レコメンデーションを活用した次世代のメールマーケティング手法
また、メール1通1通の効果を高める手法も、今後必要になってくるだろうと北村氏は言及する。その際に重要となってくるのが、ユーザーの過去の行動履歴などのデータに基づいたメール配信だ。これまで、会員に送られるメールの内容は、性別や年齢、好みなど登録時に入力した情報をもとに作成・配信されていたが、これでは正確性に欠けるというのだ。
「意外とこういった情報はアテにできないもので、そもそも入力された内容が本当に正しいのかという問題があります。さらに趣味や指向は年齢とともに変化するので、登録時の情報がいつでも有効とは限りません。そのため、送り手側は知らないうちに、ピント外れのメールを送ってしまっていることも多いようです」
もちろん、エンドユーザーによる自己申告も大事だが、これからは、企業が保有する膨大な各種データを有効に活用することがテーマになる。
「例えば、アクセスログ解析ツールやレコメンドエンジンとメール配信システムを連携させれば、よりユーザーのニーズに即したメールが送れるようになります。近年はテクノロジーの発達から、『SaaS』に代表されるようにソリューション間の連携が可能です。海外では積極的に取り入れられている手法で、一斉送信に比べて、クリック率やコンバージョン率が倍になったという報告もあるほどです」
アクセスログ解析はサイト改善などに使われることが一般的だが、このようにプロモーションに応用することもできる。鮮度の高いユーザー情報が汲み取れるため、嗜好性や関心の変化にも対応したOne to Oneの手法としてメールマーケティングは確立しつつある。
適正な運用と効果を高める工夫が鍵になる
最後に北村氏から、メールマーケティングに携わる方々へのメッセージを伺った。
「モバイルはコンシューマとのコミュニケーションツールとして欠かすことができない存在になっています。ですから、いかにそこでメールを活用すべきかを考えていただきたい。また、顧客データベースや購入履歴など今持っている情報との連携を考え、より高い成果を得られるよう工夫することも大事です。もちろん、適正に運用するといった視点も忘れないように。世界的な不況の中、メールマーケティングはコストを抑えながら売上を向上させるプロモーション手法として見直されてきています。ぜひ有効に活用してください」
次回は、特電法改正がメールマーケティングに与える影響について、より詳細に迫ります。
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