浅田真央 vs. キム・ヨナ
現在の非常に透明で客観的な採点システム(ISUジャッジングシステム)は、2003年ISUグランプリシリーズ、2005年世界選手権から本格的に採用されており、旧システムに最適化してきた選手の中には苦しみ悩む人も多いようだ。つまりシステムのアップデートにともなう順位変動ならびに世代交代が起こってきているといっても過言ではない。浅田真央とキム・ヨナは、この新採点システムで育ちかつメダルを取っているから、いわばISUジャッジングシステムの申し子と言えるだろう。よって、僅かな異同があるもののISU世界ランキングの通りにメダルが配られる可能性も大きいのである。
さて、浅田真央が机上では常に1位である。だが現実はそうではない。安藤美姫もあるいは中野友加里も含めて、高空ジャンプはリスクが大きい。ハイリスク・ハイリターンなのである。よって、回転不足や転倒が常につきまとい、跳んでみないと結果は分からないのである。
キム・ヨナはトリプルアクセルを跳べないし、今後も、バンクーバーでもトリプルアクセルを跳ぶことはないと思う。彼女は、あるいは彼女のコーチは完璧な中低空ジャンプを選んだようだ。そしてGOEの2点加点を目指す。これはローリスク・ハイリターンである。確実性が高い。とはいうもののノーリスクではないのだから、中低空飛行でも確率は低いが転ぶこともあるだろう。
今後のフィギュアスケートは浅田真央とキム・ヨナを中心に、パワフル対エレガントの戦いになるのかもしれない。間違いないのは、両者とも現在のフィギュア-アルゴに最適化されたプログラムを最高レベルでこなしていることである。なんにしても、欧米ではなくアジア、というよりも極東にハイレベルの選手が集中していることは、非常に心地が良いことである。もちろん浅田真央の金メダルこそ最大の願いである。
最後に
お断りしておくが、筆者はフィギュアスケートの単なるファンに過ぎない。しかも浅田真央の活躍とオリンピック年齢制限問題からはじまり、荒川静香のトリノ金メダル獲得でテレビ放送に釘付けとなったような「にわかファン」の典型である。さらに、今回の執筆にあたって1ヶ月弱前から各公式から一般の方のWebサイトを検索巡回し、ほぼ突貫に近いかたちでフィギュアスケートの採点システムを学習した次第である。
よって、本職に倣ったアルゴリズム最適化という視座はユニークであると自負するものの、所詮は門外漢の与太話に終わるかもしれないとの不安もある。今回は特にWikipediaにお世話になった。あらためてボランティアで記事を作成された方々にお礼を述べたい。
Wikipedia参考記事
フィギュアスケート
フィギュアスケートの技術と得点
浅田真央
金妍兒