ミッション:「SANSPO.COM」掲載記事の企画・取材・執筆&編集を担当
産経新聞社のデジタル事業部門が独立し、国内の主要新聞社では初のデジタル事業専業の子会社となった「株式会社産経デジタル」。産経新聞グループ各媒体のWebサイト運営や、ポータルサイト・モバイル端末へのニュース&コンテンツの配信事業を展開し、ユーザー参加型の情報サイト「イザ!」やマイクロソフトとの連携による「MSN 産経ニュース」、産經新聞のデジタル版配信など、次々と新しい取り組みを進めてきた。
「サンスポコム」は、そんな同社が部門時代からサンケイスポーツのWebサイトとして10年以上に渡って運営してきた、歴史ある情報サイトだ。大矢さんは入社時から担当として配属され、月間2億PVを誇る人気サイトに育ててきた一人である。しかし、同じ担当ながら、ここ数年で仕事の内容が大きく変わってきたと語る。
「入社当時は『サンケイスポーツ』の新聞コンテンツをスピーディにWebサイトに反映することが仕事でした。いわば”コーダー”だったんです。しかし、だんだんとネットメディアとしての情報やコンテンツが求められるようになり、近年では企画から取材、執筆・編集までトータルに担当することが多くなりました」
そうした世の中からのニーズの高まりに応じて、サイト自体も2008年にリニューアルし、いっそうネットメディアとしての独自性を強調しつつある。ニュースや記事の検索性、速報性を高め、ネットだけのオリジナルコンテンツも拡充させた。
「ネットメディアはやはり『スピードが命』ですから、いかに面白いネタを仕入れてくるかが勝負のしどころです。さらに、スポーツや芸能に関するニュースは短時間でぱっと読めて、肩の凝らないものである必要があります。ですから、仕入れたネタの鮮度を落とさないまま、端的にわかりやすく伝えることを意識しています」
ニュースのネタとなる情報は、主にネット上を探索して仕入れる。記者会見や取材などもあるが、いまや公式な情報はネット上に掲載されることが増えているという。しかし、同時発信が可能なネットであるだけに、ニュースの鮮度を競い合うメディアサイトにとって差別化が難しいのではないだろうか。
「いや、これだけ情報があふれていると、やはり差は生じてきますよ。対象をよく知っていると、『もうそろそろ第一子誕生だな』とか、予期して情報を探すことができるようになったり、ネット上でも『あたりをつける』という人間系のスキルが必要なんです。それに速報だけでなく、誰も知らないようなコアな情報を探し出してきて提供することも記者の力量によるでしょう」
パソコンの前に座っていながらも、情報の大海の中から「魅力あるニュース」を選び出す。そのニュースを配信した直後から、ユーザーから大きな反応が返ってくる瞬間がなんともいえないという。
「誰も知らないニュースを一番に知って、それを掲載すれば自分が驚いたのと同じように大きなインパクトが返ってくる。まるで水面に石を投げ込んで波紋が広がるようで、わくわくします。ちょっとミーハーなところがあるのかもしれません(笑)」
しかし、スピードを重視しながらも「情報の正しさ」を担保することは忘れない。公式サイトなどの正当な「ソース」を突き止め、ニュースとして配信すべきか判断することも重要な仕事である。
「パーソナルメディアとしての側面がクローズアップされがちなネットメディアですが、「サンスポコム」は、報道を担うマスメディアであり、情報の信頼性は欠くことができない要素です。そこが個人のメディアとは大きく違っています。ネット・リアルを問わずソースを見つけ出し、確証を得てから、自分の手でアップするまでの時間をいかに短縮するか、大きな課題です」
「サンスポコム」では、情報をキャッチするところから、最終的なニュース配信までを6名の「個人」が担う。少人数でどのように業務を遂行しているのだろうか。1日の流れをうかがった。(次ページへ続く)