「ママと子ども」から「ファミリー」へ
亀田さんプロフィール
2001年博報堂入社。マーケティング部門を経て2006年より研究開発局にて、企業の環境・社会コミュニケーション研究、生活者・社会トレンド研究などに従事。第一子の育児休業から復職した2012年より博報堂こそだて家族研究所に参画。小3と年長の二児の母。
本田プロフィール
早稲田大学卒業後、山と溪谷社などを経て2006年に翔泳社へ。書籍『みんなの機内食』『みんなの持たない暮らし日記』などの『みんなの日記』シリーズを手掛け、累計50万部のヒットに育てる。小学生男子の母。趣味はランニング。
押久保:コロナ禍の影響で、生活者の価値観と消費行動が変わりつつあります。それが一過性のものなのか、定着していくのかは、以前から起こっていた変化を丁寧にみていく必要があるよね……という話を弊社のライフスタイル系Webメディア「みんなの暮らし日記ONLINE」のメンバーと話していまして、そこで今回は長く生活者を研究されている博報堂さんに取材を依頼しました。
本田:「みんなの暮らし日記ONLINE」編集長の本田です。元々は書籍「みんなの日記」シリーズを担当しており、Webメディアはオープンしてちょうど3周年になります。お子さんがいる主婦層を中心に、“暮らし”を大切にしている方々に読んでいただいています。
亀田:「博報堂こそだて家族研究所」の亀田です。子育て家族を中心に、生活者の意識や消費行動を日々研究しています。「博報堂SDGsプロジェクト」や「EARTH MALL」等の活動にも関わっています。「みんなの暮らし日記ONLINE」、以前から知っていたので、お話しするのを楽しみにしていました。
本田:本当ですか! うれしいです。
亀田:ちょうどSDGsのほうの調査で「心地よい暮らしショッパー」と名付けたクラスターが浮かび上がってきたのですが、そこに読者の皆さんがきっとぴったりだろうなと。
本田:そのお話もぜひ詳しく聞きたいです。まず、「博報堂こそだて家族研究所」で捉えている近年の家族の変遷についてうかがえますか?
亀田:私が加わったのが2012年なんですが、実はそのタイミングで「博報堂こそだて家族研究所」という名称になったんです。前身は1996年から「BaBU」という名称で活動していて、主にママと子どもにフォーカスしていました。
2012年がひとつのターニングポイント
本田:なぜ「BaBU」から「博報堂こそだて家族研究所」に?
亀田:当時はそもそも博報堂内にも、ママや子ども向け製品を扱うクライアントにもママが少なく、子ども向け製品のプロモーションに役立つ知見を貯めるために発足したのが「BaBU」でした。ママと子どもを見ていれば、家族や世帯の消費は見ることができたんです。
それが2010年ごろから働くママが増え始め、パパの関与が大きくなったり祖父母が関わったりと、家族の単位が変わってきました。そこで研究対象を「妊娠期から小学生の子どもをもつ家族」と改めて、再始動したのが2012年でした。
本田:そうなんですね。2012年は実は私たちにとってもターニングポイントで、書籍「みんなの日記」シリーズを立ち上げた年なんです。ブログが広がり始めて、ごく一般の方々が自分の身の回りの写真や、思いを発信するようになっていったころですね。
その後、2017年にオンラインも始めて、たくさんの著者さんに書いていただいています。「家事や暮らしをちゃんとしたい人を応援する」というコンセプトを立てているので、読者を子どものいる主婦の方に限っているわけではないのですが、マジョリティではありますね。確かに、今や“ママと子ども”では全然括れないなと感じます。
亀田:この2~3年でも、またさらに変わっていますよね。ミレニアル世代が今ちょうど30代に入り、子育て層になってきています。このファミリーの価値観は、“昭和”世代とは根本的に違いますね。