SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

Retail & Commerce Standard 2026 powered by MarkeZine & CommerceZine

MarkeZine Day 2026 Autumn

競合との消耗戦を抜け出す!北の達人・木下氏が語る「戦わずして売る」マーケティングの極意

 日々のマーケティング業務において、終わりのないレッドオーシャンでの顧客獲得競争に疲弊していないだろうか。本記事では、「実務者が選ぶマーケティング本大賞2026」を受賞した『戦わずして売る技術』の著者であり、北の達人コーポレーション代表取締役社長の木下勝寿氏の特別講演をレポートする。ターゲットを明確にし、他社との奪い合いを避ける「戦わずして売る」ための具体的なノウハウと、実践的なコンセプト設計のフレームワークを解説する。

消耗戦を抜け出す「戦わない」マーケティング

画像を説明するテキストなくても可
北の達人コーポレーション 代表取締役社長 木下 勝寿氏

 マスマーケティングを中心とした従来のマーケティングは、不特定多数の生活者へ向けて一斉にアプローチを行う手法が主流だった。この手法では、おのずと複数の企業が同じ市場で限られた顧客を奪い合うことになり、結果として各社が競合化し、消耗戦に陥りやすい構造を持っていた。

 これに対し、Webマーケティングの最大の特性は、精密なターゲティングが可能である点だ。木下氏は、このターゲティング機能の本質を「戦わずに売る」ための手段として位置づけている。異なる企業がそれぞれ明確に異なるターゲット層を設定し、特定のユーザーに対してのみ情報を提供すれば、市場での無用な奪い合いは発生しないというロジックだ。

画像を説明するテキストなくても可
クリックすると拡大します

 木下氏自身、かつて営業職として他社と顧客を奪い合う日々に疑問を感じていたという。「顧客を奪い合って、もうめんどくさいなと思っていた。Webマーケティングが出てきたときに、これを使えば競合と戦わずに販売していくことができると考え、のめり込んだ」と、当時の背景を語る。

 Webマーケティングとは、単なるデジタル空間での広告出稿手法ではなく、無用な競争を回避し、自社にとって最適な顧客のみを抽出してコミュニケーションを図るための、戦略的な技術なのだ。

運用疲弊を打破するファンダメンタルズ領域

 現代のWebマーケティング業務は、大きく「ファンダメンタルズ領域」と「テクニカル領域」の2つに大別される。ファンダメンタルズ領域とは、商品、競合、ユーザーに関する徹底的な情報収集を行い、それらを基に仮説や戦略を立案する工程を指す。ビジネスの根幹となる「誰に(ターゲット)」「何を(USP:独自の売り・強み)」伝えるのかというコンセプトワークは、この領域に含まれており、マーケティング業務全体の7割から8割の重要度を占めると語られる。

 一方のテクニカル領域とは、ファンダメンタルズ領域で策定された仮説を実行に移し、広告メディアからのクリック率やコンバージョンなどのフィードバックデータを基に、配信設定やクリエイティブを細かく調整(チューニング)していく運用工程だ。CPA(顧客獲得単価)の最適化を目指す日々の運用業務は、主にこの領域に属する。

画像を説明するテキストなくても可
クリックすると拡大します

 インターネット広告の普及以降にマーケティングに携わるようになった実務者は、このテクニカル領域の作業のみをWebマーケティングの全体像と誤認しがちだという木下氏。しかし、同じ切り口の広告クリエイティブを配信し続ければ、いずれターゲットユーザーに行き渡り反応は鈍化するため、テクニカルな運用調整だけではいずれ限界を迎える。「テクニカル領域だけでは疲弊する」と木下氏は指摘する。

 運用による成果が頭打ちになった際、マーケターが取るべき行動は、テクニカルな微調整に固執することではない。「疲弊してきたときには、もう一度ファンダメンタルズ領域に戻り、商品やユーザーを研究してコンセプトを再設計する」のだと木下氏は語る。このプロセスを定期的に繰り返すことで、一過性のバズや売上に依存することなく、10年以上にわたって顧客から支持され続けるロングセラー商品を生み出すことが可能になるという。

 日々の広告運用でCPAの高騰や効果の頭打ちに悩むマーケターは多いだろう。小手先のチューニングではなく、根本的な解決を図るためには、ターゲットと競合の定義をゼロベースで見直す必要がある。講演ではここから、顧客の深層心理を完全にトレースする「ユーザー理解の3段階」と、自社の脅威となる「3つの競合」の正体を明らかにする分析手法について詳しく解説された。

次のページ
ターゲットの思考をトレースするユーザー理解

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
MarkeZine Day 2026 Autumn連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

安原 直登(編集部)(ヤスハラ ナオト)

大学卒業後、編集プロダクションに入社。サブカルチャー、趣味系を中心に、デザイン、トレーニング、ビジネスなどの広いジャンルで、実用書の企画と編集を経験。2019年、翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2026/10/15 08:00 https://markezine.jp/article/detail/77785

Special Contents

PR

Job Board

PR

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング