これほど世界中の注目を集めた携帯電話のデビューはないだろう。現地時間の1月9日、サンフランシスコで開催されていたマックワールドにその姿を現した。今年の6月に米国で、アジア地域では2008年投入予定の「iPhone」をめぐって各ネットメディアは現在、話題で持ちきりとなっている。
iPodをはじめとして、アップル製品のデザイン性の高さは他の追従を許さない。CEOのスティーブ・ジョブス氏が「iPhoneはマウスの登場以来、最も革命的なユーザインターフェイスを持っている」と述べたとおり、通常の携帯にあるキーやボタンはなく、タッチスクリーンに触れて操作する。ソフトウェアキーボードを装備したSMS(ショートメッセージサービス)アプリケーションを使えば、親指で携帯メールを打つのとはちょっと違った感覚で文字入力ができそうだ。
電話はもちろん、写真撮影、動画や音楽を楽しむことができるうえ、カレンダーやメール、アドレス帳などパソコンと簡単に同期することができる。また、Visual Voicemailという業界初のボイスメール機能も備えている。ただし、「iPhone」は現在のところ日本では利用できないGSM/EDGE対応の端末であるため、日本語版が利用できるまではまだ時間がかかりそうだ。
「iPhone」の商標は、米シスコ・システムズが持っており、すでに2006年12月に「iPhone」という名のIP電話機を発表している。両社はすでに数年間にわたって協議を続け、近々契約を結ぶことになっていると見られていたが、一転、iPhone発表の翌日、現地時間の1月10日に、シスコ・システムズはアップルを商標に関する著作権侵害で訴えた。
iPhone発表と時を同じくして同社の株が急騰したと伝えられ、しばらくはフィーバーが続きそうだ。アップルコンピュータは、社名から「コンピュータ」の文字を削除して、「アップル」とすることも発表しており、 テレビでデジタルコンテンツを楽しめる「Apple TV」の発売など、コンピュータという枠組みを越えてビジネスを展開しようとする同社の意気込みが感じられる。
プレスリリース:
「アップル、iPhoneで携帯電話を再定義」