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第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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統括編集長インタビュー

認知や好感度向上は売上アップにつながりますか?「事業成長」を測るならNPI(次回購買意向)が有効

 マーケティング施策の効果測定に、自社や担当ブランドではどのようなKPIを使っているだろうか。認知度、ブランド好感度などが一般的に用いられることが多い中、M-Forceとマクロミルは今年3月、事業成長の先行指標として「9segsの主要KPIであるNPI(Next Purchase Intention:次回購買意向)」がKPIとして有効であるとの共同研究結果を発表した。本稿では9segsの導入支援を行っているM-Force代表の長祐氏とディレクターの竹中野歩氏に、具体的な研究の結果と、マーケターそして経営層にとってのNPIの意義についてうかがった。

広がる9segsへの関心、一方で見えてきた課題

押久保:まず、貴社の状況と「9segs」の浸透度合いについて教えてください。設立されて2年以上が経ちましたが、いかがでしょうか?

M-Force 代表取締役 長 祐氏(写真左)ディレクター(マーケティング) 竹中野歩氏(写真右)
M-Force 代表取締役 長 祐氏(写真右)ディレクター(マーケティング)竹中野歩氏(写真左)

長:そうですね、おかげさまで書籍(『顧客起点マーケティング』西口一希・著)も多くの方が手に取ってくださり、9segsはマーケターや経営層の方々に徐々に認知が広がっている印象があります。未認知の顧客からロイヤル顧客までをすべて人数で捉え、その推移を追っていく直感的にわかりやすいモデルなので、腑に落ちやすいのだと思います。

 一方、興味を持つ人が増えるなかで、課題も見えてきました。やってみるとすごく難しい、という声を多く聞くようになってきたんです。

押久保:モデルについては直感的にわかっても、実装が難しいと。

長:おっしゃる通りで、顧客の人数分布はとれても、そこからビジネスをひも解いて仮説を立て、顧客への質問設計に落とし込むのに難しさがあります。

 実践したいができない、という方々と話をする中で、企業がおかれている共通した状況が見えてきました。主には、従来のプロダクトアウト型のビジネスに限界を感じ、顧客を起点にしたマーケットイン型へ切り替えるために、拠り所となるモデルを求めていること。ただ、マーケティング全般を推進するフレームワークを使いこなせるマーケターが、なかなか組織内にいないこと。いたとしても、営業やマーケティングや調査、経営層も含めて各自が個別最適化したKPIをみているので、足並みをそろえるのがとても困難なこと、の3つです。

9segsの根底にある、顧客起点の概念を民主化していく

押久保:変わろうとしている企業には、そうした共通の課題があったのですね。

長:はい。なので我々としては、モデルを正しく提供して事業成長に伴走し、かつ「顧客起点の考え方を基盤として企業に根付かせる」ことにもチャレンジがあると考えました。単なるマーケティングツールとして9segsを広げるのではなく、顧客からすべてを発想する概念を仕組みや文化として広げていこう、と。

竹中:今回の研究発表や、企業内で精度高く分析できる「9segs analyzer」を1月にリリースしたのも、そうしたことが背景にあります[※1]。M-Forceのメンバーは慣れているので、9segsの分析と運用を普通に進めていましたが、この2年は我々が無意識にやっていることを棚卸しして順番を整理し、システム化していくのに注力していました。9segs analyzerのリリースを経て、事業として、次のフェーズに移った実感があります。

押久保:なるほど。西口さんの書籍や対談連載などを担当する中で、「“顧客第一”などと掲げながら顧客を見ていない」と繰り返し指摘されていたことが印象に残っています。設立以来の取り組みは、9segsの民主化とも言えそうですね。

 では本題の「NPI」、次回購買意向についてうかがいます。この浸透と活用が、竹中さんがおっしゃる「次のフェーズ」のひとつになるのでしょうが、今回の共同研究の背景から教えてください。

長:認知や好感度よりもNPIのほうが事業結果との相関が高い、ということはM-Forceの全員が肌で感じていました。ただしあくまで肌感だったので、科学的に検証して皆さんに役立てていただければと考えたのが発端です。去年から協働するマクロミルさんに興味をもっていただき、共同で取り組みました。

[※1]

M-Force、顧客戦略立案支援ツール「9segs analyzer」を開発 新サービスを提供開始

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/05/21 07:30 https://markezine.jp/article/detail/36150

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