海外のオンラインカジノに参加するのは違法か合法か?
インターネットを通じて、海外のオンラインカジノに参加した場合は、「犯罪地」および「賭博罪の性質」の2点から検討しなければなりません。
まず「犯罪地」からの検討ですが、刑法の適用範囲に関する裁判例や学説では、構成要件に該当する行為と結果の一部が日本国内で生じれば、犯罪地は日本国内であるとして、当該行為に対して日本の刑法が適用されると判断されています。そのため「日本人が日本国内からインターネットを通じて、海外のオンラインカジノに参加した」という場合、賭博の結果は国外のオンラインカジノで生じていますが、賭博行為自体は、日本国内のインターネットに接続したコンピュータ等から行われていますので、(常習)賭博罪の構成要件に該当する行為と結果の一部が日本国内で生じていることになり、犯罪地は日本国内と考えられることになります。
次に「賭博罪の性質」からの検討ですが、賭博罪は必要的共犯ないし対向犯とされており、相手方のない賭博行為というものは観念されず、いわば相手方とセットで違法とされる犯罪と考えられています。そのため、海外のオンラインカジノが国外犯として刑法185条及び186条の適用を受けない場合、その相手方として日本国内で海外のオンラインカジノに参加するのも違法とはならないのではないかという問題が生じます。この点について、処罰は可能と解する見解もありますが、今まで裁判例が存在しないこともあって、現在のところ結論ははっきりしていません。
したがって、日本人が日本国内からインターネットを通じて、海外のオンラインカジノに参加する行為であっても、刑法185条及び186条の適用範囲内であることから、可罰性のある違法な行為として処罰される可能性は否定できません。

ちなみに、京都市と名古屋市のインターネットカジノ店で、フィリピンにあるサーバーを使ってフィリピンのカジノが配信する「バカラ」などで客に1ポイントを100円で購入させて賭けさせ、退店時に残ったポイントの換金に応じたとして、2名が常習賭博罪に問われた事件について、京都地方裁判所は、2007年1月17日、この2名に対して有罪判決を言い渡しました。
この事件は、個人が自宅のコンピュータから海外の公認オンラインカジノに参加したケースではありませんが、この判決を通じて、海外のオンラインカジノに日本国内から参加する行為についての可罰性が議論されていくものと考えられます。
本稿中、意見にわたる部分は、筆者個人の見解を示すにとどまり、筆者の所属する法律事務所の意見を表明するものではありません。また、具体的事案により本稿中とは異なる結果が生じる場合があります。
Q. オンラインのロールプレイングゲームで、実際に他人からお金をもらい、アイテムを売ったら法律に違反でしょうか?