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「LPOだけでは足りない」
テストとターゲティングでコンバージョンアップを狙う

 Webサイトに対する利用者の要求は常に変化しており、サイトのマーケティング担当者は、そのニーズを的確にとらえ、適切なコンテンツを速やかに提供する必要がある。オムニチュアが提供する「Omniture Test&Target」は、まさにそういったニーズに応えるサービスだ。その特徴や活用法などについてオムニチュアの水嶋ディノ氏と森田恭平氏に聞いた。

費用対効果への近道はテストとターゲティング

 オムニチュアが提供する「Omniture Test&Target」(以下、Test&Target)はそのサービス名のとおり、「テスト」と「ターゲティング」の機能を持ち合わせているのが特徴だ。

 水嶋氏(写真右)は、「Test&Targetでは、特定の属性を持つ訪問者に対してテストを実施したり、テスト結果を訪問者セグメントごとに見ることができます。例えば、女性の訪問者に、コンテンツA、コンテンツBという異なるコンテンツを提供するテストを実施し、20代の女性はコンテンツAで多くコンバージョンし、30代の女性はコンテンツBでより多くコンバージョンしたといった結果が得られます。このようにテスト結果をセグメントごとに見ることで、より粒度の細かいセグメントを発掘し、より効果的なターゲティングが可能になります」と語る。

 なお、Test&Targetにおけるターゲティングは、男性/女性、年代といった個人の属性以外に「このページを見た人」「この商品を買った人」などの行動に基づいたセグメントも対象にできる。

業務プロセスとしての実施を実現する機能

 また、テストとターゲティングは、単一のプロジェクトとしてではなく、業務プロセスとして実施すべきだと提言する。「例えば、Webサイトをリニューアルする際、2パターンのコンテンツをテストしたとします。その結果コンバージョンの高かったコンテンツを採用し、それを数年後のリニューアルまでそのままにしておくのが最良とは言えません。訪問者の興味や関心は変化し続けていますし、サイト自身の目的・戦略の変化もあるでしょう。コンテンツの効果を高いレベルに向上するには、テストとターゲティングを常に行うことが必要と考えます」と説く。

 こういった作業を頻繁に行うことは面倒なように感じる方もいるかもしれない。その解決策としてTest&Targetに用意されたのが「Mbox」という仕組みだ。Mboxは、マーケティングボックスの略で、マーケター自身がIT部門や外部の人材に頼ることなくテストやターゲティングをコントロールできるWebページの領域。

 Webページのある領域にあらかじめMboxのコードを記述しておけば、そこに対してテストの設定や実施、ターゲティングしたコンテンツの配信、さらに結果の評価まで行える。また、訪問者全体だけでなく、セグメントごとにテストとターゲティングができ、それらすべてを別部門や外注して行うのではなく、マーケター主導で展開が可能となっている。

ランディングページだけでなく、Eメールコンテンツまで最適化

 さて、Test&Targetを導入した際の効果はどれほど期待できるのだろうか。

 水嶋氏は、「GMACMortgageは、主に住宅ローンを手がけるアメリカの会社で、トップページからのコンバージョンを1か月で12%向上させることができました。また、Intuitという個人向けのマネー管理ソフトの会社では、ランディングページのコンバージョンを136%向上しています。daveramsey.comという個人向けのセミナー会社の場合は、地域ターゲティングの活用で60日で400%のROI、つまり、60日でTest&Targetにかかる費用の4倍の収益をあげました。単純計算だと2週間で投資回収したということになります」とその効果の高さを強調する。

 一方、Test&Targetは、ランディングページの最適化ツールと解釈されることが多いとのことだが、それは一部であり、トップページや商品ページ、サイト外に設置したバナー、リスティング広告、顧客に配信するEメールにも対応可能だという。

 例えば、E-LOANというローン会社では、HTMLメールの中のメッセージと行動喚起をテストし、最も効果的なものを見つけ出して配信できれば、キャンペーンの効果を高めることが出来るだろうという仮説をたて、A『自動車ローンはいかがですか?』、B『種別を特定せずローンをお探しですか?』、C『(ローンではなく)預金口座はいかがですか』といった3パターンのコンテンツを用意した。

 「メールの配信後、他と比較してAのコンバージョン率が高いことがわかりました。Eメールの場合、メールが開封され始めた段階から行動喚起のクリエイティブが読み込まれ、測定が行われます。メールが開封されていって、効果が高いパターンが判明した段階で、そのパターンのみが表示されるよう設定します。そうすると、その後に開封されるメールではすべて、効果の高いコンテンツが表示されます。その効果の高いパターンを判断する決め手となる信頼係数のレベルもTest&Targetが判断します」と、水嶋氏はEメールコンテンツの最適化についても説明した。

大きな成功をつかむには、小さな成果の積み重ねが必要

 オムニチュアでは、テスト、セグメンテーション、ターゲティングというサイクルを継続して実施し、小さな成果を積み重ねることが、大きなインパクトにつながると考えている。

 森田氏(写真左)は「例えば、トップページのバナーひとつだけでも、Test&Target上で必要な設定作業はほんの数分で済みますので、3パターンくらい用意してテストをしてみれば、まずは結果が得られます。そこでたとえ大きな効果が得られないという結果でも、何か考察を得ることができただけでもテストの意味があります。Test&Targetなら早くて2週間で結果は出ますので、まずどのようなテストをするべきかということで迷う前に、サイト上で積極的に行動を引き起こそうとしている重要なところからどんどんテストしてみるといいのではないでしょうか」と話す。

 とはいえ、どんなテストを行っていいかわからない場合もあるし、テストのクリエイティブをデザイナーに依頼しなければならないこともあるだろう。しかし、見出しや文章、ボタン上の文言など、テキストだけを変えて実施できるテストもある。

 森田氏は続けて「海外ではテストとターゲティング専門の担当者がいて、一日中サイトのテストを行っているところもあります。日々コンバージョン率を少しずつでも向上していくことができれば、最終的には大きな収益を得られるため、専門の担当者をつけて行うべきであると判断しているのでしょう。テストをすると、予想とは違った結果が出ることが多いという調査もあります。何度も言いますが、どんなテストをするか悩む前にまずはやってみることが大切です。そして、テストを繰り返していき、経験値を上げていくことによって、テストの設計や分析の精度とスピードもあがっていきます」と話す。

SiteCatalystと連動させることでより高度な利用も可能

 Test&Targetの今後の展開について聞くと、Omnitureのオンラインマーケティングスイートの1製品であるWeb解析ツール「Omniture SiteCatalyst」や、検索連動型広告自動入札管理ツール「Omniture SearchCenter」との連携を強化していくとのこと。

 「Test&Target単体でもテストやターゲティングは可能ですが、SiteCatalystを利用している場合、既に把握しているセグメントに対するターゲティングをTest&Targetで実施できます。また、ウェブ解析のレポートを、Test&Targetで得られたテスト結果に基づいて分析できます。例えば、いくつかのクリエイティブについて、訪問者が見ているブラウザごとに区別して結果を見るなど、より柔軟な視点で解析できるようになります」と森田氏。

 さらに、同社では、単純にツールを提供するだけでなく、より効果的な活用ができるよう、コンサルティングのサービスも用意している。

 森田氏は「テストを実施するにあたっては、設計・実装・分析そして次のテストを行う…と、一連の流れがあります。その中核になるのがテストのロードマップで、これに基づきテストを設計していきます。コンサルティングサービスでは、ロードマップ作りから、テストやターゲティングのプランの提案、ツールの導入トレーニングやテクニカルサポートも行います。業界別にどんな施策を行えば効果が出るか、グローバルで情報を共有していますので、お客様には最善のサポートを提供できる体制が用意されていると思っています」と今後の展開を語った。

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

 就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・翻訳ツールなど...

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MarkeZine(マーケジン)
2012/02/28 21:33 https://markezine.jp/article/detail/7955