プロジェクト:女性の自分磨きを応援する「わたしみがき」
1周年を迎え、さらなる飛躍をめざす!
コクヨの子会社として2000年に設立した株式会社カウネット。事務用品、生活用品、オフィス家具まで、50,000品番を超える豊富な商品を取り扱うオフィス用品通販「カウネット」を中心に、大規模事務所向けの購買システム「ウィズカウネット」など、順調に事業範囲を拡大させてきた。さらに、近年では個人向けショッピングサイト「マイカウネット」「カウモール」も充実し、いまや公私ともにお世話になっているという人も多いだろう。
現在、カウネットの事業は物販だけにとどまることなく、総務担当者に向け情報サイト「総務の森」や、モニター調査サービス「カウネットモニカ」など、カウネットの利用者との親和性が高いサービスを次々と展開している。
そうした新事業を担当するのが、日向野さんが所属する「事業開発(夢工房)部」である。
「もともとカウネットの母体であるコクヨで、商品開発やオフィス設計の仕事をしていました。入社して6年ほど経った頃でしょうか、社内ベンチャー制度に応募して採用され、新規事業の担当者になったんです。当時は2名のチームでのスタートでした」
採用された企画は、ユーザー参加型の商品開発の橋渡しをするモニターシステムだったという。今もその一部がカウネットのモニター調査サービス「カウネットモニカ」として引き継がれ、多くの利用者で賑わう人気サービスとなった。日向野さんは担当者の1人である。
そして、もう1つ、日向野さんが運営責任者として担当するのが「わたしみがき」である。
「カウネットのユーザーの多くが、総務・庶務の担当者なんです。そうした皆さんとネットを通じて交流すると、とてもアグレッシブな女性が多くて。社会人として仕事をして、生活もしっかりしたうえで、趣味や勉強など自分を磨くことにも貪欲。その一方で、不安もたくさん抱えている。そんな『働く女性』をトータルに応援するサービスができないか、そういう発想につながっていったんです」
起案者は他の女性社員だったが、日向野さん自身、大いに共感できる企画だった。そして立ち上げ後まもなく、新規事業での経験が認められ担当することになった。着任と同時に認知度向上を目指して「わたしみがき」と改名して全面リニューアルを行ない、1年後の2010年5月には40万PVを超えるサイトへと成長させた。以降、完全独立採算という目標に向け、着実にマイルストーンをクリアし続けている。
「わたしみがき」が扱うテーマは、仕事や生活にまつわる課題解決のほか、育児やキャリアアップといった人生における転機についてなど多岐に渡る。ユーザー同士が教え合う「コミュニティ」の楽しさと同時に、 エントリーしている300名もの専門家が、プロの立場から回答してくれるという信頼性も人気の理由だ。
「リニューアル時には、ユーザーの洗い出しから、コンセプト立案まで一から見直しを行ない、積み上げてきました。現在は、企画の立案や、週ごと月ごとにアップするコンテンツ作成が主な業務となっています。そう、例えるなら雑誌の編集デスクみたいなものでしょうか」
毎月の定例編集会議で議論を行ない、それぞれの企画の内容を決定し、制作作業に落とし込んでいく。取材先を決めて,ライターに依頼し、企画のディレクションはもちろん、取材にも立ち合う。その後、デザインやシステムを担う外部パートナーとのやり取りがあり、コンテンツが出来上がるという流れだ。
スケジュールにはあらゆる担当者の動きが記され、メモが無数に記されている。その緻密さとはうらはらに、同僚をして「おっとりとした人で、いつのまにか協力させられている(笑)」とも、「昔から気配りの人」とも評される。
「だって、私は何にもできないですから(笑)。みんなが快適に仕事をして、いいものが出来上がること。そういう環境を作ることが、私の存在意義だと思っているんです」
しかし、新規サービスともなれば、業務として動かしていくのはなかなかタフな仕事だ。意見も食い違うことも多いだろう。いつも「にっこり」とはいかないのではないか。
「確かにトラブルは当たり前、苦労の連続ですよ。でも、目の前の人を説得していかなければ前に進まないのは明らかで…。それなら、どうやって理解してもらえるのか、考える必要がありますよね」
日向野さんが声を荒げたところを目撃した人は社内に1人もいないという。熱くならずとも、穏やかな話し合いを重ねることで、混沌としていた議論はまとまり、新たなステップへと進んでいく。その調整力の秘密とは何なのだろうか。(次ページへ続く)