インターネット急伸国の台頭~中国
中国のCGMで特筆すべき点として、掲示板によるコミュニケーションが非常に盛んな点が挙げられる。中国インターネット協会(Internet Society of China)が発表した最新の資料によると、最もよく使うサービスとして、メール、ニュース、検索、情報収集に次いで、掲示板が5位に挙げられている(ブログは12位)。
中国の掲示板の特徴として、日本のそれに比べて非常に高機能な点が挙げられる。画像だけでなくFlashファイルもアップロードすることが可能で、ブログパーツをアップロードしている例もよく見られる。反対にブログは、ブログパーツの貼付を認めているところが少ない(専用のブログパーツのみ有料で貼り付け可能としているところが多い)等、日本のそれと比べるとバイラルプロモーションのプラットフォームとしてはまだ成熟していない。
とはいえ、現在ブログ市場が急速に発展しつつあるのもまた事実である。中国トレセント社のリリースによると、中国のブロガー数は2007年の一年間で62.5%もの成長を記録し、また同社の提供するアバターやブログ等を中心としたインターネットサービス「QQ空間(Qzone)」のアクティブユーザ数は1億人を突破したという。
中国でのバイラルプロモーションを考える際は、「成熟した掲示板プラットフォーム」と「急成長中のブログプラットフォーム」の両者を念頭に置いて企画を立てる必要があるだろう。
全世界に発信できる醍醐味
以上駆け足となったがイギリス、アメリカ、中国の3カ国のバイラル市場の特徴について、述べてきた。
バイラルプロモーションの特徴をひとつ挙げると「国境の壁が薄い」ということがいえるだろう。日本発で世界に広まったブログパーツとして、話題になったUNIQLOCKを始め(参考記事:ユニクロのキャンペーン「UNIQLOCK」が、195ヵ国で視聴数3,000万を達成)、日本のブログパーツが海外で広まってしまう例はそれほど珍しくない。
私が関わった案件でも、日本向けのブログパーツが海外のブログで紹介記事付きで貼られているのを見て驚いたことがある。そのブログではスクリーンショットを交えてブログパーツの入手方法が説明されており(ブログパーツ配付ページは日本語なので、日本語が読めないとパーツを取得できない)、そのブロガーの情熱には舌を巻いた。
望む望まないに関わらず、インターネット上で発信される情報は全て”全世界”に向けて発信される。バイラルプロモーションを実施するうえで、この特性はメリットにもリスクにもなりうるが、いずれにせよ魅力的なコンテンツの”海外流出”は避けることができない(IPアドレスやブラウザの言語設定を見て、海外のPCから再生が行われないよう制御することは可能)。海外のプロモーションを直接手掛ける機会はまだまだ少ないかもしれないが、必要最低限の海外事情は常にアップデートしておくことが望ましいだろう。
