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ネット専業なのにアナログな口コミ重視
ライフネット生命の“直球勝負”マーケティング戦略

「ライフネット生命は直球しか投げない」

 生命保険の業界では一社専業のセールスや代理店経由での販売がほとんど。ネット専業の生命保険会社であっても、他社は代理店販売の率が高い、と出口氏(写真右。写真はセミナー講演中の写真)は明かす。

 ライフネット生命も代理店販売のチャネルは持っているが、同社顧客のほとんどが自社サイト経由。同社は営業開始が2008年5月とまだ日も浅く、テレビCMなどを大量に打っているわけでもない。同社を指名して契約する人が多いのはなぜだろうか。

 その秘訣を聞いたところ、「小手先のプロモーションはしない。直球しか投げない。経営の現状を全部正直に話して、応援してもらっている」と出口氏は答えてくれた。生命保険の原価を公開(付加保険料の公開)し、コストをガラス張りにした試みにも、多くの賛同の声があがったという。

 3か月に1回は会社のオフィスに顧客を招いて社内を案内する機会を設け、経営の現状について赤裸々に語る。「生命保険を、もっと、分かりやすく」「生命保険を、安くする」「生命保険を、もっと、手軽で便利に」という同社のマニフェストに賛同してくれた顧客には、友人・知人に口コミでライフネット生命を紹介してもらえないかとお願いしているという。

 「紹介してもらうためにはどうすればいいのか。いろいろと考えて『紹介していただけたらインセンティブを払えばどうか』という案も出たが、お客様に聞いてみたら『そんなことをやったら解約する。マニフェストを掲げて協力を求めてください』と仰る。だからうちは直球勝負。小手先には頼らない」(出口氏)

 口コミで広めてもらうためには、労を惜しまない。社長・副社長は話をする機会をもらえるなら10人規模であろうとも手弁当でどんな会合・セミナーにも必ず参加。出口氏は昨年4月から12月まで60回以上は人前で話をする機会があったという。

 社員が同行すればその分コストがかかる。そのためほとんどの場合は出口氏が一人で赴くことにしている。本記事のインタビューもそうした会合の後に設けてもらったものだ。ほかにも出版や論文の執筆、保険学会での発表と、少しでも露出が増える機会があれば、積極的に活動するというのが同社の方針だ。

 商品もユニークだ。特約や配当、解約返戻金などすべてゼロ。だが、むしろそうしたシンプルな保険こそが保険本来の形だと言う。2月に発売開始(予定)する開業以来初の新商品「働く人への保険」も、「働けなくなった場合の不安を取り除いて欲しい」という声に正面から応える、生命保険では初の「長期間」「定額給付」を実現する、初の本格的な個人向け就業不能保険だ。

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「ネットのことは若手に」すべてを任せる経営方針

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この記事の著者

中嶋 嘉祐(ナカジマ ヨシヒロ)

ベンチャー2社で事業責任者として上場に向けて貢献するも、ライブドアショック・リーマンショックで未遂に終わる。現在はフリーの事業立ち上げ屋。副業はライター。現在は、MONOistキャリアフォーラム、MONOist転職の編集業務などを手掛けている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2010/03/09 11:00 https://markezine.jp/article/detail/9791

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