急成長中の生放送配信サービス
─はじめに、ニコニコ動画内におけるニコニコ生放送の役割について教えてください。
2006年12月にニコニコ動画がスタートしてから1年後の2007年12月に、ニコニコ生放送はスタートしました。実は、ドワンゴではそれ以前の2005年にも携帯向けの動画ストリーミング放送サービスを行っていたこともあり、動画の生放送配信に可能性を感じていました。その後、ニコニコ動画のユーザー数が伸びてきたことと、生放送配信を行うためのインフラも整ってきたことで、本格的に生放送配信サービスを行うこととなりました。
他の動画配信プラットフォームとニコニコ生放送の決定的な違いの1つは、生中継中にリアルタイムでコメントを付けられることです。ユーザーと出演者、さらにユーザー同士のコメントを通じたコミュニケーションにより、感情・感動を共有し、他メディアにはない一体感を生み出すことができることが大きな特徴です。
ニコニコ生放送で提供する番組は大きく分けて公式番組とチャンネルとユーザー生放送の3つあります。公式番組については、配信スタッフもいるので企画・制作から入り、ある程度のクオリティを担保しています。
震災以降、視聴者層に大きな変化が
─震災時にはいち早く現場から実況中継を行ったり、最近ではテレビとの連動企画などに取り組まれているかと思います。視聴層に変化はありましたか?
確かに変化しています。大きな傾向としてはこれまでは10代~20代のユーザーが多い傾向にありましたが、3月に行ったクローズアップ現代とのコラボ企画や5月に行った大相撲中継の影響から、40代のユーザーが増えてきました。【注】音楽アーティストのプロモーションの場としても認められつつあるので女性ユーザーも増えている印象です。
テレビとの連動企画は我々だけではなくテレビ側にとっても若い世代にアプローチできるというメリットがあります。クローズアップ現代の例で言うとテレビでのオンエア前には「直前番組」を放送しテレビでのオンエアがはじまった段階で、ニコニコ生放送の画面にはコメントだけ流れるようにします。
すると、ニコニコ生放送を見ていたユーザーはコメントが気になりテレビをつけるので、テレビ側にとっては今までアプローチできなかった層を取り込むことができる、といった流れです。こういった連動企画は今後スタンダードになっていくのではないでしょうか。