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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

ビジヲタ必見!「すべらない事業」の作り方

リアルアフェリエイトとスマートフォンアプリのレビューサイト運営を手掛けるベストクリエイトの話

Q.リアルアフィリエイトは、どのような発想で生まれたのでしょうか?

 今から5年程前に着想しました。当時は、携帯サイトサービスが急激に成長しており、それこそサーフィンのための波情報から着うた、コミック、デコメなど、さまざまなコンテンツが登場していました。

 そういったサービスの運営会社は、会員数増が課金収益や広告収益を向上させる方法なので、ネットのアフィリエイトを活用したり、マス広告を利用したりしていました。携帯サイトに興味があるユーザーは進んで会員になりますが、一方で、一般の方々や幅広い年齢層に認知してもらう方法が欠けていました。

 そこで、携帯電話を購入するタイミングでサービスやサイトを紹介し、会員になってもらうことができれば、全国で、かつ幅広い年齢層へのリーチが可能となると考えました。最初は数店舗でトライアルを開始したのですが、利用者から「こんなサービスがあったんだ!」とか「どれに入ったらいいか迷っていたけど、教えてもらえたから入りました!」といった、たくさんの声が寄せられました。また、サービスやサイトの運営会社も会員が増え、Win-Winの関係を築くことに成功しました。

 もちろん、サイトへの会員登録を促していただく店舗には会員獲得数に応じた収益が入るため、プラスαの収益源となり、Win-Win-Winのモデルとなりました。

Q.リアルアフィリエイト事業を軌道に乗せるにあたり、苦労した点を教えてください

 今も苦労していますが(笑)。最初はQRコードでサイトへの誘導を図っていましたが、お店の接客時間やお客様の拘束時間が多少なりとも発生してしまっていました。ここを改善するために、フェリカリーダーライターという端末を、当社が全額負担し、無料で店舗に配布しました。これは、まとまった費用がかかるため、投資としては重い部分でした。

 さらに、幅広い広告主と全国の販売店舗に対して、同時に営業しなければならないため、最初のうちは寝る間も惜しんで営業に出向いていました。今も全国を営業マンが飛び回っています。

リアルアフェリエイトのビジネススキーム(※ベストクリエイトWebサイトより転載)
リアルアフェリエイトのビジネススキーム(※ベストクリエイトWebサイトより転載)

Q.リアルアフィリエイトを成功させるためのポイントを教えてください

 質のいいモバイルサービスを、店舗を通じて、いかに効率的、かつ効果的に、分かりやすくお客様に提示ができるか。そこに尽きると思います。

 実際にお客様へ提案するのは、提携店舗の各スタッフの方々なので、その立場になって、分かりやすいPOPや説明資料の作成を常に心がけています。

 また、安定的に案件を提供するための広告代理店との関係構築と、提携している各店舗との日頃からの関係強化もポイントです。

Q.リアルアフィリエイトで大きな成果を挙げた事例を教えてください

 成果というと、獲得の絶対件数になると思いますが、我々はそこを重要視している訳ではありません。お客様に、もっと携帯を楽しく使ってもらうための、さまざまなサービスを店頭を通じて展開できれば、それが成果だと思っています。

 事例と言う話であれば、先日、アサヒ飲料様の「十六茶」の割引電子クーポンを、九州の提携ショップにて、お客様の携帯電話に配布しました。受け取ったお客様は、ローソンでこのクーポンを利用することで、通常よりも安く十六茶を購入できる仕組みです。このコンバージョン率が極めて高く、提携店舗からかなりの好評を頂きました。リアルtoリアルの新しいサービスも展開可能なのだと痛感した瞬間でしたね。

Q.クライアントに支持される理由を教えてください

 接客を通じたサービス提案なので、継続率が比較的高いことが特徴です。やはり、店舗スタッフが親身になって勧めるため、お客様も納得して登録し、長期間ご利用頂けているものと理解しています。

Q.リアルアフィリエイトでの貴社の競争優位性や他社との差別化のポイントを教えてください

 圧倒的優位性としては、全国約8,000を超える提携店舗との取組が毎日発生しており、さらに弊社のフェリカ端末も常設頂いている点です。この広がりを通じ、広告代理店ともさまざまな広告メニューを展開しており、提携店舗にとっても多様な案件の供給元になっていると思います。

 これからはさらに、スマートフォン向けのサービスも提供していく予定ですので、今後ますますサービスの幅は広がっていきます。

Q.アプリのレビューサイト事業は、どのようにマネタイズしていますか?

 基本的には、純広告、記事広告、アフィリエイトが収益源です。meet-iについては、国内最大級のiPhoneアプリレビューサイトとなっているので、純広告、記事広告の依頼をかなり多く頂いている状況です。

 また、アプリリリースのタイミングで広告を打つと、かなり高い確率でAppStoreの上位に入る実績を持っています。AppStoreの上位に入ると、一般ユーザーの方々もダウンロードを積極的に行う傾向があるので、プラスのスパイラルに入ります。

 アプリリリースされる場合は、ぜひプロモーションを同時に行うことをお勧めします。

Q.アプリの運営企業を支援する貴社から見て、成功するアプリのポイントを教えてください

 アプリの数も多い現状、競争も極めて熾烈です。そのため、リリースしただけで埋もれてしまう、という状況をいかに防ぐかが重要になっています。

Q.では、App Storeで多くのセールスを上げるための条件とは?

 それはズバリ「App Storeのランキング上位に食い込み、できるだけ長くランキングに滞在すること」に尽きます。

 普通であれば、売れた結果がランキングなので順番が逆のような気もしますが、App Storeにおいては、まずランキングに入ることがスタートとなります。ランキングに入ることで、ユーザに露出する機会が飛躍的に拡大し、結果として「ランクイン」⇒「ダウンロード数増加」⇒「ランキング長期滞在」⇒「継続的なダウンロード数維持」という正のスパイラルに突入します。

 では、App Storeのランキングに入るにはどうしたらよいか? App Storeのランキングは数時間おきに更新されるため、ようは短時間で多くのダウンロード実績を出すことによって、少なくとも瞬間的なランキング入りが狙えるということになります。

 もちろん、ランキング入りした後にダウンロード数を伸ばし、さらに上位を狙えるかどうかはアプリそのものの実力によりますが、少なくとも多くのユーザーに見てもらうチャンスが得られるという意味では、初回のランキング入りがアプリのその後を左右すると言っても過言ではありません。

 短時間に多くのダウンロード実績を上げる方法はいくつか存在しますが、“会社をあげて社員みんなでダウンロード”というのはあまり意味が無いので止めたほうがいいです。現在のApp Storeは、数百程度のダウンロードではランクインするのは難しいからです。

 重要なのは、iPhoneユーザーにターゲットを絞って短期間で効果的に情報をリーチして知ってもらうことなので、最近ではiPhoneユーザーの多くが利用しているTwitterでリリース情報をtweetするのも一つの方法です。ただし、Twitterでのリリース告知は数十万のフォロワーを抱えているアカウントを保有しているか、影響力の強いTwitter内のカリスマにReTweetしてもらえる場合にのみ、一定の効果が現れるものです。

 もっとも確実な方法は、iPhoneユーザーだけを狙った情報露出ができるiPhone関連メディアに対して、アプリローンチと同タイミングで広告やパブリシティーを通じた露出を短期集中型で実施するものです。

 私の経験上、ある程度のプロモーション予算を確保できるのであれば、1か月で100万回の広告露出を行うよりも、1週間で100万回の広告露出を狙うほうが高確率でApp Storeのランキング上位を獲得し、正のスパイラルに突入する可能性が高いことは確実です。その意味で、ローンチと同時に当社meet-iを活用したプロモーションを行うことで、AppStoreの上位ランキングを実現したクライアントが数多くあります。

Q.最後になりますが事業をすべらせないためのコツを教えてください

 まだコツなど語れるレベルにまで至っていませんが、おそらくは、すべりに備えることと、すべってもいいやという勢いと覚悟だと思います。

インタビューを終えて

 スマートフォンが本格的に浸透した今年は、アプリをはじめとしたスマートフォン向けコンテンツビジネスの大きな可能性を感じさせる1年だったと言ってよいだろう。しかし一方で、スマートフォン向けのコンテンツ市場はまだまだ儲かる市場としてのエコシステムが未発達なことも事実である。

 川野氏はリアルアフィリエイトという手法を用いてフィーチャー・フォン向けコンテンツ市場の活性化を長年やってきた経験を基に、今度はスマートフォン向けコンテンツ市場の活性化を、レビューサイトという場を作ることで支援している。

 川野氏が展開する事業の肝は、コンテンツ事業者と消費者のマッチングであり、それはフィーチャー・フォンでもスマートフォンでも手法は違えど一貫して変わらない。フィーチャー・フォンでもスマートフォンでも、“コンテンツ事業者と消費者が求めているものは何か?”を追求していくことが、事業をすべらせないための秘訣なのではと、川野氏のインタビューからは感じた。

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この記事の著者

矢作 嘉男(株式会社ハチワン)(ヤハギ ヨシオ(カブシキガイシャ ハチワン))

株式会社ハチワン代表取締役。New Jersey City University卒。
中国人観光客向けクーポンサイトなどインバウンド媒体を運営。
2011年、中国のインターネットプロモーション事業を行う北京博洛密網絡科技有限公司と提携し、中国向けプロモーション事業を開始。本当に成果の出る中国市場向けインターネットマーケティングのみをを提供し、インバウンド向けから中国現地進出向けまで数多くの実績を持つ。
プロモーションのご相談:info@813.co.jp

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2010/12/24 11:00 https://markezine.jp/article/detail/12940

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