コンサルティング力の有無が、Webクリエイターの生き残る道!
中小企業には、Webをもっと活用したいというニーズがある。そこから仕事を継続的に得るため、Webクリエイターもコンサルティング力を持つべきだという話をしてきました。クリエイターの中には、こうした仕事は、営業担当者や社長の役割だとの考えを持つ人もいるでしょう。しかし私は、これからは現場のクリエイターにも必須のスキルだと考えているのです。
先にもお話したように、私は大手の事業会社のマーケティング部署で働いていました。自身が発注者だったためよくわかるのですが、大手のWebサイトを手がけたというのは、Web制作会社にとっては実績になります。そのため、どこも「仕事をくれ」と営業にいらっしゃる。すると、結果的に安いお値段でも請けていただけるわけです。せめて、その案件がWeb制作会社のブランド構築につながってくれればいいのですが、下手をすると安くて便利な発注先の1つに成り下がってしまいます。
さらに大手企業は、今後の発注先の候補として、中国やインドなどの企業も検討する可能性があります。Web制作の技術が向上し、効率的にできるようになりましたから、それほど難しいページでなければ、安いほうへ安いほうへと流れていくわけです。
日本の家電製品がコモデティ化し、新興国におびやかされているように、Web制作の現場にももそうした空気が漂い始めています。特出して芸術的なものを生み出せる制作会社は生き残れるでしょうが、それこそ、iPodを作ったアップル社のような特別な存在にならなくてはなりません。
自分のスキルではそうした方法での生き残りが難しいなと感じるなら、ぜひコンサルティング力を身につけてほしいですね。それが、これから日本のWeb制作会社が生き残るための手段だと考えています。私が個人的におつきあいしている制作会社さんで、「ここは」というところは、「このまま制作だけしていてはダメだ」ともう気づいて努力していらっしゃいますよ。
中小企業診断士の資格を持ち、Web戦略を強みとする「柳瀬智雄」という存在は、かなりニッチだと思います。同様に、コンサルティング力のあるWebクリエイターも、まだまだめずらしい存在ではないでしょうか。少し前に流行ったブルーオーシャン戦略ではないですが、ライバルの少ないところを攻めるのが生き残るための術なのです。(次ページへ続く)