今、企業が注目している広告手法のひとつがクチコミマーケティング。ここ2~3年で注目度は飛躍的にアップしている。そんなクチコミマーケティングの最新事情を紹介する「WEB2.0時代のクチコミマーケティング最新事例フォーラム」が4月10日、東京・六本木ヒルズ ハリウッドプラザ内で開催された。主催は主婦マーケット専門のマーケティング支援会社ハー・ストーリィ。
クチコミマーケティングはその名の通り、消費者同士で伝わっていくクチコミを広告として利用するもので、バイラルマーケティングとも呼ばれている。具体的な手法としては、インフルエンサーと呼ばれる、消費者に影響を与える存在(主に有名ブロガー)に、広告主の商品やサービスを体験してもらい、その感想をブログに記載してもらうというやり方。その記事を見た他のブロガーが、自分のブログで商品を紹介すれば、商品の情報がクチコミによりどんどん広がっていく。
フォーラムでは、ハー・ストーリィの日野佳恵子氏(代表取締役)、Webのクチコミ効果の検証技術を開発しているクロスワープの山崎氏(代表取締役)、インフルエンサー・マーケティング専門会社のブルーカレントの本田哲也氏(取締役社長)、クチコミマーケティング支援を行っているサイバー・バズの宮崎聡氏(代表取締役社長)が登場。個別にゲストスピーカーとして説明を行った。
その中で、クロスワープの山崎氏は、映画の広告として利用したクチコミマーケティングの最新事例を紹介した。これは韓国の映画『グエムル-漢江の怪物-』を「バイラルウォーカー」という動画クチコミサイトを利用して行ったクチコミキャンペーンで、バイラルウォーカー向けに配信された特別映像を視聴し、ブログやメールなどでクチコミ情報として紹介すると本編映像が視聴可能になる。10人にクチコミすると本編映像120分のうち15分が、30人で30分が、60人で60分が視聴可能になるというもので、「予想以上の反響があった」(山崎氏)と言う通り、ネット上で話題を呼んだ。
その後、日野佳恵子氏をコーディネイターとして、ゲストスピーカーによるトークセッションが行われた。ブルーカレントの本田氏は、「すでに大企業もクチコミマーケティングを無視できなくなっている。利用しないという選択肢はないのでは」と語り、クチコミマーケティングの市場が拡大していることを強調。まだ創業1年ほどのサイバー・バズの宮崎氏も「すでに70社以上の実績があり、黒字化を達成しているが、今年は市場がさらに拡大すると見ている」と発言した。
またゲストらは「ブロガーに率直な意見を書いてもらうのがクチコミマーケティングの前提」という意見で一致。世界最大のディスカウント小売チェーン米国のWal-Mart(ウォールマート)がやらせブログで批判された事件があったが、誠実に消費者に対して向き合っていくことが重要だという趣旨の意見交換が、フォーラムを通して活発に行われた。