わずか10年で世界のトップブランドにまで駆け上がったGoogle
1996年、米国カルフォルニア州スタンフォード大学で出会った2人の大学院生の手によって生まれた検索サービス「Google」。同サービスは、2011年3月に英国の企業ブランド価値評価会社Brand Financeが発表した「世界のブランドTop 500」でもNo.1の評価を獲得するなど、たった10年という短い期間で世界のトップブランドとなった。
Googleのサービスは、Webサイトの検索にはじまり、画像、ニュース、地図、交通路線、書籍、文献、ユーザーの健康記録情報、そして動画など、その対象を次々と拡大。そして、今もなお「世界中の情報を整理し、誰もが簡単にアクセスし、利用できるようにする世界中の情報を集める」というミッションのもと、サービスを進化させている。
2001年に世界で初めての海外オフィスが設立された日本においても、そのサービスは革新的なものとして迎えられ、最早、我々の日常生活に溶け込み、その存在は「当たり前」となった。
本稿では、そうしたGoogleのビジネスの根幹とも言える広告分野に焦点をあて、その歴史や概要を振り返っていく。
売上規模はいまや300億ドル弱 ― IRデータから見るGoogleの成長
会社としてのGoogleがスタートしたのは1998年。サン マイクロシステムズ社の共同創始者Andy Bechtolsheim氏から10万ドルの出資を受け、設立された。翌1999年には、Sequoia Capital社やKleiner Perkins Caufield & Byers社から2500万ドルの資金を調達。2000年には、現在の収益の柱となる「Google AdWords(以降、AdWords)」の提供を開始し、事業を拡大する。また、2001年2月に初めての買収を行い、ユーズネット(オンラインの掲示板システム)の検索技術を持つ「Deja.com」の事業部門を手に入れた。
数々のベンチャーキャピタルから多額の出資を受け、その事業規模を急速に拡大させたGoogleは、2004年8月にNASDAQでIPOを果たし、数十億ドル規模の資金調達に成功する。その後、数々の有望なテクノロジーやサービスの開発や買収により、息付く間もなく事業規模の拡大を継続。2010年には社員数が24,400人、全世界での売上は293億2100万ドル規模にまで駆け上った(12月末時点)。
2010年末現在、100以上の言語で50以上の国・地域でサービスを提供し、40カ国以上に85以上のオフィスを構えるなど、全世界で事業を展開する同社だが、その地域別売上は米国48%、英国11%、その他41%という構成比になっている。IRデータによると、2006年頃より米国・英国以外の、日本を始めとする地域の売上構成比が急速に拡大しているのが分かる。