバーがたくさんいます。

 それはきっと、「PRだけ」やっているようでは成し得ないことでしょう。川上から並走し、アイデアを出してくれるパートナーだからこそ、深い信頼関係が生まれているのではないかと思います。

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この記事の著者

安光 あずみ(ヤスミツ アズミ)

Web広告代理店で7年間、営業や広告ディレクターを経験し、タイアップ広告の企画やLP・バナー制作等に携わる。2024年に独立し、フリーライターへ転身。企業へのインタビュー記事から、体験レポート、SEO記事まで幅広く執筆。「ぼっちのazumiさん」名義でもnoteなどで発信中。ひとり旅が趣味。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/10/24 09:00 https://markezine.jp/article/detail/49621

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