Q. 現在の占い事業は、どのような発想で生まれたのでしょうか?
コナミ在籍中に、結婚を誓った彼女に振られて落ち込んでいたところ、「彼女がどんな気持ちだったのかを聞いてみよう」と思ってQ&Aサイトで相談してみました。すると、たくさんの見知らぬ人々が、丁寧な文章で答えを書き込んでくれました。「これはすごい」と感動したのを憶えています。
この経験をもとに、自分が持っている携帯電話の技術を融合すれば、もっと早く、リアルタイムに、当時流行っていた「電車男」のようなことができるのではないかと思いつきました。そうやって、考えたのが「みんなの恋愛相談」というサービスです。
その後、日本で「恋愛相談」を有料で行っている職業は何かと考えたら、占い師が思い浮かんだので、社長友達に占い師を紹介してもらい、そこから占い事業を開始しました。
ただ、占いと携帯で思い浮かぶのが、当時お隣のビルにあった企業「ザッパラス」。同じ携帯公式サイトで占い事業をしても、資本の原理に負けてしまう。
そこで、沢山の女性誌を買いあさって調べたところ、『電話占い』というサービスがあることを知りました。携帯電話は日本で1億台以上普及していますが、当時の電話占いのターゲット層は固定電話が主だったのです。「これは携帯電話専用の電話占いサービスを提供すれば、市場が開ける」とひらめいたわけです。
Q. どのように認知度を広めていったのですか?
初めてのビジネスモデルだけに、さまざまなことを試しました。プレスリリース、広告ともに、Webや雑誌といった媒体は違っても最終的な全ての出口が携帯電話のWebサイトになるので、効果が見えやすい事業です。そのため、CPAを基準に入会者あたりのコストを見ながら、どの広告媒体に出稿すると効果的なのか、数千万円かけてトライ&エラーしていきました。
Q. メディアごとで広告効果に違いはありましたか?
最終的な出力先が携帯電話やスマートフォンのWebサイトなので、お客様が一番アプローチしやすい媒体が広告効果が高いわけですが、ユーザー層も媒体によって異なります。電話占いという業界自体はかなり昔からあったようで、紙媒体のユーザー層はどちらかというと固定電話を使う主婦層が多いような気がします。
Q. サービスを軌道に乗せるにあたり苦労した点を教えてください
どんなビジネスであれ軌道に乗せるまではかなり苦労すると思いますが、今回のビジネスモデルは私にとっても市場にとっても初の試みでだったので、事業がどう転ぶかなんて分かりませんでした。
ただ、これだけ雑誌に広告を掲載している電話占いの市場規模は大きいと確信していたので、迷わず着実に改善を繰り返して前に進んで行きました。苦労したというか、資本的に親会社からある程度の資金があったので良かったのですが、自己資本のベンチャーだったら、とっくに解散していたかもしれません。また、エキサイトが半年後に同じビジネスモデルを仕掛けてきたのが、資本主義って恐ろしいなと改めて思いました。
Q. サービスの競争優位性や差別化は何ですか?
携帯電話やスマートフォンに特化している点と、実際に占いに行っているようなストーリー性を持たせることが差別化のポイントです。人気の占い師は、相談だけではなく、お土産を渡したり、最後に心に響く言葉や念を送ったりします。
電話という利点は、いつでもどこでも利用できるという利便性だと思うのですが、デメリットとしては、実際に会えるアナログ感が無かったりする部分だと考えています。そこを埋めるような施策を携帯電話上で行っているのが、他社との優位性に繋がっていると思います。