楽天が4月19日TBS株を20%超まで買い増す方針をTBSに伝えた。楽天は2005年11月末に19.09%まで買い増した後、1年半の間、休戦していたが、なぜこの時期に買い増すことを決意したのだろうか。
発行済株式総数の20%以上を保有すると、楽天はTBSを「持ち分法適用会社」とすることができる。TBSを「持ち分法適用会社」とすることができれば、楽天はTBSの利益などの一部を自社の連結決算に組み込むことができる。楽天は06年12月期の連結決算で営業利益が00年の株式上場以来、初の減益となっており、業績の建て直しが急務となっていた。そこで応急処置として、好調な業績のTBSを「持ち分法適用会社」とし、楽天の連結決算に入れ込もうというのが、今回の株式購入の目的のようだ。
また発行済株式総数の3分の1を保有する株主になれば、株主総会で取締役の任期途中の解任や定款変更、合併などの重要案件に対して拒否する権利を持つことができるが、楽天は買い増し幅を20%を若干超える程度としており、20%以上の大幅な株式購入を否定している。
楽天は2005年10月にTBSの発行済み株式数の15.46%を取得して、TBSに経営統合を提案。その後05年11月末まで19.09%まで買い占めた。だが、TBSに激しく抵抗され、またみずほコーポレート銀行が仲介に入ったことで、統合提案を取り下げて資本・業務提携交渉を進めることでTBSと合意、一時休戦に入っていた。今回の株式購入は連結決算にTBSの業績を組み込むのが目的かもしれないが、楽天がこれを機にさらに株式を買い増す可能性も否定できない。今回、TBSが楽天を乱用的買収者と認定せず、「20%を超える取得」を認めてしまうと、楽天が株を買い増した時に、買収防衛が遅れてしまうだろう。そうなるとまた両社の攻防が再開することになる。