知らない間に迷惑メール業者になってしまう可能性も
ところで、迷惑メールやスパムメールとは、一体どういったメールのことを指すのだろうか。
「例えばモバイルの場合、スパムメールに対する基準は各キャリアで異なります。迷惑メール業者は、ランダムにアドレスを生成して大量に送信するため、あるキャリアでは、一定の送り先から存在しないアドレスに対して多数のメールが送られてくると、配信リストを自動生成している可能性が高いと判断して、メールをブロックするようにします」
ここで注意しなければいけないのは、何十万、何百万というデータを持つ企業の場合、知らないうちに迷惑メール業者と同じ行為をしてしまっている可能性があるという点だ。
「ユーザーがアドレスを変更したり、受信拒否設定をしている場合、過去に同意をとっていようともメールは届きません。こうしたさまざまな理由により送信時のエラー率が高くなると、迷惑メールと同じロジックで、キャリア側からブロックがかけられてしまうのです」
よって、有効なアドレスを保持してエラー率を低く抑えることがブロック防止の最良の手段になる。そのためには、エラーメールを的確に解析しなければばらない。
「エラーといっても、それがメールアドレスの変更によるものなのか、回線が込んでいたため返ってきたのか、受信拒否なのかなど、その原因を突き止めて対策がなされないと問題は解決しません。ブロックになりそうなアドレスは除外しなければなりませんが、そうでないアドレスまでフィルターにかけてしまうと、反対に機会損失になりかねません。こういった、エラー解析の精度も今後重要になってくるポイントです」
また、特にモバイルメールの場合、配信のタイミングやスピードも重要になってくる。
「タイムセールスのメールを配信したいのに、時間がかかっていては本末転倒。大量のメールを短時間で送れることも、モバイルメールマーケティングでは重要な要素だということを忘れないでください」
こういった観点から考えると、メール配信サービスを利用するのも1つの効果的な手段だといえる。企業が独自にメールを配信したとしても多くて月間の総配信数は1000万通程度。得られるノウハウは限られている。だが、例えばエイケア・システムズの場合だと、取り扱うメールは月間で5億通強。情報の絶対量が違うため、携帯各キャリアのメールブロックの傾向などが掴みやすく、配信エンジンのチューニングやメンテナンスにも反映できる。