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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2026 Spring

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ROASに直結!アサヒ飲料・ウィルキンソンに学ぶOTTメディア広告の効果最大化につながる検証と設計

 炭酸水市場でトップシェアを誇るウィルキンソン。アサヒ飲料は電通デジタルとともに、近年認知・販促チャネルとして急拡大しているOTTメディア活用に挑戦した。国内で出稿できる媒体の増加、機能のアップデートなどの変化が激しく、全体設計には複雑な検証が必要となっているOTTメディアにおいて、Prime Video広告をはじめとした複数媒体を組み合わせて効果最大化に取り組み、顧客に刺さる提供価値の仮説検証まで実行。その背景とプロセス、成果について、担当したアサヒ飲料の加藤僚氏と電通デジタルの森暁啓氏に聞いた。

炭酸水市場売上No.1*ブランドでクロスメディア展開に挑戦

MZ:改めて、ウィルキンソンのブランド概要と、目指すコミュニケーションについてお聞かせください。

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アサヒ飲料 マーケティング本部 プロモーション戦略部 ブランドプロモーショングループ 主任 加藤僚(かとう・りょう)氏
新卒入社後4年間営業を経て、2021年マーケティング本部に配属。ウィルキンソンの販促、新ブランド立ち上げ、お茶ブランドなどを担当した後、再びウィルキンソンを担当。現在は広告、デザイン、販促など、ウィルキンソンブランドの消費者コミュニケーション全般を統括している

加藤:ウィルキンソンは1904年に誕生したブランドです。名前から、海外ブランドと思われがちですが、実はジョン・クリフォード・ウィルキンソン氏が日本で立ち上げたブランドで、ヨーロッパで浸透していたテーブルウォーターの文化を日本に広めることから始まりました。120周年を超えるロングセラーブランドであり、炭酸水市場では売上No.1*を続けています。

 炭酸水はコモディティ商品で物性的な差別化が難しい中で、ウィルキンソンが目指すのは情緒価値を重視したコミュニケーションです。強炭酸の質や本格的な炭酸水として支持いただくことに加え、ウィルキンソンを愛飲することで自己肯定感が上がる、質の良い生活を送れるといったライフスタイルの追求を訴求しています。

*インテージSRI+調べ 炭酸水市場(フレーバー含む)2025年2月~2026年1月ブランド別累計販売金額

MZ:2025年夏のキャンペーンでOTTメディアを活用されていたそうですね。狙いは何だったのでしょうか。

加藤:従来、テレビCMは認知獲得には優れていますが、ながら視聴になりやすく、コミュニケーションの質をどこまで担保できるかが課題でした。一方、OTTメディアはユーザーが能動的にコンテンツを視聴しているため、求めるコミュニケーションの質を担保しやすいですし、クロスメディアでの接触機会を増やすことも重要だと考え、活用を決めました

 炭酸水というカテゴリはEC上では物性的なUSP(Unique Selling Proposition:独自の強み・価値)を表現しにくいため、どうしても価格の安い商品に流れてしまうケースもあります。ウィルキンソンはECでの「箱買い需要」も非常に高い商品ではあるのですが、このようなブランドスイッチを抑制すべきと考えていました。そこで、「一流の方々に選ばれ続けている」というブランドの世界観を動画コンテンツとして購買導線に組み込むことで、ロイヤリティを高めたいと考えていました。

 また、2025年のキャンペーンは既存顧客向けのコミュニケーションでありながら、2026年以降の新規ロイヤルユーザー獲得に向けて有効なメッセージの切り口を見つけていくための検証の意味合いもありました。

15秒、30秒、60秒で出し分け、態度変容を促す

MZ:今回のキャンペーン全体の設計について、電通デジタルとしてどのような支援を行ったのでしょうか。

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電通デジタル 第1アカウントプランニング部門 第3事業部 森暁啓(もり・あきひろ)氏
電通グループのCCIに新卒入社。2023年から電通デジタルに出向し、アサヒ飲料を担当。ウィルキンソンブランドのデジタルメディアプロモーション、EC販促、クリエイティブ制作など幅広い領域で効果最大化を支援している

森:2025年のウィルキンソンのテーマは「選ばれる、刺激。」です。特に既存ロイヤルユーザーに対して、ウィルキンソンが本格派であること、一流であることをしっかり伝えるクリエイティブを使用しました。15秒のテレビCM素材だけでなく、30秒、60秒の長尺素材も用意し、YouTube、TVer、Prime VideoといったOTTメディアでコミュニケーションを展開。特にYouTubeとTVerでは、15秒の動画でウィルキンソンの世界観を感じてもらった後、60秒の素材でその世界観の背景にある意図を伝えるという設計にしています。

ウィルキンソンの世界観を伝える15秒の動画

MZ:Prime Video広告は他のメディアとどのような役割分担をしたのでしょうか。

森:テレビCMのタイミングと、Amazonのプライムセールの実施期間が重なるタイミングがあり、それに合わせた役割を持たせました。YouTube、TVer、SNS広告では認知を意識していた一方で、Prime Video広告ではテレビCMと重複しつつも、基本的にはプライムセール期間に合わせて配信。認知だけでなく、ユーザーにお買い得感のある情報を提供できる場としてPrime Video広告を活用しました。

実購買データとも紐づけて検証できるPrime Video広告

MZ:売り場であるAmazonとの連動ができる点を活かしたということですね。

加藤:YouTubeやTVerでの広告配信には、コンテンツ起点での視聴態度がどのように変容するかを検証する役割を持たせていました。Prime Video広告は別軸として、それが実際に購買にどこまでつながっているのかを検証する広告として位置づけました。広告に接触したお客様が実際にAmazonのECチャネルでウィルキンソンを購買しているかどうかまでデータで把握できる点が非常に魅力的でした。

MZ:Prime Video広告ではどのようなクリエイティブを活用したのでしょうか。

森:今回はテレビCMのタイミングとAmazonプライムセールのタイミングが重複したこと、そしてPrime Video広告がローンチから数ヵ月経ち、効果の実績や設計の知見が溜まってきたタイミングでもあったため、セール期の認知獲得とL字バナーでのセール促進を組み合わせ、3パターン制作しました。

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3種のL字バナー(クリックすると拡大します)

 1つ目は、ウィルキンソンで「セールを行っている」というメッセージを入れたもの。2つ目はセールを知らせるメッセージは入れず、ウィルキンソンが「キンキンに冷えて美味しい」という物性訴求。3つ目はセールと物性訴求を掛け合わせたものです。セール訴求だけが効果を上げているのか、物性的な価値がちゃんと購買意欲まで浸透しているのか、掛け合わせた時にユーザーがどれだけ動いてくれるのかを検証するため、3パターンで実施しました。

MZ:ターゲティングも工夫されたと聞きました。どのような設計でしたか?

森:YouTubeやTVerでは興味関心ターゲティングをしましたが、Prime Video広告では、直近1年間ウィルキンソンを購入している人と、購入していない人というターゲティング設計をしました。広告接触した人がAmazon内で実際にウィルキンソンを購入したかどうかを検証できる設計にし、普段から購入している人に対して、セールがどれだけ効果があったか、購入していなかった人がどれだけ購買意欲を持ってくれたかを、認知指標だけでなく実購買の数値で比較しながら見ていきました。

購買意欲の喚起に成功!ROASは他ブランド比で12倍に

MZ:OTTメディアの活用からどのような成果を得られましたか。

森:全媒体での成果としては、「選ばれる刺激」というコピーとクリエイティブが、ロイヤル既存層に非常に好評でした。視聴完了率などの広告指標も高い水準で、認知指標も高いリフトが出ました。

 Prime Video広告では特に、ECでの購買効果が大きかったです。Prime Video広告接触者の購買リフトは1.6倍、商品ページへの誘導リフトは1.3倍という結果が出ました。ROAS観点では、同時期に実施したアサヒ飲料様の他ブランドのPrime Video広告と比較すると、キャンペーン全体で12倍、過去にウィルキンソンを購入した方に対しては40倍を超える結果となっています。新規ユーザーに対しても、他ブランドの実績に対して2倍を超える新規売上数を獲得できました。

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過去にウィルキンソンを購入した人(図内「WK購入者」)におけるROAS、新規ユーザー(図内「WK非購入者」)における購買数をそれぞれ示したグラフ(クリックすると拡大します)

 購買経路の分析では、購買率の高かった経路の上位2つはPrime Video広告に最初に接触し、その後バナー広告や検索広告を経て購買に至っていることを確認しました。上位10位以内でも8つがPrime Video広告に序盤で接触しており、セール期間における購買意欲の喚起にPrime Video広告が効果的に寄与していたことも発見でした。

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購買率の高かった経路のトップ10。うち8つがPrime Video広告(図内「PVA」)に序盤で接触している(クリックすると拡大します)

加藤:今回、2026年の戦略の種を2025年の段階で検証したことは初めての試みだったため、今後2回、3回と検証を重ねることで、どのようなクリエイティブが今のお客様に響いているのかを引き続き見ていきたいと考えています。ただ、戦略を前年に検証し、一定の効果を確認できたことには自信を持てますし、このスピード感で実現できたことには価値があったと思います。

ECで売れる商材×OTT活用に見えた1つの勝ち筋

MZ:今回の取り組みを振り返り、成功要因をどのように分析されていますか。

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加藤:成功要因は2つあると考えています。1つは、クリエイティブが非常に良かったこと。もう1つは、電通デジタル様が設計した各OTTメディアの活用方法が適切だったことです。60秒をデジタル専用で制作し、15秒や30秒でフックをつくった後、より深く理解していただけるコンテンツ設計にし、それをクロスメディアで展開するという全体設計が成功だったと思います。

森:私たちが新たに提供できるソリューションや先進的な事例を生み出していく動きに対して、アサヒ飲料様が積極的に協力してくださったことも大きいと考えています。L字バナーやPrime Video広告に、チャレンジングに取り組んでくださいました。私たちとしても今後このような提案を続けたいと考えています。

MZ:今回の施策に対して、アサヒ飲料としてはどのように評価されていますか。

加藤:新しいものに挑戦し、それが良かったのか悪かったのかをまず経験して取り込みたいと考えているため、うまく伴走していただいていると感じます。特にウィルキンソンにとってAmazonは最も売上の大きい流通であり、ECとの親和性が非常に高いとこれまでも感じていました。EC購入者というN数が多いからこそ、購買リフトへの寄与もしっかり検証でき、Prime Video広告の効果を特に感じることができたと思います。

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テレビCMとOTTを並列で捉えたコミュニケーションを設計する

MZ:ウィルキンソンブランドとして、今後のOTTメディア活用やデジタル施策への取り組みの展望をお聞かせください。

加藤:OTTメディアについては、引き続き購買リフトにつながるかという観点と、クロスメディア接触という観点を重要視したいと考えています。

 以前のウィルキンソンはテレビCMありきでコミュニケーションを展開していましたが、現在はその主従関係を変えています。ウィルキンソン全体のコミュニケーション戦略があり、その中の一つの戦略としてテレビCMがあり、OTTもあり、他のキャンペーンも同時期に走る。これらがクロスで接触することで、ウィルキンソンがしていきたいコミュニケーションが消費者に理解されると考えています。新たなOTTの活用方法についてもトライし続けたいです。

MZ:アサヒ飲料の展望に対して電通デジタルはどのような価値提供ができるとお考えでしょうか。

森:OTTと一口で言っても、Prime Video広告が解禁されたり、新しいメニューやメディアが出てきたりする中で、情報が今後もあふれていくことが目に見えています。

 その中で、どのソリューション、どのコミュニケーションがアサヒ飲料様やウィルキンソンにとって適しているのか、どうすれば効果を最大化できるのかを改めて精査しながら提案していきたいです。一緒にチャレンジさせていただき、また新たな事例を生み出していけるよう活躍できればと考えています。

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社電通デジタル

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2026/03/02 10:00 https://markezine.jp/article/detail/50323