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簡単・早い・安心な新サービス
「さくらのマネージドサーバ Atomプラン」試用レポート

 さくらインターネットが昨年より提供を開始したマネージドサービス「さくらのマネージドサーバ Atomプラン」は、「最短で当日提供」「専門知識不要」「保守・運用の心配ナシ」を実現。システム部門のない中堅・中小企業やWeb制作会社には嬉しいサービスだ。この記事では、ユーザーの立場に立って同サービスのメリットを紹介していく。

中小企業・Web制作会社にとって目からウロコの新サービス

 さくらインターネットの新サービス「さくらのマネージドサーバ Atomプラン」は、共有レンタルサーバと専用レンタルサーバ、両者のメリットをリーズナブルな価格で提供するサービスだ。

さくらのマネージドサービスはリーズナブルな価格を実現している。
機能の詳細はさくらインターネットサイトで確認できる

 さくらのマネージドサーバ Atomプランの利用者ターゲットは、多数のサイト制作・運用を請け負うWeb制作会社や、システム部門を持たない中堅・中小企業やSOHOなどを想定しているという。筆者はWeb制作会社の株式会社エフエックスビイを運営しており、まさにこのターゲットに位置している。

 Web制作者の立場から、さくらのマネージドサーバ Atomプランのサービス内容を見ると「専用なのにすぐに使える(早さ)」「サーバの専門知識がいらない(簡単)」「保守・運用の心配なし(安心)」といった3つのメリットがあると言える。もちろん、企業のWeb担当者にもこれがあてはまるだろう。

 それでは、この3つのメリットがWeb制作会社やシステム部門を持たない中堅・中小企業にとってどういったメリットをもたらすのか筆者の実体験も踏まえ紹介していこう。

早い!~専用と同環境だがすぐ使える

 一般的な共有レンタルサーバの場合、既にセットアップされたサーバを利用するため、オンラインでの申し込み後、すぐに利用することが可能だ。しかし、1台のサーバを複数ユーザーで利用するため共有している他社の利用状況に自社のサイトのパフォーマンスが左右されてしまうという難点がある。

 特にデータベースを利用するCMSやECサイトのシステムなど、管理画面の動作が緩慢になると運営側の更新作業もままならない。サイトのエンドユーザー側に対しては、ページの表示はもちろん、サイト内検索やフォーム送信の操作にもキビキビ応えたいものだ。

 一方、パフォーマンスに不安がある場合、専用レンタルサーバが選択肢として挙がる。この場合一般的に申し込み後、事業者側で機器の調達やセットアップなどで数日~10日程度のリードタイムがかかるため、制作スケジュールに織り込んでおく必要があるのが当たり前であり、筆者も専用サーバの調達にあわせてサイトのリリース日を決定した経験を持っている。

 しかし、さくらのマネージドサーバ Atomプランなら申込みから最短で当日から利用できるため、共有レンタルサーバのようにすぐに利用でき、専用レベルの環境でありながら共有レンタルサーバと同程度のスピード感で仕事を進めていくことが可能だ。

簡単!~サーバの専門知識がいらない

 専用レンタルサーバとなると、利用者側にOSレベルでサーバを操作するコマンド操作などの知識が求められる。一方、共有レンタルサーバのよい点は、サーバの操作をWebのコントロールパネル画面で行うため、コマンド操作が不要なことである。さくらのマネージドサーバ Atomプランにもこのコントロールパネル機能が搭載されている。

 小規模のWeb制作会社では、デザイナーとディレクターは数名いても、サーバの専門技術を持つスタッフは少なく、多くの場合が兼任なのではないだろうか。ましてや、クライアント企業では皆無に近い。そのため、コントロールパネル画面があれば専門的な知識を必要とせず、サーバ管理が可能となる。

 さて、本稿の執筆にあたり、翔泳社のイベント「MarkezineDay2010 Spring」の告知を目的としたWebページの制作を任されたという想定で、さくらインターネット社が用意したさくらのマネージドサーバ Atomプランのサーバに設置すべく、コントロールパネルを利用してみた。

 今回は、告知ページをサブドメイン下に設置し、その領域のみ利用できるFTPアカウントを発行し、サイトのHTMLファイルなどを設置するまでの作業を行った。1台のWebサーバで複数のサイトを運営する場合、サイトのブランディングなどの目的で専用のドメインを用意し、さらにそのサイトの関係者のみが利用できるFTPアカウントを発行するケースはよくある。

 コントロールパネルではこうした操作をサーバのOSのコマンドを使わずとも設定できる。ちなみに筆者は、Web制作において主に企画や進行管理などを担当する立場なので、サーバの専門技術者ほどのOSの知識はない。

 まずは、初期アカウントでサーバにFTP接続し、今回の告知ページ向けのサブドメインを割り当てるフォルダを作成し、コントロールパネルにログインした。

利用感レポート~充実したオンラインマニュアル

 コントロールパネルのトップページには、使い方がわからないユーザーにとって目に入りやすいように「サポートオンラインマニュアル」「よくある質問」のボタンを目立たせている。さくらのマネージドサーバ Atomプランには無料の電話サポートがついているものの、平日10時~18時と対応時間が決まっている。トラブルは時間に関係なく発生するので、こうしたドキュメントは頼りになる

 コントロールパネルは文字ベースのシンプルな構成で、左側のメニューで目的の操作画面を呼び出せるようになっている

 オンラインマニュアルのトップページは下図に掲載されている。「さくらのマネージドサーバ」をクリックするとマニュアルが参照できる。

 「よくある質問」では、質問に関するキーワードや文章を入力して、目的の回答を探せる

利用感レポート~ドメインも楽々設定

 マニュアルやFAQを参考にした後は、サブドメイン割り当てのため、左メニューの「サイトに関する設定」>「ドメイン設定」画面を呼び出した。

[ドメイン設定]画面にて[新しいドメインの追加]ボタンをクリック
[ドメイン設定]画面にて[新しいドメインの追加]ボタンをクリック。

 [新しいドメインの追加]画面では、ドメインを新規取得して設定できる。今回はトライアル環境なので、さくらインターネットが提供する60種のドメインからサブドメインを設定することにした。なお、自身で取得したドメインなら、設定数の制限はなく、用意されたドメインの場合は2つまで利用可能だ。

サブドメインを入力、ドメインを選択し[送信する]をクリックする
サブドメインを入力、ドメインを選択し[送信する]をクリックする

 サブドメインは、「mzsample.jpn.org」に設定。このあと、設定内容を確認してドメインの追加が完了する。先ほどサーバ設置したフォルダにこのサブドメインを割り当てるため、詳細設定画面に進んだ。

[* ドメイン詳細設定 *]画面にて、作成したドメインの対象となるフォルダを設定し、[送信]をクリック
[* ドメイン詳細設定 *]画面にて、作成したドメインの対象となるフォルダを設定し、[送信]をクリック

 これでブラウザで「http://mzsample.jpn.org」をリクエストすると、先ほど作成したディレクトリを参照するようになった。続いて、このサブドメイン以下のみにアクセスできるFTPユーザーアカウントを設定した。ユーザーアカウントの設定は、左メニューの[メールとユーザー管理]>[ユーザー管理]を開いて行う。ここでは、メールアカウントの発行もできる。

[ユーザー管理 > 新しいユーザーの追加]画面にて、
ユーザー名とパスワードを設定した
[ユーザー管理 > 新しいユーザーの追加]画面にて、ユーザー名とパスワードを設定した

 今回はFTPの利用のみの設定とし、アクセスできるドメインを「mzsample.jpn.org」のみとしている。しかし、ここでトラブルが。新たに設定したユーザーアカウントでFTP接続を試みたがアクセスできない状態となってしまった。

 サポートの営業時間は過ぎているので、ここはあわてずFAQを活用し、作成したユーザーアカウントでFTPへ接続する方法を参照した。FAQで、「FTP接続方法」と入力したところ、「さくらのレンタルサーバ」ビジネスシリーズ、「さくらのマネージドサーバ」で作成したユーザアカウントでFTPへ接続したい。」という情報が発見できた。

 マネージドサーバ自体のアカウントでFTP接続を行う場合、FTPソフトに設定するのはアカウント名だけでよい。新たに設定したユーザーでFTP接続する場合、FTPアカウントはユーザー名@ドメイン名となるのだった。

 【初期アカウントでのFTPの場合】

  • FTPサーバ:アカウント名.さくらドメイン
  • FTPアカウント:アカウント名
  • パスワード:サービスパスワード
  • FTPサーバ:example.sakura.ne.jp
  • FTPアカウント:example
  • パスワード:初期パスワード

 【新たに設定したユーザーでのFTPの場合】

  • FTPサーバ:ドメイン名
  • FTPアカウント:ユーザ名@ドメイン名
  • パスワード:ユーザ作成時のパスワード
  • FTPサーバ:mzsample.jpn.org
  • FTPアカウント:mzday@mzsample.jpn.org
  • パスワード:ユーザ作成時のパスワード
確かにアクセスできる領域は、
サブドメイン「mzsample.jpn.org」を割り当てたディレクトリのみで、
その上位へのアクセスは拒否された
確かにアクセスできる領域は、サブドメイン「mzsample.jpn.org」を割り当てたディレクトリのみで、その上位へのアクセスは拒否された

 こういったサポート時間外のちょっとしたトラブルがあった場合、オンラインマニュアルが充実していると安心だ。そして、告知ページのファイルをアップロードし、ブラウザにてmzsample.jpn.orgを参照したところ、無事に表示された。

今回作成したMarkeZineDay Spring 2010の告知ページサンプル。
制作は株式会社エフエックスビイが担当した。
[今回作成したMarkeZineDay Spring 2010の告知ページサンプル。制作はエフエックスビイにて作成した。なお、この告知ページに興味を持たれた方は、エフエックスビイの実績を参照していただきたい

 さくらのマネージドサーバ Atomプランには、サーバ状況を確認できる、専用サービスならではのモニタリングツールを標準で装備しており、これもコントロールパネルから参照できる。CPUで展開されているプロセスを見るためのロードアベレージや、データのトラフィック、メモリの使用状況などが細かく確認できるので快適だ。

多数のサイトを運営するなら、どのサイトのどのプロセスが負荷をかけているかなどをチェックできる
多数のサイトを運営するなら、どのサイトのどのプロセスが負荷をかけているかなどをチェックできる

 このほかの機能として、大容量ファイルのやり取りが可能なファイル共有機能(WebDAV)もある。一般的なファイル転送サービスでは容量の制限があり、時間帯によってはダウンロード速度などパフォーマンスが著しく悪くなった経験はないだろうか。WebDAVでのファイル共有は、容量制限もなく、アクセスできるユーザーの設定もできるため、Web制作・運営現場において何かと役に立つのではないだろうか。

安心!~保守・運用の心配なし

 専用レンタルサーバでは、保守・運用についても考慮しなければならない。つまり、サーバのリソースを自由に使える反面、保守は自己責任となるわけだ。

 具体的には、OSやミドルウェアのセキュリティアップデートや、データのバックアップ、機器の障害対応、サーバの監視などの業務で、これには別途保守運用契約を結ぶか、スキルのあるスタッフの手配が必要だ。障害は突然発生した場合は、関係スタッフ全員が対応に追われてしまう。

 筆者も何度となく経験しているが、仕事とはいえ、かなり消耗する作業となる。その点さくらのマネージドサーバ Atomプランなら、共有レンタルサーバ同様、サーバの保守・運用はさくらインターネットが対応するので、安心してサイトの運営に注力できる。

 共有レンタルサーバと同様の使い勝手で、1台のリソースをまるごと利用できるさくらのマネージドサーバ Atomプラン。さまざまな機能が標準装備で、しかも、初期費用25,000円、月額料金7,800円と初年度の費用は12万円でおつりが来る。

 一般的な企業サイトや企業の製品キャンペーンサイト、ECサイトなどでは充分なパフォーマンスを発揮するのではないだろうか。共有レンタルサーバのパフォーマンスが物足りなくなってきたWeb担当者や、多数のサイトを一括管理したいWeb制作者はぜひ一度試していただきたい。

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

 就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・翻訳ツールなど...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2012/03/05 19:40 https://markezine.jp/article/detail/9470