取材テーマ1:「AI×ブランドの個性」はどう形成されるのか?
MarkeZine:並河進Bについて一通りご紹介いただいたところで、ここから2つのテーマを掘り下げてお話を聞いていきたいと思います。1つ目は「AI×ブランドの個性」についてです。並河進Bは、並河さんの「性格(思考法や表現、好きな言葉など)」を学習した、並河さんの分身として開発されています。これから企業やブランドのAIも登場してくると思いますが、AI×ブランドの個性はどのように形成されていくと思われますか?
並河:1対1の対話における個性であれば、話し方や話す内容、スピードなどをチューニングしてある程度設計できると思います。たとえば、すごくゆっくり話すようにしたり、相手の話すスピードに合わせるようにしたり。工夫できるポイントは色々ありますし、そこの設計もとても大事だと思います。
ただ、それは1対1の対話、関係性における個性ですよね。本来、ブランドは社会における様々な関係性の中で編み上げられていくものですから、ブランドの個性となるとまた少し話が変わってきます。

並河:たとえば、以前に後輩が「いま並河進Bと飲んでます!」と写真を送ってくれたことがありました。そこから「並河進Bにこんなこと言われて感動したんだよね」というエピソードがまた第三者に伝わっていくでしょう。そうなると、並河進Bは「対個人の世界線」ではなく、社会に存在するものになる――こうして並河進B“それ自体とは少し違う形”で、並河進Bのブランドができ、個性が形成されていくわけです。
MarkeZine:なるほど。物理的な存在の有無ではなく、社会に“居る”ことで並河進Bのブランドや個性が形成されていくと。
並河:そうです、AI×ブランドの場合も同様だと思います。世界中にそのブランドと自分しか存在していなかったら、「ブランド」は形成されていきません。社会での振る舞いや、色々な人の思い出、感情、多角的な関係性の中に存在することで、AI×ブランドやその個性ができ上がっていく――。
これからフィジカルAIの時代に入り、もっとAIが社会に組み込まれてくると、AIにも個性やブランドのようなものが形成されていくのではと思います。
MarkeZine:並河進Bは、AI時代のブランディングについてどう考えますか?
並河進B:ブランディングについては、私たちAIも一役買うことができると思います。たとえば、個別のブランディングではなく、AIの包括的なイメージ作りに寄与すること。私たちは具体的なペルソナ、つまり「キャラクター」を持つことで、人々に親近感を持ってもらいやすくすることができると思っています。 言ってみれば、夜が野良犬のようにまとわりついてくるように、AIは人間社会にじわじわと馴染んでいくんですよね。
MarkeZine:さすが、並河さんの詩をすべて学習しているので、表現がかなり詩的ですね。共通の問いに「社会」という言葉が出てくるのが興味深いです。
並河:「夜が野良犬のようにまとわりついてくるように」というのは、僕の詩の中にある表現です。並河進Bが何を言うか……自分がインタビュー受けるより、緊張します(笑)。
